紙の本
パンダは草食化しきれていないクマだ。
2015/03/24 17:39
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投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
10年に渡り飼育担当をしてきた著者が「イメージを変えたい」と書いた本。パンダの特徴や飼育方法など、わかりやすい解説から専門的なこと、飼育員ならではの体験など、さまざまな面からパンダが紹介されている。
中でも上野動物園で著者が経験した飼育や繁殖の舞台裏の話は、ぜひ既にパンダファンである方にも読んでほしいところ。未知の部分もまだ多い実状はもちろん、飼育の難しさには「出産を望む」過度の期待や報道の過熱が負担を増やしているかもよくわかる。
生き物としてのパンダの解析は面白かった。パンダは草食だが、野生のパンダが肉を食べることもわかっており、盲腸は草食のウサギやウシなどのように長くはなっていない。パンダは「草食化しきれていないクマ」だ、というのは良くわかる説明だった。今ではDNAの比較でも、パンダはクマに近いことがわかっているそうだ。
「パンダはクマだ」。これだけでも少しパンダのイメージは変わる。身体が柔らかくて猫のようだとしてつけられた中国語の「熊猫」。だから副題の「ネコの皮を被った珍獣」なのだ。
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上野動物園の同い年のパンダ飼育係によるパンダの生態とマスコミ等への対応などの四方山話。
パンダは基本クマであり、本質的には危険で毛も実は触りゴゴチは悪い。白黒の理由は保護色という説が以前は語られていたが、今は繁殖のためとかまだ良く分らない。
単独で行動し、繁殖の一瞬だけつがいになる。25年ほどの生涯で5−10頭しかうめず、双子が生まれても一度に野生では一匹しか育てられない。
笹を主食としているが、他のものも肉食を含めて食べる。笹を分解する特殊な微生物がいるらしい。大量に食べるため、動物園では調達が難しい。特に欧米は笹の自生が少なく難しいらしい。
マスコミ対応は大変そう。
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パンダの学術的分類の変遷,生態学的特徴,だけでなく,飼育事情,動物園導入事情にも触れられている。一時期上野動物園に通ってほぼ毎週末彼らを眺めていた(っても単なる売店バイトで行き帰りに眺めただけだけど)身としては,当時あの中でそんなことが起きていたのか,とちょっと感慨深い。
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岩波科学ライブラリーの「生きもの」シリーズは面白く、中学生程度で読めるものも多い(カラー写真やイラスト、図が豊富)ので、ジュニア新書より良かったりする。
「シロアリ」がものすごく面白く、「ハダカデバネズミ」も良かった。
で、「パンダ」。パンダの本というと写真集や子ども向けが多く、「かわいい」を基本としているが、これはあくまで冷静に生きものの一つとしてとらえているところに好感が持てる。
前書きの「結構怖いただのクマ」というところから、著者の姿勢がわかるというものだ。
図22の黒い部分をとったパンダの可愛くないことといったら…。死肉を漁るパンダとか、食わず嫌いのパンダとか、繁殖の苦労とか飼育者だからこそのエピソードたっぷり。
読み終わると、やっぱりパンダ、可愛いな、と思ってしまうのは、著者が愛情を持って書いているからだろう。
「シロアリ」の方が面白いけど、「シロアリ」と聞いただけで拒否する人も多いので、可愛い生きものしか好きじゃない人にも薦めやすい。
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上野動物園のパンダ飼育員の著書。
形態や生態、飼育繁殖の苦労、国際関係、パンダにまつわる様々な視点からのハイライトがまとめられており、パンダを愛でるだけでなく、もう少し知りたいと思ったときに手に取る一冊目として良書。
挙げられている参考文献は学術論文が多く、一次資料に当たりたい自分のとっては良い道標。
文体もやわらかく、わかりやすい。
パンダ自身やパンダの飼育そのものに政情は無関係だが、中国から借りている以上、日中関係動向を気にしないわけにはいかない。そうした目の前のパンダから背景にある国際関係まで、多重の思いが込められていた。
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著者はパンダの飼育係。パンダとの直の付き合いはそこらの研究者の比ではあるまい。だからパンダは触るとごわごわしてるとか、やっぱり噛み付いたり引っ掻いたりするんだあいつ、といった身辺情報が豊富で楽しい。パンダだって寝てるか食っているかなんだな。でもまあ、働く必要のない生き物ってそれで当たり前か。
見た目は変な色のクマだが、ひょっとしたら違うんじゃないかとも思っていた。やっぱりクマなんだなあれ。ダランダランだけど。
一方、野良パンダがどう暮らしているか、といった情報は少ない。あんなふにゃふにゃの生き物が、野生でやっていける理由がわからん。小学生男子が中に入っているみたいじゃん。野生の世界は厳しいと聞いていたが、例外があるのだろうか? それとも野生ではびしっとしているの? 人知れず苦労しているの? なんでよりによって竹? 外敵っていないの?
そういう本も読んでみたい。
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パンダ飼育係さんが書いたパンダの本。
ネットで可愛い動画ばかり観てメロメロなパンダだけど、やっぱりパンダもクマなんだなぁと感じる部分も多し。
今上野で飼育中の赤ちゃんも無事に大きくなるといいなぁ。
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パンダの飼育員さんが書いた本です。
パンダの生態が知れて面白いです。特に交尾、妊娠、出産、子育ての過程がとても興味深い。双子が産まれると片方しか育てないパンダにどうやって両方育てるように仕向けるか、とか、笑った。
また、あまり語られないマスコミ対応の話もあって、それもまた面白いです。
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一目見ただけの愛くるしさだけに、その動物的なことを忘れてしまいがちな不思議な生き物のパンダに対して、上野動物園の飼育員さんの苦労は図り知れないことが窺えた。
昨今は、政治的目的に利用されがちであるが、当の本人達はそんなこといざ知らずに過ごしているのだろう笑
しかし繁殖もなかなかに上手くいかず、野生パンダは中国四川省の臥龍や雅安のパンダ基地の人ですらそう見かけないという現状では、絶滅を阻止するのに人が関わっていかざるを得ないのだろう。
短いながらもカラーで見やすく、簡潔にまとめ上げたため、非常に読みやすい本であった。