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面白かったのは最初の100ページと最後の50ページ。それとレムのあとがき解説だった。
不気味な黒人女性との出会い(結局彼女は何だったのか…ギバリャンにとってのそれなのか…?)やハリーが出てくるくだりの緊張度は非常に素晴らしいものがあったんだけど。
中盤は物語における過去の解説が大半で、説明口調なところがあって興醒めした。
そのテーマについては興味深いものがあったんだけど、これから起こる現象を通じて描けなかったのかなぁって上から目線。
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タルコフスキー監督『惑星ソラリス』を観て読みました。映画と違ってソラリス学の考察(学説)が、結構な割合を占めていて、難しく理解出来なかった。ただ人間的思考から「未知」を「既知」と捉えるのではなくて、「未知」は「未知」のものとして考えられたことに、すごく納得いった。
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意志を持つ「海」で覆われているという惑星ソラリスに赴任した研究員が見せつけられる過去のトラウマ。「海」の仕業らしいが、それが何を意図したものなのかは最後までわからない。
未知なるものとの遭遇がどういう意味を持つのか考えさせられる。
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映画化も2度。スタニスワフ・レム氏のSF小説。
森見登美彦氏の『ペンギン・ハイウェイ』の海のモチーフにもなっている作品で、いつか読みたいと思っていました。
1960年台に発表されている作品なので、『2001年宇宙の旅』とか『スターウォーズ』とかとほぼ同時期の作品なんですね。
「ソラリス」は、精神に働きかける海。作中でも心理的な生体解剖と表現される海からの働きかけは、かなり残酷です。主人公たちの苦悩がしっかり描かれていますね。読んでいて、結構、重苦しかったかも。
また、あまり背景が語られない作品なので、理解しながら読むのが難しかったのも事実。
ただ、同時期のSFの中ではかなり異色と言ってもいいんじゃないでしょうか。未知との遭遇のひとつの形ではあるのですが、ただの宇宙戦争ではなく、何重にも折り重なったテーマ性が作品を深いものにしていると感じました。
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不可知なる物を目の当たりにすると、こんなに豊かなドラマが生まれる。
映画版は割とメロドラマティックな展開が印象に残りますが、原作はもっと淡々とした情景描写やSFチックな解説調の文章が多く、とても静かな作品です。が、ソラリスの海という最後まで謎のままの舞台装置を通じて人間の内面を照射する世界観は、原作も映画も同じスタンスを取っていると鴨には思えました。大きな盛り上がりはないけれど、しみじみと来ます。
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レムの小説は重いテーマのものと軽い警句ものの2種類に分かれますが、この小説は重いテーマのもので考えさせられます。タルコフスキーの映画もその重いテーマを表現していて感動したのを覚えています。
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とっても読まされる。けど期日がきて図書館に返却して中座してます。研究所の何かが起こっている緊迫感にとてもワクワクし、主人公の恋人が不気味でありつつ可愛くて、可哀想。圧倒的に分かり合えない、という体験がざわりと押し寄せる。
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読みたいと思っていた小説をついに入手!
序盤はホラー
中盤は恋愛
終盤は哲学
的なSF小説。
50年前の作品とは思えない。テープレコーダーあたりは時代を感じるけど笑、今読んでも面白いと思う。ソラリスに浮かぶ宇宙ステーションが鮮明にイメージでき、映像化されるのもわかる。
最後がちょっと理解しにくかったけど、色々な読み方できそうなので、もう一度ゆっくり読んでみたい。
(追記)
終盤、寝不足でない頭で読んだらすっきり読めた。
壮大なソラリスの描写が美しい。
☆5に格上げです。
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過去に読んだ本。
2006年頃かな?
