紙の本
誰もが通過する家・家族との訣別を綴った切ない物語です!
2016/08/28 10:34
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、ある特殊な、しかしどこにでもある家族を描いた物語です。主人公の理加子は、軍隊にも劣らないほど強権な父親と一度も家族を愛したことのない母親のもと、大屋敷の一人娘として育ちました。小さい頃から「不良になるから」という理由で、映画、読書はもちろん、電話、手紙に至るまで禁止されてきました。それでも、理加子は親に逆らうことができません。そんな彼女の前に粗暴で強引な男性が現れ、不思議にも理加子は次第に心を開いていきます。さて、理解子はどうなるのでしょう。そして、その男性は一体どのような人間なのでしょう?
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普通の家族、普通の恋愛……「普通」という言葉の重圧に押しつぶされそうな人がいる。高齢処女3部作の最高傑作。
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初めての姫野カオルコ。チェックしてる本のBLOGで、良く推薦されてる。 でも読んだことなかった。でも新しい人に挑戦しようと読んでみた。したっけ、面白かった!なんか結構三浦しをん的大げさな、詩的書き方。厳しい両親にとらわれてしまっている29歳の女性の話。とてもつらい環境で、恋をして、変わりつつ… とってもいいなぁと思った。恋愛。なのに!ラストに悲しくなり、でも、ラストのラストによしって思った。
あぁ、意外と良い作家見つけたなぁ。
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「不良になるから」という理由で、映画も読書も禁止、手紙も開封される、
そんな家で育った29歳の理加子。
う〜ん、ものすごく歯がゆいけど、でも気持ちわかるかも・・。
「家」って、結構重たいです。
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2005.09.09. 彼女の本は、なんとなくHっぽいのかな~と敬遠してたけど。全然そんなことなかった。うまい。好みの感じ。処女三部作の一作目なんだけど、異様な家族。がんじがらめになってる主人公。悲しいものがある。
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厳格な父、家族を愛さない母。
不良になるから、を理由に手紙、電話、
映画、読書に至るまで禁止される家庭で
育った主人公の心情が次第に変化していく。
現実味を帯びないようでいて実はリアルなのかもしれない。
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姫野カオルコの頑なさを、代表するような話。オリーブの書評でべた褒めだったので読んでみました。初めて読んだときは「空に住む飛行機」という題名で、何度も何度も繰り返し読んだのを覚えています。救いが全く無いので読後感は人を選びます。だけど、頑なな状態にあると、簡単な救いが実行できないものなのかもなあ、と思ったりもします。
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すごく怖い。
でもときどき共感できる。
それがまた怖い。
姫野さんの作品に多く見られる、主人公と人生観
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初めて姫野カオルコ作を読んだ。文章が読み易くおもしろかった。
はじめのプロローグでかなり引きつけられる。
「ふつう。ふつうという巨大。」
確かにふつうって何だ?! 誰しも「ふつう」でないところがあるはずだ。私も「うちはふつうじゃない!」と両親にぶつけ、いつも八つ当たりしてしまう。理加子の家ほどではないけど。
理加子はかわいそうだ。生まれたときからこんな親に育てられたら、それが当たり前、ふつうになってしまう。マインドコントロールだ。
「家」というのは一番小さい孤立した個々の塊で、その中の家族は血縁という鎖につながれた集団だ。大人になるにつれ家族以外の人と接するなかで、いろいろな「ふつう」に気付く。理加子は家族があまりにも「ふつう」と違うので、もがいている。
「精神がすさみ 人生が息苦しく めんどうになるとき ぼくは身を軽くして 1グラム弱にして飛んでゆく」
この気持ちは少しわかる。どうしようもない現実から逃げてしまいたいのだと思う。だからシナリオだって書けるのだ。
でも最後は江木と別れてしまっても、前向きに自分の足で一人で生きていこうと決心する。同じ29歳として誰かにすがりたくなる年齢だ。とても勇気がいると思う。
三部作「ドールハウス」「喪失記」「不倫(レンタル)」からなるということだから、読んでみたい。
(作中の詩「ミッシェル・ポルナレフ」)
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不運な家庭のレシピっていうのは尽きない。
凄惨と残虐に限りはあるけど異常に限りはない。
両親の設定がいなさそうだけどいそう、ここまで偏ってなくてもこういう人いるっていう絶妙さ。
最後はちょっとずるかったけど。
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『処女三部作』の第1弾。
家庭(両親)にガンジガラメにされている30歳目前の一人っ子が主人公だ。
゛普通゛であることの素晴らしさを実感できる。
結末に「ガンバレ!」と声援を送りたくなった。
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戦後なお日本の長子に負わされる「家」なるものの在り方を、主人公がめぐりあった小さな出会いを引きに語る。
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親がこわい。
異常なところも、自分と重なる描写も、自分自身の心情としても。
なんか、自分がもうちょっと行きすぎたらこうなってそう。
男はサイテーだ。
やっぱり姫野さんと友達になりたい。
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ふつうであるという概念を考えさせられた。
ドールハウスから始まる処女三部作だが、
あたしは3つめの不倫(レンタル)から読んでいる。
姫野作品は、恋愛に対する万民の「ふつう」を一蹴するところが、読んでいてすがすがしいから好きだ。
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どこまでも暗いイメージ。
キチガイか?と思うような父母。がんじがらめにされ、
自分の価値を貶められ、まともな考え方ができないよう育てられた理加子。
そんな彼女も30を前にいろいろと思うところが育っていった。
終わりはがっちりと閉ざされていた扉が音を立てて開いていく様子が伺えて、読者側はよかったなぁ、と思える。