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キリスト教とローマ帝国 小さなメシア運動が帝国に広がった理由 みんなのレビュー
- ロドニー・スターク (著), 穐田 信子 (訳)
- 税込価格:3,520円(32pt)
- 出版社:新教出版社
- 発売日:2014/09/29
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紙の本
カルトが世界宗教になるまで
2024/03/17 20:47
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投稿者:DB - この投稿者のレビュー一覧を見る
学生時代に西洋史の小論文で「古代ローマ帝国にキリスト教が果たした役割について論ぜよ」という課題があって四苦八苦した記憶があります。
そのおかげで今でも古代ローマ関係の本を読むのが好きになったからどう転ぶかわからない。
本書では宗教社会学者である著者がカルトだったキリスト教がなぜローマ帝国の中で広がっていき、世界宗教にまでなりえたかについて論じています。
もともとはユダヤ教の異端として発生したキリスト教ですが、ローマ人の間で徐々に広がっていき時には迫害を受けながらもいつしか勢力を拡大して国教となったのは世界史の教科書に載っていたと思う。
信者の増加を成功した理由について、著者はキリスト教徒が多産で子宝に恵まれたことと女性の方が多かったことがその興隆に役立ったという。
そして帝国で何度も流行した疫病も信者が増えるチャンスとなった。
この初期キリスト教が信者を獲得したであろう方法について、サンフランシスコに来たばかりの宗教集団ムーニー、統一教会を観察して得た知見から推測しています。
十二人の集団で始まったムーニーは、グループのメンバーと友人になることで信者となっていった。
またグループのメンバーと友情や親族としての関係が先にあり、それが改宗のきっかけとなっている。
このことから著者は「メンバーへの個人的愛着が非メンバーへの愛着を上回っている人だけが加入する」と結論づける。
そして入信する人はそれまで宗教と関係のない生活をしていた人が圧倒的に多かったそうです。
キリスト教徒が多産だったというのには、当時のローマ帝国では間引きや中絶が当然の行為として行われていたという背景がある。
特に女子は生まれてすぐに捨てられることが多く、下水の遺跡から生まれて間もない乳児の骨が大量に出てきたそうだ。
また中絶も多かったがそれに伴って不妊になったり母親が死亡するケースも多かった。
また、疫病が流行した時に異教徒は病人を放り出して逃げるために死者が多かったが、キリスト教徒は手厚い看病をしたため生存率が高かった。
もちろん知人や隣人のキリスト教徒に看病してもらって病を克服したら改宗の大きな動機となっただろうし、生き残る人が多いという事実は当時の人の目にも奇跡のように映っただろう。
ローマ社会では女性の数が少なかったが、キリスト教徒の間では女性の数が多いという不均等な社会だった。
そのためキリスト教徒の女性が異教徒と結婚し、夫やその家族も改宗させる要因ともなっていたそうです。
他にも様々な角度からキリスト教の信者の拡大について検討していて興味深かった。
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