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著者は同時通訳の第一人者で、外国語(英語)教育の第一人者でもある鳥飼氏。
書名の通り、1974年参議院議員だった平泉氏と上智大学の渡部氏が、雑誌「諸君!」の誌上で行われた議論から今の英語教育までの歴史を俯瞰する書である。
内容としては、単行本にもなっている英語教育論争のまとめや平泉試案を現状からみての振り返り、現在までの英語教育の流れ、英語教育における文法の立場の変遷、これからの英語教育についてなどがまとめられている。
一度読んだだけでは概観を知るだけであったので、必要に応じて再度読んでみたいと思う内容の濃い本だった。
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おすすめ資料 第348回(2016.9.16)
1974年、ある英語教育改革案が出されました。
このとき起こった論争を中心に英語教育の歴史を振り返り、英語教育論の現状と今後について書かれたのがこの本です。
当時一般に「実用」か「教養」かの二者択一のようにとらえられたこの論争が、そのような単純なものではなかったことが解き明かされます。
コミュニケーション英語は四技能のどれも疎かにできないこと。
文法を教えることの重要性。
どちらの主張にも現在に通じる重要な指摘が含まれていましたが、おそらく当事者の予期しなかった形で、この論争が「使える英語」を指向する英語教育へ道をひらく一つのきっかけになったようです。
さて、それも含めた英語教育の歴史をふまえた著者の提言は、何と表紙のデザインに埋め込まれています。
英語教育に携わる方のためのものですが、裏返せば学習者にも大切なことが書かれているように思います。
【神戸市外国語大学 図書館蔵書検索システム(所蔵詳細)へ】
https://www.lib.city.kobe.jp/opac/opacs/find_detailbook?kobeid=CT%3A7200160892&mode=one_line&pvolid=PV%3A7200397611&type=CtlgBook
【神戸市外国語大学 図書館Facebookページへ】
https://www.facebook.com/lib.kobe.cufs/posts/1057726340943737
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1974年に参議院議員だった元外交官の平泉渉が出した「外国語教育の現状と改革の方向---一つの試案」。英語教育の成果があがっていないことへの改革として出された提案は、その後上智大学の渡部昇一との大論争につながった。「平泉試案」以降の英語教育環境の潮流と現状に照らし合わせ、文法教育の要不要、意味か形式か、正確性か流暢性か、モノリンガルかバイリンガルか、英語教育の目的など、古くて新しい英語教育法の諸論点を考察する。これからの英語教育へ向けての提言、グローバル市民に求められる異文化コミュニケーション能力については示唆に富む。
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日本の英語教育に問題があるというのは以前からよく指摘されることではあったが、問題なのは学ぶ側であって、個人的な感想を言わせてもらえれば、学校で勉強した受験勉強はその後に経験した実際の英語対応に大いに役に立った。文法学習は無駄で役に立たないというのは全くの嘘で、持っている知識を役立たせることができるかどうかは、その人の能力に依存する。それは英文法の知識も同様である。