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スロースタートで読みづらかった。なかなか物語に入り込めないし、どの登場人物も好きになれない。好ましくない人々しか出てこない。不器用とかそういう類の言葉では丸め込めない、嫌な、厭な感じ。読後もものすごく後味が悪い。ある意味で綺麗にまとまって終わってるけど、もやもやーと雲がかった終わり。登場人物に好感を持てないってのが大きい。誰一人として好感持てないのも珍しい気がする。(もしかしたらわたしだけがそう感じたのかもだが)
角田さんの新刊は毎度楽しみにしてるのですが、これは期待外れだったなぁ。気味が悪い物語。
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同じ時代に生きた2人の女性。幼児期いじめの加害者だったのではと朦朧とした記憶を心に済み付かせて日々のあれこれを、人のせいにして生きていく、女性と幼児期いじめの被害者だったが、自分の人生を自分の手でつくり、出会った人たちを受け止め楽しませ喜ばせて生きていく女性。
どちらが幸せだったのか 何が幸せなのだろうか
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戦争を幼いころに体験した初老の女性、佐織の物語。
戦後の昭和の歴史をたどりつつ、自分の生い立ちを思い返し時間軸を行きつ戻りつしながら、佐織が自分の半生を振り返る。
主人公はこんなにも人に翻弄され被害妄想的でなければならなかったのだろうか、という思いでいっぱい。
あまりに佐織に共感できず、楽しめなかった。
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世の中の出来事と共に語られる手法、他の作品でも読んだばかりなので少々お腹がいっぱい。
主人公の性格といい、ストーリーといい、気分の良い話ではなかったのだが、結末が気になって読んでしまうのはまたしても筆の力。
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小学生のころ、同じ場所に疎開をしていた
左織と風美子のその後の話。
不思議な縁で結ばれた左織と風美子。
性格も容姿も正反対の二人。
誰かの庇護の下、生きていく左織。
自分で切り開き、生き抜く術を見つけていく風美子。
お互いに羨望や嫉妬、猜疑心など
女性特有の勝ち負け基準など
本当に表現が上手いなあと、
いつもの角田さんを堪能していたのですが。
左織の成長や子育てと一緒になぞられていく昭和。
いろいろが全く一緒ではないのですが、
いつしか左織は私の母、百々子は私と同化していき…。
母と娘の確執というのは、
時代背景もかなりの影響を及ぼしているのではと。
何事も自分で決断できない母。
本人の性格だとばかり思ってましたが、
もしかしたら、押し付けられ従って生きるのが
当たり前の時代だったからこそなのかもしれないと。
角田さんに教えてもらい、
ちょっと母を知ることができた一冊です。
そんな左織が家族が巣立ち、夫が先立ち
色々考えて思い理解し、決断して自分で決めたこと。
すごいことなんじゃないかと感動しました。
人間は何時でも、本人が気が付きさえすれば
意思を持って漕ぎ出せるようになれるんだと
勇気が湧いてきました。
それと私も、意地悪な人、ズルい人などいつか天罰が…
と、ついついその後を見張ってしまってます。
でも結局そういうひとはラッキーなままで
いい人は苦労が多い人生のような気が…。
角田さん、もしや読者である私の心を透視してる??
ってこの作品でもゾクリとしました。
10年ごとに、読み返したい本です。
ひとりになった時、私は一体どう感じるのだろう…。
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子どもの頃に同じ場所に疎開した友人との再会から、義理の姉妹となった2人の女性の半生を描く。
家族の危うさみたいなものを感じました。
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好きな著者の一人です。対照的な性格の二人。左織と風美子。物事を深く考えない私にとって こんな風に考える人がいるのか・・と考えさせられたり・・結局人間は一人なんだと思ったり・・どんな状況になったとしても自分が選択した結果の人生なんだと思わされました。
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「もし、ああなったらどうしよう?」と怖くなる。
主人公も、同様の不安を抱えている。
「不安がってるくらいだから、そうはならないだろうな」と、自分を言い聞かせる。
「・・・と、思わせておいて、裏をかかれたり。」とも思う。
なんだか、平凡っちゃぁ平凡な家族の話の割にはひやひやハラハラのお話でした。
言い換えれば、まぁ、読み応えのある本でした。
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戦時中の疎開先で出会った二人の女性の人生を描いたお話。家庭に生きる女と仕事に生きる女に降りかかる様々な出来事が生々しく引き込まれてしまう。戦中から現代まで各々の時代背景と共に進む物語は骨太で読み応えがあった。期待を裏切らない素晴らしい一冊。
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主題は、人は幸せか?因果応報はあるのか?人生は自分で切り開けるのか?子供は自分の意思とは違う生き物である。人は家族がいようといまいと一人なんだということ、ー肝に銘じる。ー
しかし、長ーーい!
