紙の本
ハルさんみたいな人になりたい
2014/11/10 18:13
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投稿者:KAZU - この投稿者のレビュー一覧を見る
大学時代のサークルのニックネームが「ハル」だった。
そして、将来糸島近辺に暮らしたいなぁと思っていた。
現在福岡市内在住。
ちょっとずつの、縁あるキーワードに引き寄せられて。。。
途中で一度、泣いてしまった。
「あるある」な舞台設定かもしれない。
でも、だからこその、深く浸透してくる感じというか情景が、しみじみと良かった。久しぶりに編み物をしてみようかなと思った。
母が得意だった編み物を。
今度、読む時、私は何をしてみようと思うだろう。
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「あなたには残酷なできごとが起こりませんように。しあわせな人生でありますように」
おハルさんは、私の頬を両手で包んで微笑んだ――。
福岡市内の団地暮らしだった加奈子は、父の突然の思いつきで、山々に囲まれた小さな村に引っ越すことになる。
都会とのギャップにとまどいながらも、すぐに仲良しの友達もでき、自然の豊かな恵みに満ちた田舎の暮らしに魅了されていく。
中でも特別な存在はおハルさんだ。
童話に出てくるような家に住み、いつもおいしいジャムやクッキーを作ってくれるおばあさん、おハルさんは子どもたちの人気者。
だが、大人たちの中には彼女を敬遠する人もいた。それはおハルさんが毎月行っている死刑囚への慰問が原因だった。
なぜおハルさんは、死刑になるような人に会いに行くの……?
そんな素朴な疑問から、加奈子はおハルさんからさまざまな話を聞くようになり、命の重みや死について、生きていくことについて、考えるようになっていく――。
福岡・糸島の地を舞台に、深い森がはぐくんだ命の記憶を、少女のまなざしで瑞々しく描いたあたたかな物語。
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なんとなく勝手に悲しいことが起こる物語のような気がしていたのだが、ちっともそんなことはなく、あたたかな気持ちで満たされる物語だった。にぎやかさや便利さ、都会のごちゃごちゃが何もない自然あふれる田舎の森での暮らしは、ほんの短い間のことだったがとても濃密で、大切なことをたくさん知ることができ、加奈子にとってかけがえのない時間になったのだった。さまざまな思いを抱える人がいること、そのどの思いもとても大切であることを改めて思わされる一冊でもある。
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田舎に越した小学生の一年。
あの位の年頃の空気感、田舎の暮らし
一言一句あじわうように楽しんだ。
懐かしい、色々なことが思い起こされた。
とても豊かな気持ちになれる本。
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猫と子供は遠慮なくてしなくていいのよ、大人はあなた達の嬉しそうな顔が一番嬉しいんだから。おはるさん。オケラの気持ち。ただ、にこにこしていることよ。それだけ。本当に、いい話、田舎に住みたくなった、トトロが出てきそう、博多弁も好き。
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YAに入るのかな。是非、子どもに読んでほしい。
田舎に引っ越して、なじんで、いろんな人に出会って、主人公の加奈子がまっすぐ素直に内面から成長する姿がすごくいい。
死刑囚の慰問をするハルさん、近所の同級生咲子ちゃん、学校の先生、習字の先生、皆優しく、真剣に関わり合い、生きている。
時代背景も自分と重なり、良き時代だったのだな…と思った。
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西の魔女がきた、のような空気を持つストーリー。小学4年生の加奈子が福岡の街から田舎に引っ越してきた1年間を描いた。
著者の子供時代がモデル。
死刑囚の母とよばれた白石ハルさんをモデルにした人も登場する。
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東さんの新刊、楽しみに読む。
事前情報なく読んだので、題名から東さんの作品にある
現実と夢うつつの入りまじった少し不思議な話かと
思っていたが、著者の子供時代の爽やかな思い出の物語だった。
その当時住んでいた、この物語の舞台となる
福岡県糸島郡に実際にいた死刑囚の母と呼ばれる
白石ハルさんも主人公かなちゃんと交流のある
近所の素敵なおばあさんとして出てくるフィクション。
主人公の小学四年生のかなちゃんと、
近所の同級生咲子ちゃんの
子供ながらに真剣に物事を考える姿勢とか
一生懸命自然を楽しむ姿とか、
将来の夢を語り合う場面とか、
読んでいてとても楽しく、これから大人になる
子供時代のなんと夢多く意欲溢れることかと
