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柚木真喜子という映画監督に関わった6人の女性たちの物語。
柚木が海外の小さな映画祭で賞に輝いたというニュースに触れた6人のそれぞれの記憶と思いが綴られる。
大島真寿美って文章巧いよねぇ。登場人物の言葉と思いを、読点で続けて、パシパシとテンポ良く読ませていき、下世話な話もこの手になると淡~い切ない感じの物語になる。
とは言え、男の私には共感性の薄い話でちょっと喰い足りない感じも、この作者のこれまでの作品と同じく。嫁さんはどう見てるか聞いてみたい気もするな。
最後の章は蛇足な感じだけど、昔、キネマ旬報でこんな具合に映画の脚本めいたものを読んでいたのを思い出した。
映画を題材にした本が続いて、定年になったら、競馬がない平日は昔のように映画三昧も良いなと思ってきた。
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映画監督を続けている女性が海外の映画祭で小さな賞を受賞した。彼女を知る人々の視点から様々な思いを描いた連作短編集。最終章のシナリオの部分は、こう来るかと驚かされつつも、彼女に関わった人たちの胸の内が一つにつながり、読んでいてなるほどと思いました。女性ならではの人間関係のようなものも描かれているけれど、大島さんの書かれる優しい世界観が出ていて、読んでいて心地よかった。
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マイナーな映画を撮る映画監督・柚木真喜子が海外の映画祭である賞を受賞した。
彼女と関わった人、関わらなかった人、関わった人にかかわった人…
それが、柚木真喜子という人物または彼女の作品で意外な繋がりを描き出す。
一番普通で地味なのは、妹の七恵かもしれない。
彼女の姉が映画監督だと知って、スーパーで声をかけて来て話題に喰らいつき、興奮して喋りまくるママ友が強烈。
いるな~、こういう人。
テレビにちょっと出たとか、有名人とつながりがあると聞くと、大騒ぎしちゃう人。
そのセリフが、芋づる式にずるずる止まらないおしゃべりが、すごくリアル。
そのセリフ以外でも、鍵括弧にくくられずに、地の文章の中に台詞が平たんに書かれている事が多いのが、この作家の特徴でもある。
鍵括弧のセリフと違って、立体的に立ち上がってこないセリフたち…
だから、夢の中のように感じるのかなあ…
目の前で会話のやり取りを見ているのが、鍵括弧セリフの部分。
地の文に埋め込まれたセリフは、「で、彼女はこう言うんだよね」みたいに、人に語り聞かせてもらっているような印象だ。
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柚木という映画監督を中心に話が展開。
一人一人の視点から、話が進んでいく。
本人を直接見ることも、その人の人間性を感じることができるが、その周辺の人の話から読み取ると、それとまた違ったかカンジを味わえると思う
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嫌な登場人物が出てこない(ちょっと危険な香りのする人はいるけど)。全体的に、優しいまなざしを感じる。
映画監督である柚木さんに関わる女性6人の物語。
彼女たちの感情や想いが丁寧に言葉にされていて、そして読みやすい文章。
『ピエタ』を読んで、好きになった作家さんだが、
この物語も読んでみて、やっぱり大島さんの紡ぐ言葉が好きだなあと、改めて思った。