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紙の本
歴史から見た考察~靖国神社の入門書
2014/09/10 21:22
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
今まで何となく避けてきた靖国神社。そこで、今夏出版された3冊の新書を読むことにしました。
まずは、「中立的な立場で書かれたものは少ない(7ページ)」とし、特定の立場に偏らず、「問題を分かりやすい形で整理し、議論の前提となる事柄を共有できるようにすることを目的(10ページ)」として書かれた本書を読みました。靖国神社の創建から今に至る歴史事実の説明が中心で、多くの知らない事実がありました。例えば、以下のとおりです。
・ 人を神として祀ることについて、柳田國男に相談していた(63ページ)
・ 靖国神社は、内戦の戦没者を祀る施設から、維新殉難者を合わせて祀ることで変容し、さらに、対外戦争の戦没者を祀ることで次なる変容を遂げた。そして、戦死した後に靖国神社に祀られることを目的とするような施設に変容し、日本の軍国主義体制を支える上で重要な役割を果たすこととなった(100ページ)。
・ 英霊という言葉が使われるようになったのは、日清戦争から日露戦争にかけての時期(85ページ)。
・ 日中戦争から太平洋戦争へと進んでいくなかで、「死んだら靖国で会おう」ということが、合言葉になっていく(95ページ)。
・ 靖国神社が廃止にならないように米国を騙した(111ページ)。
・ A級戦犯合祀の事実が広く知れわたり、それが問題になることを恐れ、秘密裏にことを進めていった(147ページ)。
・ 当初問題になったのは、合祀ではなく祭祀費用の国家負担(149ページ)。
・ 中曽根や橋本が、抗議さえすれば参拝を中止するという悪しき前例を作った(189ページ)。
・ A級戦犯の合祀が、天皇が参拝をやめた止めた原因(第六章)。
明治2年の創建以来、政治情勢の変化に合わせ、政府に都合の良いように変容していった靖国神社。太平洋戦争後は、戦争犠牲者を祀るために米軍を騙したり、国民に知られないようにコソコソとA級戦犯を祀ったり、天皇の意向を無視したりと、靖国神社のやり口は姑息です。
そして、複雑に絡み合った靖国問題は、平和だからこそ起きる問題であり、戦争になれば消滅するだろうという悲しい結論でした(215ページ)。
本書は、読みやすい構成で、余計な先入観を植え付けるような政治思想の主張はありません。靖国神社を知るための入門書としては最適だと思います。
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