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本著を通じて榎本武揚の通史を知ることができる。
①榎本は何故助命されたのか?
(黒田との信頼関係だけではない)
・薩長の力関係
・北海道における薩摩の利害、北海道は薩摩閥
→江戸時代の北海道物産の貿易
→屯田兵(西郷隆盛発案)
・伊藤第一次内閣での幕臣で唯一入閣(黒田の影響)
・海軍におけるノウハウ取り込み(薩摩閥に取り込む思惑)
・対外的な受け止め方
→南北戦争での敵方への扱いは融和的だった。野蛮な扱いを回避。
・福沢諭吉も助命に動く
→『海律全書』は榎本でないと訳せない
→但し、後年は痩せ我慢の説
②外交・ロシア通
→駐露特命全権公使(マリア・ルス事件を契機)、シベリア横断によりロシアの実態を把握。
→駐清特命全権公使として李鴻章と懇意に
(ロシアと清に通じる貴重な存在)
→ロシアを過大評価して旨の進言、日露戦争へ
③理系人
・北海道の価値を理解
→石炭等の資源の宝庫、化学者の知識、外資導入排除
・東京農大創設
・文部大臣時に教育勅語をサボタージュ
→後に井上毅が仕上げる
・政治的でない、徒党を組むタイプではない
・技術者的な実利主義、合理主義から発想された国づくり
→技術立国の日本の基礎を作る
④日本人移民政策の創始者
・北海道開拓での成功
・欧米諸国の事例(植民地政策)
・近代資本主義の進展に伴う農村疲弊、人口増
・植民協会立ち上げ
→メキシコへの移民を開始、失敗するも中南米への日本人移民の先駆けへ