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嵐の夜に出会った女性”梓”,救われた恩返しとして私は死者と生者が語り合う降霊会に招かれる.そして私は思いもよらぬ人物たちとの再会を果たすことに・・.切なすぎるよ浅田先生.忘れられぬ恋,癒えない傷,人は皆,咎人なのだろうか.憎悪の中にある悲しい愛の形.怪奇小説でもあり恋愛小説でもある読み応えたっぷりの一冊.おススメします!!
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戦後に生まれ高度成長期に育ちノンポリとして学生時代を過ごした男が過去を振り返り死者の声を聞き自縄自縛から抜け出す話。
相も変わらず彼の書くいい女は高潔で美しく、そして取り残される女は悲しく美しい。男はみじめでどうしようもなくて、だからこそ愛しい。
これってどうしようもなく著者の話なんじゃないかなぁというところがたくさん出てくる。勇気凛々瑠璃の花あたりを読んだことある人だったらすぐにわかるはず。これはあまりに苦い彼の懺悔なのでは、と。
何が正しいかではなく、こうするしかなかったという不幸。想い続けるという呪縛。言葉は短く端的であればあるほどその効力を強めて人を、自分を縛る。
あれだけ乞われても私が真澄に言葉を告げられなかったように。百合子が残した言葉は私を強く縛りつけ、そして強力な呪いとして戒め続ける。
それでも、それでも人は生きていくのだ。人生は続いてしまうのだという不幸と幸い。痛ましく苦しい程に浮き上がる「生きる」という傷。
物語とは違うところだけれど、この話はある一時期の日本を、東京を、江戸っ子と呼ばれる人たちを如実に切り取ったポートレート的なものなんじゃないだろうか。
あの時代を生きた人間だけが知りうる生々しく泥臭い世間と人との関わり、どの層の人間がどのようにモノを考え捉え、そして高度成長期という慈雨を享受した人達が抱える「最大公約数」としての思い出。
多かれ少なかれ同じようなモノを見て同じようなことを考え、肌で感じながら生きてきたのだろうなと思う。
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追記
安吾ちゃんや啄木が手元の銭を使い尽くして金を借りなければいけなかったように、その頃幼少期を過ごし学生運動期に学生をしていた村上や浅田はキザでスカしていなければいけなかったのかもしれない。
だとすれば、高度成長終了間近に生まれバブルが弾けるのを伝え聞き氷河期と呼ばれる時期を越えてきた我々は、一体どういう種類の「しなければならない」を背負っているのだろうな。
見えない敵を一方的に罵らなければならない、だったら悲しいな。
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浅田次郎ファンとしては、あまりに残念な内容。
特に後半の恋愛のくだりは、読んでいても現実感がまったく無く、浅田次郎の
他の小説とかぶってしまう。
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前半は、泣かせる系だと思って、先が気になってどんどん読んでしまったけど、なんとなく尻すぼみした感じ…
14.9.21
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死者と生者が語り合う降霊会。小さかった頃の貧しい友人、大学生の時の恋人や友人達、死んだ後に語られるその時の想いは説得力があって悲しくなったり苦しくなったりした。人は死んでも性格は変わらないんだね。
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タイトルどおり、降霊会を描いた小説です。あらしの日に迷い込んだ一人の女性から、泊めていただいたお礼として会いたい人に会わせましょうと言われ、主人公は促されるまま降霊会が行なわれる場所へ行きます。そこでくすぶり続ける悔恨を吐き出し、すっきりした気持ちで帰宅するはずが、翌日も来てほしいと言われて当惑します。この小説の肝は、「伝えるべきことを伝えようとしなかった(あるいは伝えられなかった)」ことの罪でしょう。作者は終戦後から現在に至るまで、日本人が語り伝えるべきだったことを、個人の体験に落とし込んだのだと感じました。死者と語りたいと願う生者を主人公に据え、降霊会という通常ありえない非日常を設定したのも、伝えてこなかったことの罪を描くためなのだと思います。イギリス風の降霊会と日本の言い伝え(昔話)をなぞった怪異譚となっていて、外国から取り入れたものを日本風にアレンジする日本人には、とても相応しく思えました。
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「降霊会の夜」
とても不思議なお話。
悔悟が、罰を受けないまでも、自分ながらに罪だとおもうことは、長く生きていれば誰にでもあると思う。
戦後、高度成長期時代に生まれた主人公の子供時代、学生運動が盛んで何もせずただ、遊び呆けた大学時代。この二つの時代での悔悟を、共に生きた人たちの霊を通して罪や誤解を解いていくというはなし。
現実離れした話だけど、深い!設定も面白く、少しホラーな部分もあって面白かった!
