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更生保護の業務に従事しているのに、自分が刑事司法や裁判についてあまりに無知なことが露呈してやるせない気持ちになった。
地域社会における犯罪者への心情は自分も一市民として共感できる部分が多々あった。出来れば犯罪者とは関わりたくない、また自分の大切な人も関わってほしくないと。
それでも自分が加害者側の人間になる可能性もゼロではない。その時、差し伸べられる手があれば、また、かけられる優しい言葉があれば、どれほど心強く感じるだろうかと。
実際、自分がその立場になってみなければ分からないし、ましてや犯罪となれば非日常すぎて想像することさえ億劫になるのではないだろうか。
犯罪者の高齢化や発達・知的な障害についても日本が大きな課題を抱えていることがよく分かった。対応策としては、厳罰化ではなく、弱者を作らないという社会制度そのものの在り方は言うまでもないが、家族が家族として機能することがまずは大事であると感じた。
一人の人間として成熟するという当たり前のことが、当たり前にできる世の中であってほしい。そしてそれは社会制度だけではなく、地域の人々の支え合いが重要な存在になるのだろう。
私自身、見知らぬ土地で子育てという孤立感を味わうまでは、地域のつながりについては無頓着であった。いつか自分が弱者の立場になったら。。そんな想像力を誰しもが持てる世の中になってほしいと思った。