紙の本
「ハードボイルド」の基準は?
2015/06/08 19:58
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投稿者:papanpa - この投稿者のレビュー一覧を見る
ウィチャリー家の行方不明の娘を探す依頼を受けた私立探偵リュウ・アーチャーだったが,当然のように殺人事件へと導かれていきます。
個人的感想
「さむけ」に続き、ロス・マクドナルド 2作目にチャレンジ。
探偵は,「さむけ」でお遣いRPGを演じたリュウ・アーチャー。
ただの御用聞きというキャラだったので,思い入れ無し。
今回は殴られたりして,少しはアクションがあったが・・・。
「ハードボイルド」ってジャンルは,何を基準にしているのだろう?
ミステリ的な部分では,「はい,ココ!!怪しいでしょ?」って,ロスさん,見せすぎです・・・。
悪くはないが,オチが効いている分「さむけ」のほうが面白かったかな。
紙の本
スタイルは抜群だが
2002/02/22 20:15
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投稿者:ひろぐう - この投稿者のレビュー一覧を見る
『動く標的』の欠点であったプロットが深化されていて、サスペンスや謎の魅力も倍加されている。ストーリーの展開がスムーズで停滞がなく、描写もすっきりと的確で無駄がない。ハードボイルドにつきものの無意味な活劇や、主人公のスタンドプレイといったものが極力排除されていて、文学としての風格のようなものも感じられる。
ただ、ストーリーそのものにリアリティが乏しく、せっかくの家族の崩壊という現代的なテーマが死んでしまっているように思う。だいたい海千山千の探偵が、○○○を○○○と勘違いする、なんてことはありえないだろう。スタイルが抜群なだけに不満も残る作品。
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ウィチャリー家の女
2001/09/10 11:40
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投稿者:死せる詩人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロス・マクドナルドは、ハードボイルド作品における初期の大家であるレイモンド・チャンドラーの正統な後継者であると言われている。本書は、その評価をなんら貶める所はない。サッパリとしていてともすれば淡泊だと感じる文体は、鬱陶しい独白小説と化している幾らかの現代のハードボイルド作品のそれとは全く違い、作品全体にモノクロームの帳を下ろしている。
しかしながら、マクドナルドは単にチャンドラーの縮小再生産には収まらず、マクドナルドらしさを本書で遺憾なく発揮している。人間関係を中心に描きながらも、ハードボイルドがそれだけではなく、ミステリの一ジャンルであることを思い出させるような謎があり、トリックがある。
単なるミステリはもう飽きた、でも独白小説なんて読みたくない、そんな人にお勧めの一冊かもしれない。
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恥ずかしながら、初めてのロスマク。“アメリカの悲劇”を描いたという先入観があったせいだろう。ミステリ的仕掛けの多さに驚いた。ハードボイルドに何を求めるかによって、評価が大きく分かれる作品では。予断だが、本作を読んでいてコリン・デクスターの某作を何度も思い出した。
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死んだと思われていた人が実は生きているというプロットはよくあるのでそれは予想がつくけれども、かなり緻密で複層的な、ちょっと無理があるんじゃないかと思われるようなプロットの複雑さはすごい。もちろん僕なんかは一読しただけでは最初の方の伏線を回収しきれない。
無理がある、と書いたのは、数人の人物の思惑によってはからずも一人の登場人物が大きな悲劇に見舞われる、という点で。
リュウ・アーチャーの乾いたユーモアと、彼の態度も、ハメットやチャンドラーのハードボイルド探偵小説とはまた少し違った意味で、良かった。
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リュウ・アーチャー・シリーズ
自分が2カ月間の旅行中に消えた娘・フィービを探すように依頼してきたホーマー・ウィチャリー。旅行に行く直前船に乗り込んできた元妻キャサリンとの争い。キャサリンの家の不動産業者ベン・メリマンの遺体発見。キャサリンの行方。ウィチャリー家の中の問題。メリマンの義弟スタンリー・クラインの死。秘密を握る人々の死。フィービの恋人ボビー・ドンカスターの抱える秘密。岬で発見された車。毛布に包まれた裸の女性の遺体。ホーマーの義弟トレヴァはフィービの遺体と証言するが・・・。
2011年10月2日読了
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傑作.私立探偵アーチャーが,富豪からの依頼を受けて,その娘の失踪を探る.現在起こり続ける犯罪と過去に起こったできごとが複雑に絡みながら話は進んでいく.よく計算された結末であり,少しの光も見える.
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この時代のハードボイルドは無駄な打ち合いもなし。
アーチャーのシニカルながら割と紳士的な態度も好感が持てる
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歪んだ愛情が織成す悲劇、いや正直な気持ちを押し殺したゆえの反動と云った方が正解か。
現象はあまりにも単純。2人の男と1人の女の死。犯人はしかも1人。
しかし、その1人を炙り出すための炎は関係者各々の魂を苦く焦がし、また探偵自身も自らを焦がす。
だが、あくまで彼は傍観者の立場を貫く。だから慮る事もせず、また望むのであれば自害の手助けをもする。
現時点では三ツ星だが、我が胸に徐々に立ち上る感慨は治まりそうにない。
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サンフランシスコの波止場から姿を消したフィービ・ウィチャリー。父親から依頼されたリュウ・アーチャー。しかし事件は父親の予想とは違う悲劇へと進む。ロスマクの最高傑作と言われるが、ロスマクはかなり重い。本腰入れてじっくり読まないと見失う。
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失踪した富豪令嬢の行方を捜すアーチャーの前に、悪党どもの死体が次々と転がるという展開。アーチャーも殴られて意識を失うという、お約束をみせるし、普段よりはタフガイ探偵っぽいかも知れない。とはいえ、込み入った真相はいつも通り。もっとも少し薄味かな。
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寡作な作家であったがつまらない作品はひとつも無い。この作品もやや無理な設定はあったが最後まで一気に読み終えた。
最後に殺人犯は告白書を残して自殺するが悪人ではなく悲しい終わり方だ。
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トリックに無理がある。
いくらフェアプレイ(地の文で嘘を書かない)していても、このトリックは成立しない。
ミステリというのはメイントリックがだめだと、点が辛くなる。星二点だ。
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<私立探偵リュウ・アーチャー>シリーズ第十作目。本書を含む三作品が円熟期の傑作と呼ばれているらしいが、その評判に違わぬ素晴らしい出来栄え。失踪した女性の捜索というお決まりの展開ながら、終盤の鮮やかな回収劇は圧巻の一言。ラストシーンに漂う虚無感も実に印象的。<質問者>アーチャーの地道な積み重ねが着々と真相に肉薄する筋運びの上手さをまざまざと見せつけられた。これだけの作品ならば、トリックの現実味に関しては四の五の言いませんよ。前時代的な言い回しも幾らかあれど、普遍的で色褪せない小笠原豊樹さんの翻訳も最高です。
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ロス・マクドナルドの作品としてはそこまで複雑なプロットではなく、読みやすい作品。
大富豪ウィチャリーに娘フィービの行方探しを依頼されたアーチャーに見えてくるのは、ウィチャリー家の闇の部分であった。
相変わらず執拗に聞き手となるアーチャの真骨頂といったところです。
長年愛していた女性を殺してしまう男の身勝手さが哀しい作品でした。