戦後日本が勢いつけて成長していてもそれに必ずしもみんなが幸せについていってたわけではないんだなぁ。としみじみ。
子供ながらに悩み、中途半端な学生ながらに苦しみ、そうやって生きてきた人たちのお陰で今があるんだなぁ。
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初!浅田次郎作品読了。
でも合わなかった~。
帯に「杏絶賛」となっていたのが決め手なのに。。。
本はやっぱり帯とかではなく、嗅覚だな。
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森の中の独り暮らしの別荘に雷を逃れて迷いこんできた女性。たびたび見る同じ夢の女と瓜二つ。
お礼に、と西の森の降霊会を催す女性の所へ案内される。
生死にかかわりなく会いたい人、と言われて子供の頃不幸なまま死んでいった友達を思い出す。
次の日には若い頃に別れた恋人と再会するつもりが、亡くなった学生時代の友達がやってきて…
最後は雷の日の女性も降霊会の女性も存在していないというような話。
人には普段思い出しもしないけど、思い出したくないような事情がそれぞれ誰だってあるのかな。
淡々とした語り口ながら、昔気質の祖父母や父母等の周りの人の描き方は浅田次郎!で魅力的。
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前半は少年時代の友達の話、後半は大学時代の恋人の話。読んでみて、前半はキヨちゃんがかわいそうで泣けて、この話だけで終わった方が良かったと思う。後半は何だかピンとこないし、死んでから恨みがましく打ち明けられてもねぇ。夢の中の女の人と梓って何者だったのか、よく分からなかった。
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過去の過ちや想いを振り返ることによりなぜそのときにそういうことをしてしまったのかを後悔する。
振り返っても仕方がないのかもしれないが歳をとると過去を振り返ってしまうものだが浅田次郎らしい悲しい話になっている。
主人公は昭和35年当時で小学校3年生。作者と同じ世代か?そんなに過去の話でないはずなのに遠い昔の物語に感じてしまう。それは降霊術という非現実的な題材で表現しているからだろうか。
最終的に後悔しているはずの主人公は「さよなら」も言わず、もう一人の恋人も出てこなかった。最後はよくあるパターンで終わるのだが、なんだか心にモヤがかかったまま終わってしまった不思議な作品。
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なんとも不思議な世界に迷い込んだ感じ。
実世界とは程遠い別荘地でのお話で
非日常を感じさせてくれた。
会いたい人は沢山居るけど
会えるとは限らないのだよってことですね。
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日本を代表する作家、浅田次郎。
その長編小説の文庫が書店に並んでいたので、久しぶりに読んでみることにしました。
主人公は山荘に住む、初老の男性。
雷雨が鳴り響く夕刻、彼の家の庭に、女性が迷い込んできます。
雷が過ぎ去るまで雨宿りをさせてあげた彼に、その女性が「恩返しをしたい」と提案をします。
その提案とは、「会いたい人に会うことができます」というもの。
主人公が自らの人生を振り返り、幼少期および大学時代に起こった出来事を振り返る、というのがこの小説の骨格になっています。
作者と同じく、戦後間もない時代に生まれたという設定の、主人公。
その生涯を振り返ることにより、戦後以降の「20世紀の日本」の、”時代の空気感”を味わえる作品になっています。
家族、時間の交錯、高度成長期の若者像・・・浅田次郎ワールド満載の一冊でした。
『一刀斎夢録 下』浅田次郎
https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4167646129
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前半部分。
思いの外、胸が苦しくなる様な、悲しみと切なさがあった。
大人の気持ちをわかり過ぎる、辛さを知りすぎている、キヨ。
なんか、やたらと哀しかった。
後半、話がガラリと変わることに驚いたけれど、これはこれで、読みやすくて良かったな。
ただ、どちらかと言えば前半が好き。
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いい話のようで実はホラーっぽい作品。霊的なものは信じないと言ってたわりには、霊が出てきた時には随分あっさり信じちゃったところに少し違和感あり。