紙の本
珍しく探偵も犯罪捜査も出てこないお話
2017/04/24 14:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:sipa - この投稿者のレビュー一覧を見る
2014年に島田荘司初の映画化作品となった、記念碑的な小説。島田作品では珍しく、探偵も犯罪捜査も出てこないお話です。宣伝用のチラシではラヴ・ミステリーと紹介されていました。
医学的な「幻肢」という症状(例:失った体の一部があるように錯覚)がより発展し、失った大切な人の姿が見えるようになるというストーリー。突拍子もない話ですが、脳が持つ不思議な機能の話を交えて読んでいくと、現実にこうした現象が発生してもおかしくないのでは、と思えてしまいます。
映画と小説では男女の役割が逆転しているというのが大きな違いですが、その他にも差異として、小説にしかないエピソードが多々あります。また、小説に比べると映画のほうはかなり展開が早めです。映画ではすぐに幻肢現象が発生しますが、小説では後半に入ってからです。
作中時期は11月から12月にかけて、舞台は主に吉祥寺です。近江屋、ヒラタパスタ、フォレスト等、実在のお店がたくさん出てきます。映画にも出てきたMIZU cafeも実在のカフェですが、実際は原宿にあります。小説では、パルコと井の頭公園の間にある坂の途中のお店として出ています。
読んでいて少し気になったのが、最初の4章のみ、章番号に「ER」「ICU」と、サブタイトル的に場面名が書かれていること。5章以降は数字のみになります。途中からサブタイトルを付けるのを忘れてしまったのか、消し忘れなのか。
「幻肢」を読んだ後、いくつか別の本を再読していて気づいたのですが、この話は島田荘司がいままで温めていたもので構成されているようで、「幻肢」のいくつかの要素はずいぶん前に既刊の本に出ていました。
・2000年刊行の「季刊 島田荘司 vol.01」掲載の短編「山手の幽霊」で、御手洗が石岡君との雑談の中で、幻肢現象について説明しています。「幻肢」のプロローグに出ているラマチャンドラン博士のくだりが、「山手~」では御手洗の過去の体験として書かれています。
・2002年のエッセイ集「ミタライ・カフェ」で脳のシルヴィウス溝に言及。鮎川賞の選考時、候補作品の一つ「シルヴィウス・サークル」で書かれた、シルヴィウス溝に電気刺激を与えることで幻想イメージを得るという話に、個人的に興味をひかれた、という日記が書かれています。
一度読んだはずの内容ですが、記憶からキレイサッパリ消えていました。作中で書かれていた通り、浅い段階の記憶は数年しか保持されないようです。作中には、記憶は反復によってより深いものに格上げされるともありますので、今回の再読によって、上記の内容もより確かに記憶されたのではないかと。
紙の本
脳がテーマは?
2015/12/01 15:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
事故で大けがを負い、記憶を失う。よくあるパターン。だが、本書は、回復して記憶を取り戻しつつあるものの、事故当時のことだけが思い出せない。ここがキモ。目の付け所は確かに面白いのだが、その割に内容が軽い。脳は、そのメカニズムがまだ解明されていない部分が多いだけに、扱いが難しいのか。
投稿元:
レビューを見る
映画の公開も予定されている、島田荘司の最新作。
交通事故で記憶を失った医大生の女性を主人公に、彼女が記憶を取り戻すまでを描く。
どちらかというとあっさりしたストーリーで、島田荘司らしい強引さは今作にはあまり見られない。無いと何だかちょっと寂しいw
脳の仕組みやTMS治療など、蘊蓄の部分は知的好奇心を満足させてくれるが、所々、ストーリーから浮いてしまっているように感じられたのが残念。
投稿元:
レビューを見る
島田荘司の新作が出たということで購入。
初の映画化ということで期待していたのですが、映画を意識し過ぎ??
話としてはありきたりでした。
TMS療法などは実在するようでへ〜と思いました。
投稿元:
レビューを見る
交通事故で失った記憶を取り戻そうと、TMS治療を試みた彼女が見たものは。。。
脳については詳しくなれるが、ストーリーは物足りなく
島田さんの御手洗シリーズのような展開を期待している人には
オススメしない。
投稿元:
レビューを見る
ミステリー+ラヴストーリー
大事故に会い辛くも命を取り止めた女子大生
しかし記憶を失っていた・・・・・・
その後、数多くの無くしたものの不安から鬱病を発症
治療のために行なったTMS
『TMS』とは
経頭蓋磁気刺激法。脳に磁気刺激を与え、脳の活動を活性化させる治療法。鬱病患者に効果が実証されている。アメリカでは精神医学会も推奨している治療法のひとつである。
少しずつ甦る記憶
だが事故当時の記憶は戻らない
今となっては会うことなど叶わない恋人・雅人の教え、幻肢現象を思いだし、脳内のシルヴィウス溝への電気刺激を試みる
『幻肢』とは
事故や病気で手や足を失った患者が、存在しない手足が以前そこに存在するかのように感じること。多くの患者が、例えば足を切断したにもかかわらずつま先に痛みを感じるといった、難治性の疼痛(幻肢痛)を体験する。
すると・・・・・・・
幻の雅人が現れて・・・・・・
って言うお話
劇場公開もされるということ
映画では男女の立場が逆転・・・記憶喪失に陥るのは男・雅人で幻として現れるのか女・遥になるそうです
お話は遥の数少ない記憶から構成されているので不確定な事柄が多く、勘繰りながら読み進めました・・・・・・
ふむふむ・・・心霊現象はこういうことで説明がつくのか・・・
もちろんお話の胆は事故の真相です
登場人物が大学病院関係者だけって所に疑いを持って読んでたんですけどね~スルーぎみでしたね~
怪しさ満点な人物は最初から〇〇〇ですけど・・・・・
ハッピーエンドなのか???
