紙の本
最後までハラハラドキドキ
2021/04/15 15:17
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投稿者:こひめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
もうどうなることやらと不安でした。物語の終盤になるのに確実な手掛かりは全然見つからないし,その間に人はどんどん亡くなっていくし,主人公は事件が進展しないイライラ+アル中の葛藤と戦わなきゃでどんどん鬱になっていくし、、、読んでいるこっちまで鬱が40%くらい感染っちゃったくらい気が重いお話でした。「カッコいい探偵が華麗に登場して,難事件をズバズバ解決していく」話を望む人にはこの本は向きません。1人の生き方が不器用な男があがいていく様を見たい方にオススメです。
紙の本
エンタテイメントに徹した佳品
2002/02/12 18:38
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投稿者:ひろぐう - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公のマット・スカダーは、ある意味で紋切型でクサい部分もあるのだが、それでも背景の街や他のキャラクタやストーリーの展開の中にしっくりと溶け込んで人工の跡をとどめていない。ストーリーそのものは驚くほどでもない標準的・通俗的なものだが、最後までサスペンスが持続するし、終盤の山場での活劇からしんみりとしたラストに至るまでの起承転結の構成が素晴らしい。エンターテイメントに徹しているところが好感が持てる。細部まで目配りの利いた完成度の高い好編。
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分類したらハードボイルドミステリなんだろうけど、主人公のマット・スカダーの変化を追う方が面白い。だから、おれの中ではミステリとしての評価はあまり高くない。
しかし、それでもこの本は傑作。シリーズ1作目から通して読んできたので、この本の最後は涙が出た。
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梁朝偉が20年近く拘ってる本ということで読んだ。なんかね、好き。いいよ、この本。長いし、ミステリーとしてはかなり微妙だけど、スカダーさんが好き。シリーズものなので他も読んでみようかな。
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「アームストロングの店に彼女が入ってきた。キムというコールガールで、足を洗いたいので、代わりにヒモと話をつけてくれないかというのだった。わたしが会ってみると、その男は意外にも優雅な物腰の教養もある黒人で、あっさりとキムの願いを受け入れてくれた。だが、その直後、キムがめった切りにされて殺されているのが見つかった。容疑のかかるヒモの男から、わたしは真犯人探しを依頼されるが…。マンハッタンのアル中探偵マット・スカダー登場。大都会の感傷と虚無を鮮やかな筆致で浮かび上がらせ、私立探偵小説大賞を受賞した話題の大作。」
解説より
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アル中探偵・スカダーが活躍する本書。特に奇妙な話でもなく、華麗なトリックがあるわけでもない(大概のハードボイルドはそうですが)。しかし、八百万の死にざまがある腐った街の描写が秀逸でその空気がビンビンに伝わってくる。その雰囲気が最大の魅力であるような作品でした。
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アル中探偵が主人公の極上ハードボイルドミステリ。正直言って、事件そのものはどうでもいい。誰が犯人であろうと関係ない。ただただ、事件を追いかけるスカダーを始めとする、登場人物たちの持つ魅力にのめり込んでしまうタイプの話である。暗いけど。
前作に比べて、主人公が酒を飲むシーンは少ない。飲めば死ぬと言われているからだ。つまり、飲みたい気持ちを必死で押さえながら捜査を続けるシーンが延々と続く。文章がうまいせいもあり、読んでいるこっちが苦しくなる。酒が好きで、最近ちょっと飲み過ぎているかな、なんて思っている自分ならなおさら。
ラストの主人公の一言。ほとんど伝説のようなシーンなのだけど、僕個人は余り感動できなかった。初めて読んだときも、そのときよりずっと共感的に読んだ今回もそう。なぜだろうなと思う。むしろ、同じアル中の女性と主人公のやりとりのほうが、特に彼女の思いをイメージすると、ひどく心が揺さぶられる。もうひとりの主要登場人物である黒人の心の中にある孤独も。
2009/7/14
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アル中探偵マット・スカダーシリーズ。アル中の辛い症状、酒の誘惑の強さ、AAの実態とか、かなり掘り下げて書かれていて、とても良かった。ミステリーももちろん良い。ローレンス・ブロックは「泥棒探偵バーニィ」シリーズはかなり読んでいるが、マット・スカダーは初。楽しかったです。結構長くて読み応えもあったし。
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ミステリーっていうよりハードボイルド。