ファーストコンタクトもののSF。それも理解不能な生命との。
かなり暗い作風だった。
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水の惑星ソラリスにたゆたうその海は、実は意志を備えた一つの巨大な生命だった、という舞台設定が印象的な、ポーランドのSF作家スタニスワフ・レムの代表作。SFにはファーストコンタクトもの、という再分化されたジャンルがあり、『幼年期の終わり』などがそれに属しますが、この作品も同様であって、主軸になるのは未知の存在と接触したとき、一体われわれはいかなる反応を示すのかという壮大な思考実験小説です。
独創的なのは、その海の設定。海が備えている意志とは一体いかなるものなのか。知的生命体同士が接触したとき、われわれが考えている高度な知性という語の有効範囲は、必然的に修正されざるを得ないものですが、それ自体はSFそのものの古典的なテーマであり、地球に存在する論理や、あるいは倫理といったものが通用するかというのは、幾度となく描かれてきたものです。しかしこの作品ではそこからもう一押し、果たしてそれが理解可能なものか、という根源的な問いにまで突き進んでいきます。あるいは、容認可能なものか、といってもいい。さらにはいかなる選択をすべきか、ではなく、選択そのものが不可能であると思われる領域まで、周到に運んでいく。
何を書いてもネタバレになるので差し控えますが、ここで引き起こされるのは人間同士の悲劇であり、だからこそ海の未知性は強調され、そして人間の悲劇は喜劇めいた響きを強めることになります(それは、ブラックユーモアといった話ではなくて)。
文明の想像力が妥当する範囲には限界がある。だから……ではなく、その「だから」という接続詞そのものが失効してしまう極北がある、ということ。この小説に明確な着地点はありません。しかしその先に広がる深淵を垣間見ることはできます。つまりこの小説そのものがひとつの極北である、ということです。面白かった。
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無意識とか夢とか宇宙とか・・・精神分析に似ている。SFなんて心理学さ。海に似ているのさ。曖昧なんだよ結局は。それがいいんだと思う。具体的に決めてしまえば、すぐに壊れて崩れてしまうんだ。形のないものだから人は大事にできる。ただそれだけなんだ。それが正義さ。
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2012.1
森見登美彦が「ペンギン・ハイウェイ」のきっかけになったと言っていたことから。
もっと難解かと思ってたけど、文体は意外と簡潔で読みやすい。でも読んだ後、「あれ、どういうことだろう」と考えさせられる感じ。
不完全な神のくだりとか。
ソラリスの情景描写がすごい。これを完全に再現して映画化すればいいのに。
そういえばリメイク版の映画を先に見ていたんだけど、こちらも別に嫌いではなかった。静かな雰囲気が良くて、地球の回想シーンもなんかきれいで好きだった。
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作者の言う“相互理解の成立は類似というものの存在を前提とする。しかし、その類似が存在しなかったらどうなるか?”という言葉に尽きる話。
異星人とのコンタクトを描いたSFはよくあるし、自分もそれなりに観たり読んだりしていると思うが、それは相互理解(対立する立場も含め)が成り立つ前提でのお話なんだなあと思った。そういう意味で、概念を覆された経験が出来た。
あとがきを含めての星4つ。またじっくり読み返したい一冊。
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ひとつ思ったのは、ソラリス(というか海)とお客さんの関係は、いわゆるキリスト教における神と人々の関係に似てるのかなと。神が人を作り、人は神の意思が何かなど考えずに好き勝手に行動する。ソラリスでのハリーの自殺も、海自身の意思とは無関係であるのだろうという気はします。つまりハリーはハリー自身の意思で行動していると。海が何のためにお客さんを作り出しているのか、というのは、神がなぜこの世界を造りたもうたか、という問いと同様に、我々には推し量ることすらできない問いなのではないかという気はします。
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宇宙船から、惑星ソラリスを見下ろす。それだけの舞台で、物語は大きく広がっていく。
死んだはずの妻との再会。理解し合えない研究者たち。膨大に作りつづけられる無意味な資料、人間の挑戦の歴史。そして、ソラリスからやってきたものの選択。
それらの出来事から主人公が受けた、宇宙を抱く不完全な神のイメージと、ちっぽけな人間の誇り。
最後、一人ソラリスに降り立つデイビッドに勇気をもらえる気がする。
いかに人生が理不尽でも、人は努力しつづけることができるはず。