投稿元:
レビューを見る
よい文学を読み終えた時の虚無感、また己を直視せざるを得なかった時、見てはいけなかった他人の素顔を見せられた時の、孤独感。一巻は前者が強かったけれど、この二巻は後者のほうが効いたかな。ここにあるのは人間の暗部であり、深部だ。
投稿元:
レビューを見る
“「そのために君は自ら望んで心を病んでるんだろう?」
「望んでません
おれは健康になりたい…」
「ほんとうの君は健康体なんだよ
それをわざわざその太く立派な神経の保護膜を削ぎ落とし
剥き出しにしてぶるぶる震えさせている
自ら望んでそうしているんだ 壊れたいから壊れ」
「白さん やめてください」”[P.41]
ぞくりとする表紙。
裏の少年かわいいなーと思ったら白さんだった。しかも作中じゃ怖い。
朔のいじったテレビがタイムマシン的な役割を果たしたの?
ナツメの印税でちょっと笑った。あの猫ちゃんは……。
“「はぁーん…また酔って絡んで殴られたんだね…
君はほんと破滅的だね…おれとよく似てるよね…」
「似てねえよ」
「似てるよぉーそっくりだよー
医者のダメ息子で…神経過敏で厭人症で…
君のそれ 神経症の一種さ…
好きだと思った友達をぶん殴っちゃったり
あべこべのことをしなきゃいけない強迫観念が…
そんなんだからすぐ他人を突き放して
怒って背を向ける相手を追うことしかできないんだよね」”
投稿元:
レビューを見る
白さんの子供の頃の話とか中也くんの話が印象に残った。
白さんと朔くんの関係と複雑な世界観にもやもやしつつもそれが楽しい。
それにしても比較的まともかと思ってた三好くんもやっぱりたいがいだった。
犀もどうなるのか…。
投稿元:
レビューを見る
1巻は探り探り読んだ感じだけど、この巻で一気に引き込まれた。色恋沙汰と大戦の凄惨さ等々が入り交じり、時代やら精神世界やらを行ったり来たりと目まぐるしい。
そして安定の朔。病みに病んで狂ってるけど時々的を得た事を言う。けどやっぱり狂ってる。
空襲の中、敗戦を経験した作家と日本の敗戦を知らない作家(正確には作風を擬人化した者)が集まっているシーンが感慨深い。
投稿元:
レビューを見る
本文中の詩は実はナナメ読みしかしていないけれど、雰囲気を感じるだけでも面白い作品。
主人公の朔太郎はほんとに狂ってる。好き。
投稿元:
レビューを見る
内容は凄いんですが、取り上げた時代が申し訳ないながら個人的に嫌いな時代なので評価下げ。
硫黄島とかその他、日本が関わった最近の戦争中心です。
半銀河鉄道風にいろんな時代に跳んでる室生犀星(でいいのか、犀さん)。
どうでもいいですが、白さんも大概病んでいる。
大好きな「金魚」題材に使われたのは嬉しかったです。
投稿元:
レビューを見る
立ち止まるといつまでも読み進められないから意味のわからないところはそのままに楽しむことにする。
詩人たちとは真逆の姿勢だけれどそうしないとおかしくなってしまうし……
投稿元:
レビューを見る
戦争詩の影も見えてきましたね。
しかし本題は詩情と性欲問題。詩人にとって女とは詩情を与えてくれるモチーフでしかなく、栄養を吸い取るだけ吸い取って、ポイ捨てするのがまた快感なんですよね(怒らないで……)
しかしミッチーの気持ちもよくわかる。現実の女には違和感を感じ、本当は愛していないのではないか、肉体関係だけが愛なのだとしたら自分は女を愛せないのではないか。妄想の中で女をそれぞれの愛し方で愛するのがいいんです。
まあ中には詩にもならんようなクソつまんねえ女もいるわけで。いろいろ考えますねえ。