紙の本
著者の思考と作品のつながりが感じられる1冊
2017/12/21 13:27
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投稿者:ららら - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書はショートショートの神様として有名な星新一が書いたエッセイです。
内容は主にどんなときに何を感じたかというのを著者なりの根拠を交えて端的にまとめたものです。
著者のショートショートの特徴として未来予測の正確さや人間観察眼の鋭さが挙げられるが、著者の場合それは基本的に人間の本質が変わらないのであれば『こんなときこうするのではないだろうか』という予測が当たっているということであり、本書にはその『私はこんなことがあってこう考えた』という原体験的な思考の流れが赤裸々に綴られている。おおよそすべてのエッセイの後に『と、いうわけでこんな作品を書いてみた。それが○○という作品である』なる文章が続いても自然に感じてしまうことだろう。
著者の作品の熱心なファンであれば該当しそうな作品を記憶から逆順にたどって様々に思いをはせてみるという楽しみ方もできるのではないだろうか。
紙の本
自慢でも説教でもないエッセイ集
2017/03/25 15:30
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投稿者:tamayo04 - この投稿者のレビュー一覧を見る
エッセイというと、ほとんどが自慢や説教、社会に対して物申すといった感じのものが多いですが、このエッセイは淡々としていて、それでいて深い教養がビシビシと伝わってきてさすがだと思います。真の教養人とはこういう方なのだなあと思いました。
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新版が出てたのでアップ。
ショート・ショートというジャンルに金字塔を打ち建てた不世出の作家、星新一。
その星センセーの所感、雑感、バックステージなどが垣間見られるエッセイ集。
少年の頃にこの本に目を通したことが、僕の人格形成に少なからぬ影響を与えたと思う。
それから大人になるまでも、なってからも。折に触れては手に取る、座右の一冊。
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ショートショートは澄んでいるけどどこか皮肉っぽいところがある話を書く著者だが、エッセイとなるとウィットにとんだ静かな面白さを含んだ話を書く。
文体もひねてなくてよいが、やっぱりご本人が面白いのでしょう。看板を集める話とか、行動自体が面白くてにやりとするが、それよりもSF作家ならではの、未来予測が楽しい。書かれた時代が時代なので、今そのとおりになってるよ!とかそうはならなかったよ!とか、本気なのか不真面目なのかわからない想像に突っ込みを入れたくなる❨大体は外れてるので多分楽しい妄想がほとんどなのだろう❩。
エッセイは今後も北杜夫と清少納言以外読まないだろうと思っていた私でも、これはまた読みたいと思う作品なので、どうもエッセイのテンションが苦手、という人も楽しめると思う。
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100以上のエッセイが収録されていて、読み応えがある。上品さ・ユーモラス・機智に溢れていて、読んだ後は、少し自分が賢くなったような錯覚に陥る。癖になる言葉が多く、日常会話でこの単語を使って人を笑わせてみようか、と妄想するのも楽しい。自分のユーモアを高めるべく、星新一の作品を読み続けたい。
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随分昔に読んで楽しかったが、内容をほぼ忘れた頃を見計らって再読。数えてみたらなんと50年ぶり。
やはり楽しいし、新たな気付きもあった。
星新一、筒井康隆、小松左京などを手当り次第に読んでいた中高生時代を想い出す。
この人のショートショートはもちろんだが、エッセイもなかなかの腕前だと思う。
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ショートショートの神様は、優れたエッセイストでもあった。
テディベアへの並々ならぬ愛と考察を書き綴った「クマのオモチャ」、そして自身のミステリー短編の着想元にもなった奇妙な出来事を語る「夏の日の事件」から、エッセイ集は幕を開ける。もうこの二編の時点で尋常じゃないくらい面白い。
中でも極めつけに好きなのが、「野球について」だ。ここで星氏は、所構わずバットを振り球を投げる人々に対し、"スポーツはすべてに優先するとでも思っているのだろうか。そんな説が通用するのなら、やつらを銃で射撃してみたらどうだろう。射撃だってりっぱなスポーツだ。"とまで言い放っている。
エッセイを読む限り、彼はこのような、どうでもいいとも切り捨てられるようなことを、日夜ぐるぐるぐるぐると考え続けていたのだろう。ショートショート作品にも垣間見える、独特の着眼点にも納得がいった。俗に言う、"解釈一致"というやつだ。もし、彼の生まれたのがもう80年ほど後だったとしたら、さぞや愉快なαツイッタラーにでもなっていたのではないかと、個人的には考えている。