「笹の舟に流されて生きる」ような主人公が抱く忘れたい過去や義母や娘との葛藤、準主役の義妹へのコンプレックス…言葉にすると簡単だが、その文体が素晴らしくパーツパーツで共鳴できる。
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主人公は両親よりちょっと下の世代。そして百々子と柊平は自分と同世代。
環境や性格が違うので登場人物に感情移入することはないけれど、見てきた風景が一緒なので、人生の節目節目、あるいは大きな事件のあった時に自分の両親は何を思っていたのだろうかと、物語と別のところで強烈に引き込まれた。
物語の軸は主人公と、盟友とも腐れ縁とも違う不思議な縁で結ばれた義妹となる風美子との関係と、裏筋として娘百々子との確執を中心にした戦中から98年までの日常を淡々と描いた物語。
物語に起伏はないが、ぐんぐん引き込まれる。
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自分の母親や、その周りの人たちを見ているような。
僕の家には、明治生まれの祖父、祖母もいたから、自分の幼少期は、意外に戦前の精神性の影響を色濃く受けていたのかもしれないなぁ。
角田光代さんの作品を初めて読みましたが、すごく丁寧で、なにか、とてもきちんとした文章で、心に響きました。
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2020.08.05.読了
何かが起こりそうで起こらない作品(笑)
でも何故か惹かれてしまって先が読みたくなる。
この作品はおもしろかった。よかった。と言えるほどではないにしても星をつけるとなると3.75くらいいってしまう。
疎開先で何が起こったのか?本当のところはどうだったのか?風美子の本心は?
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「八日目の蝉」や「紙の月」面白かったのに...
何となく、モーパッサンの「女の一生」を彷彿とさせる、たらたらと起伏のない小説だった...いつ起伏が来るのかと思いながら読んで結局最後まで起伏はなかった。
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私の乏しい文章力でどこまで伝えられるか分からないけれど、すごかった。
最近の角田さんの作品はどんどん凄みが増していると思うけれど、今回もとにかくすごいのだ。のっけからぞわぞわする。
主人公が初老の女性と言う時点で今までにない設定。
主人公が角田さんより年上の設定って初めてじゃないかな。
疎開先で知り合った左織と風美子。
そもそも左織は風美子のことを全く覚えていなかった。
だが大人になった二人が再会してから風美子は大きく左織の人生に関わっていくことになる。
女同士の関係性を描かせたら角田さんの右に出る人はいないと思う。
保守的な主婦の佐織に対して華やかな料理研究家の風美子。
自分の人生をどう生きるかという点でも全く考え方の違う二人が、血のつながりを超えて共に生きていく姿はなんとなく分かる。
お互いがお互いを必要としていて離れられない感覚。
でも今回はこれだけでは終わらない。
一冊の中に色んな事が凝縮していて、よくもまあこれだけ緻密に破綻なくかけるなぁ。
戦争を忘れてしまうことの懸念、夫婦のありよう、親子の関係性。
特に子育ての難しさというのか、切なさっていうか。
もし私に子供がいなかったら絶対に風美子の生き方に共感して肩を持つと思うのだが、実際子を持つと左織の気持ちが痛いほどわかる。
「私のなかの彼女」では毒親を持った娘の立場から親子関係を描いていたとしたら、今回は親目線で描かれているといったところか。
それにしても角田さんは台詞が巧い。いちいち刺さってくる。
心理描写も情景描写もちろん巧いんだけど、台詞の巧さがきわだってる。
特に今回は子供たちの台詞を読みながらまるで私が言われているような気分になりちょっと疲れた。
一人の女性の半生を描いてはいるがいたって平凡で特に大きな事件があるわけではない。だからこそその平凡な人生に共感してしまうのだ。
最後に左織が初めて自分の人生を自分で生きようとする姿に胸を打たれる。
光のあたる道を歩く風美子が主人公ではなく、地味な左織が主人公。
この辺りがやはり角田さんらしい。
作品に共通する核となる部分は変わらないけれど凄味が増しています。
一読に値する作品です。是非。