わたしにはちょっと・・・。
真犯人はだれ?という読み方をする本ではなく、主人公、登場人物のそれぞれの生き様を感じながら読まねばならないストーリーだということに、遅ればせながら気付きました。
ニューヨークの怖さが分かる本といったらこれ!って感じですか。
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とても読みやすかった。大雑把に言うとチャンドラーよりもパーカーよりな印象で間口は広そうな気がしました。日々のアルコールとの葛藤、新聞を飾る事件の数々、これを繰り返すことで主人公のやりきれなさを浮き立たていたように思う。ただあまりにもそれが多すぎた感は否めない。あと、犯人・・・ちょっと唐突なように私には思えましたが、ラストはスカダーが自分の殻を破れたようでなかなか良かった。 チャンスが魅力的。
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「飲まない日はいつもいい日だ。正気でいられるからね。でも、それが、飲まないで正気でいるってことが、アル中にとっては何よりも辛いんだ。」
わたしはそうでもなかった。退院して九日か十日経つが、あと二三日素面でいたらまた飲もうと思っていた。
アル中探偵、マット・スカダーの登場である。
ニューヨーク、マンハッタンを舞台にした探偵小説シリーズの第四作。
実在のビルや街角が出てくるので、グーグルアースでチェックすればニューヨーク通にもなれる、ちょっと古いけど。
このシリーズのなかで、主人公のアル中が少しずつなおって健康になっていくんだけど、話はだんだんおもしろくなくなっていく。
そりゃあそうだ、身を持ち崩したアル中探偵だから共感できるのに、お金持ちになって健全な倫理観などを持ち始めるとろくなことはない。
アル中で苦しんでいるシリーズ途中でやめておこう。
もちろん小説の中のお話。
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こちらの本格的ハードボイルドも驚いた。
主人公がアル中の治療を始めていた。
このままどこまで落ちて行ってしまうのかと心配していたので良かったし、
主人公の弱さが現実味を出していてして良かったが。
この先、どうなるのだろう。
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タイトルだけ知ってた本を読んでみる その1
アル中探偵とヒモらしくないヒモの友情がよかった。
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舞台は無数の殺人事件の起こるニューヨーク。「裸の町には800万の物語があるのです」というテレビ番組の決まり文句をを殺人課刑事が「800万の死にざま」と皮肉る。この「腐りきった」町の中でアル中の私立探偵がコールガールの殺人事件を追う。
ミステリーとしては派手な展開はない。賭けボクシング、場末の酒場、ひも、モーテル、謎の黒人、おかま、タレこみ屋というハードボイル世界の中で、主人公が地味な探偵活動を行い、犯人を探し出してゆく。
この小説は純粋なミステリーというよりも、主人公が欲望を抑え、いかに自らのアルコール中毒に折り合いを付けていくかという過程を描いた一種の教養小説として読むと面白い。主人公が毎晩通うセント・ポール教会でのアル中の集会で主人公が聞いたこと、自分の発言のシーン、禁酒して8日目の出来事は非常に印象的。特に、最後の2段落は長い間、余韻が残った。
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[不条理の交差点で]ある出来事が引き金となりアルコールから抜け出せなくなった私立探偵のスカダーは、コールガールから「ヒモとの縁を切りたい」との依頼を受ける。男との話し合いもつつがなく進み、何事もなく幕が引かれると思ったのだが、男とそのコールガールが面会をした翌日、彼女がとあるホテルの一室で惨殺されたという報がスカダーの下に届き…...アメリカ私立探偵作家クラブのシェイマス賞を1983年に受賞したハードボイルド・ミステリーです。著者は、映画『マイ・ブルーベリー・ナイツ』の脚本も手がけているローレンス・ブロック。訳者は、ミステリーの翻訳を主に手がける田口俊樹。
(限りなく良い意味で)小説から漂ってくるすえた雰囲気がたまりません。無関心と不条理に貫き通されたニューヨークという舞台で、これ以上なく渋く、それでいて人間臭く生活を送るスカダーというキャラクターにまずは心を奪われるはずです。ハードボイルドという言葉がなんとも時代遅れに感じられる今日ではありますが、本書中で交わされる会話も含め、この作品にはまさにその形容がピッタリと来ます。
ミステリーの側面でもこれまたお見事。特に後半に至ってグッとアクセルを踏み込んだかのようにグイグイと読者を引き込んでいく様に、「ミステリーにハマっちゃうのってこういうところなんだよね」と思わずにはいられませんでした。書かれた頃からずいぶんと月日が経過していますが、それでも色褪せない、というよりも逆にヴィンテージもののような渋いカッコよさがつきまとう一冊でした。
〜私には彼を許さなければならない義理などない。許すことは神の業だ。私のすることではない。〜
どうやらローレンス・ブロック氏の作品群の中でもこの作品が3本の指に入るようで☆5つ