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面白いシリーズが始まった。ちょっとした小ネタも小気味よいが、設定が面白い。架空戦記は舞台設定として様々な改変がなされるが、本作は一味違った。米国の人事が陸軍と海軍がそっくり入れ替わっているのである。マッカーサー海軍大将にパットン海軍少将、ハルゼー陸軍中将にスプルーアンス陸軍少将といった風で、架空戦記おなじみのメンバーが全く違うポジションに居るのである。これとは別に、米西戦争でスペインが勝利、ナチスがフランス、イギリス本土を席巻し、カリブ海に日本の鎮守府が置かれていたりと大胆な設定がなされているが、この人事の前には霞んでしまう。そしてこの人事は今のところ大当たり。”お約束”が通用せず、先の読めない展開に一役買っている。
展開としてはおおむね日本側が優位に事を進めているが、要所要所で後の致命傷となりそうなミスをしている。アメリカ側も自らの首を絞めかねない選択を繰り返している。最終的にナチスが漁夫の利を得て終わったとしても不思議ではないほどお互いに下手を打っている。どのような結末を迎えるのか楽しみなシリーズだ。