こちらまで意気揚々とした気持ちになって
読後感も良かった。
俳人だけあって、自然や空気の感じ方がリアルで
情景が素敵な情景が思い浮かぶ場面がたくさんあって
その部分だけまたしみじみ読みたいなと思う。
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福岡県糸島半島で小学4年から1年間過ごした加奈子の経験と心の成長が書かれている。自然の中で、イキイキとしていく加奈子。ステキな1年間だったね〜
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気鋭の歌人が書いた小説ということで期待して読んだが、たいしたことなかったというのが正直な感想。
ハルさんという女性の描写に深みがないことが一番の原因と思われる。
語り手の少女の気持ちはよく描けているように思うが、作者が少女の位置に留まって、ハルさんの高みに届いていないのではないかな。
フィクションでいいからハルさんの人となりをもうちょっと書きこんで欲しかった。
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福岡県の糸島地方。自然の素晴らしさと、育っていく少女の様子が生き生きと描かれている。方言もステキ。
白石ハルさんのことも、初めて知った。
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田舎に引っ越した小学4年生の女の子の視線で、そのほっこりした生活とお友達や自然の交流を描いて、こちらもその楽しさが伝わりふわふわした気持ちになる。何より死刑囚への慰問をしているハルさんというおばあさんの佇まいが素敵で、その手作りの様々なものがとてもいい。
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表紙の絵のイメージ通りの、ふんわり優しい雰囲気の本でした。作家の東直子さんが小学生の時に一年間住んだ糸島にいた「死刑囚の母」ハルさん。そのハルさんと、糸島の風土をモデルにしたそうです。ただほんわかしているだけでなく、生きている意味、命の大切さなども感じさせられました。
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「あなたには残酷なできごとが起こりませんように。しあわせな人生でありますように」
おハルさんは、私の頬を両手で包んで微笑んだ――。
福岡市内の団地暮らしだった加奈子は、父の突然の思いつきで、山々に囲まれた小さな村に引っ越すことになる。
都会とのギャップにとまどいながらも、すぐに仲良しの友達もでき、自然の豊かな恵みに満ちた田舎の暮らしに魅了されていく。
中でも特別な存在はおハルさんだ。
童話に出てくるような家に住み、いつもおいしいジャムやクッキーを作ってくれるおばあさん、おハルさんは子どもたちの人気者。
だが、大人たちの中には彼女を敬遠する人もいた。それはおハルさんが毎月行っている死刑囚への慰問が原因だった。
なぜおハルさんは、死刑になるような人に会いに行くの……?
そんな素朴な疑問から、加奈子はおハルさんからさまざまな話を聞くようになり、命の重みや死について、生きていくことについて、考えるようになっていく――。
福岡・糸島の地を舞台に、深い森がはぐくんだ命の記憶を、少女のまなざしで瑞々しく描いたあたたかな物語。
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ドラマ化されたものをたまたま見る。でも、それはすでに後半。原作はどんなものなのだろうと思い手にとったら大正解!あぁ、再放送してほしい!!!
感受性の豊かな加奈子がお父さんの思いつきで引っ越してきた糸島で、自然に出合い、人に出会い、成長していく。言葉の本来の使い方ってこういうことだよなぁと何度も思わされた。真摯に人と会話するために紡がれていくもの。
おハルさんの存在は大きい。
おハルさんから出てくる移民としての過去、そして死刑囚との交流。そこで加奈子はいろいろ考えるのだ。自分の中で内省していくのだ。考えるって、こういうことだよね。誰からに与えられるのではなく、自分で見つけていくもの。
「あなたには残酷なできごとが起こりませんように。しあわせな人生でありますように」
おハルさんが加奈子にかけたこの言葉が温かく重みがある。
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一年間だけ、暮らした糸島での出来事を鮮やかに切り取った作品。
ドラマでは大人時代から始まってたけど、大人時代のことは一切出てこない。
糸島の豊かな自然と少し変わった近所に住む「おハルさん」との交流が描かれる。
いい作品でした。
実は亡き父の故郷が糸島でした。
糸島というのは福岡市の西側にある半島で、上手い具合に海と山のいいところが合わさっているようなところなんです。
今は九大が移転してきて、色々お店も増えたけれど、まだまだ手つかずの自然が残ってます。
あの光景を思い浮かべながら読みました。