このモヤッっとした感じは意図したものなのか・・・
結末はあまり納得いくものではなかった・・・であります
投稿元:
レビューを見る
映画原作。でも映画とは設定が多少違うんでしたっけ?
事故で記憶を失くしたヒロインのミステリ。治療のためTMS(経頭蓋磁気刺激法)を受けると恋人の「幽霊」が現れ、彼女は徐々に記憶を取り戻していく。その過程がなんともいえず悲痛で、いっそ思い出さない方がいいのでは、とすら感じてしまうのだけれど。避けては通れないんだよなあ。
科学的で難しい物語の印象があるけれど。そのあたりの解説などは分かりやすく、案外と読みやすい一作でした。
投稿元:
レビューを見る
医療についてや、脳についてのうん蓄は
さすが島田荘司さんだわ、面白い。
ミステリーとしてはまぁ、想定内でも
読ませるものだったが
いかんせん、長い、ムダに長い。
投稿元:
レビューを見る
島田荘司最新作・・・かな。
こういう医療的な話とかをバックグラウンドにもってきてって作風が多いですね、最近の島田荘司さん。これはこれで興味深くはあるんですが、内容がそっちにばかりウエイトがいってしまってる感があって肝心のミステリ的な部分がいまひとつパッとしないような。うーん。
今回にしても、結局のところ大学生男女の恋愛話のもつれが発端じゃないのだろうか、結局のところ。それなのに大学で高価なTMSを実験的にせよ使ってってのはリアリティがない。ただ使うんじゃなくてイレギュラーな、一歩間違えば危険をはらんだ使い方なわけだし。。。
ところで、「映画版とは男女が異なる」ってどこかで読んだんですが、映画の存在を知りませんでした。。。
投稿元:
レビューを見る
【映画版とは男女が逆転したオリジナル・ストーリー】事故で記憶を失った糸永遥は不安と焦燥でうつ病を発症。治療のためTMS(経頭蓋磁気刺激法)を受けた直後から恋人の幽霊が現れる。
投稿元:
レビューを見る
糸永遥は、病院のベッドの上で目をさます。しかしなぜここにいるのか、自分は誰なのか、周りにいる人が知っている人かどうかも思い出せない。覚えているのは「雅人」という名前だけ。自分の親友だという佐々木彩に話を聞くと、自分は交通事故で車ごと崖から落ちたのだという。その後も記憶が戻らず、雅人の消息もはっきり伝えられず、不安から遥はうつ病を発症し、自殺未遂をおこしてしまう。そんな遥を見て、彩は自分たちの大学で行っており、雅人も研究していたというTMS治療をすすめる。治療は良好な結果をもたらしたかに思われたが、以前の雅人の研究内容を思い出した遥は、教授たちの目を盗み、雅人のファントムが見るために、磁気をシルヴィウス溝にあててしまう。
ちょっと期待外れだった。テーマありきで映画化ありきだからなのか、全てにおいて説明くさいのと、ストーリーがありきたりでオチも想像通り。短編でいいくらいの話を無理やり引き延ばした感じ。しかしこの男、よくヨリを戻せるな(驚)。
投稿元:
レビューを見る
島田作品は、今まで映画化されたことがなかったのに驚きです。
脳の働きの不思議が、ミステリーを生み出します。
脳はまだまだ未知の領域です。
相変わらず、読ませます。
楽しめました。
投稿元:
レビューを見る
そういう意味の幻肢だったのかぁ。
脳の仕組みは苦手で、ついつい読み飛ばしてしまう…。
せっかく面白いのに、最近の作品は会話文が多くて、好みの文章じゃないことが残念。
投稿元:
レビューを見る
交通事故で記憶障害を起こした遥は、思い出せないもどかしさから鬱病を発症する。TMS治療という最新治療により快方に向かうが恋人の幻を見てしまう。
脳の話は興味深く面白いが肝心のミステリ部分はイマイチ。よく解らない登場人物もいたりして島田荘司とは思えない作品だった。
投稿元:
レビューを見る
無理して若者を主人公にしなくても良いのでは?
若い人を理解出来てるつもりなもでしょうが
この作者の本には違和感のある若者像が度々出てきて
ストーリー以前にそこで躓く事が多くなってきました。