紙の本
音律や周波数についてが分かる本
2016/03/11 11:44
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投稿者:卯月 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ソルフェジオ周波数」という不可思議な言葉を見かけ、周波数について知りたいと思いこの書籍を選んだ。
著者は音大の調律科出身で調律師であり、音楽家でありスピリチュアルな事にも精通しているという経歴を持っている。
肝心の528Hzについては最終章の「528Hzは素晴らしい。528Hzも素晴らしい。」にほぼ集約されており、他の章は音律や周波数、楽器の特性などの説明が書かれている。
きちんと音大で学んだ著者が、分かり易い言葉で書かれているのが良かった。
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調律師の方目線で見た音と周波数について知りたくて読んだ。
読んで良かった。
一定の音を出すためのツールである音叉自体も温度によって数Hzも音が変わるし、その音叉を基準に調律した楽器も、温度変化などですぐに狂ってしまうのだとか。
音というものが、物理的に厳密に測定できて、不変である、という一見「科学的」な音の理解こそが落とし穴だったという。。。
そもそも、ヘルツという単位で音の高さを測り始めたのが19世紀以降とのこと。
調律師の仕事は、ただ機械的にメーターで合わせるのではなくて(そうなのであればシンセサイザーはすべての音が正確なはずだが、決してそうではないらしい)、数値上で「合っている」音と、人の耳で聴いて「心地良い」かつ「合っている」音は異なっており、最終的には耳で合わせると。
確かに、人類の歴史の中で、世界共通の譜面とピッチの単位が存在し、音の高さを測る機械が存在している期間の方がずっと短いわけで、それ以前は皆耳で合わせていたんだよな、というのは、考えてみれば当たり前の話。
周波数という概念が登場する前も、人は音に酔い、音に癒されてきたのだ。
著者は「何の音でも、どんな高さの音でも、何Hzの音でも素晴らしいのです」と述べているが、たしかに、人の心に影響を及ぼすのは、物理的な音の周波数の数値そのものではないのだろう。
また、最後の方で突然合気道の開祖、植芝盛平さんの言葉が引用されていて少々驚いたけれど、この周波数が愛で、この周波数は悪だと決めるのは、たしかに、愛ではない・・・本当にそう。
ひとつの単音の中にも、不協和音を含めたくさんの倍音が含まれているそうだ。某国産グランドピアノとスタインウェイのピアノを比べると、スタインウェイの方が比べものにならないほど高次まで倍音が伸びていたと。
山水氏はこういった不協和音を”お汁粉に入れるひとつまみの塩”と表現されているそうだが、言い得て妙。この周波数は悪だからと除外することが、豊かな音楽的体験への道筋のわけがない。。。。。。
だから、A=440Hzが凶器の調律で除外すべき、というのは、ビジネス上の意図があるのではないかという考えは納得できる。とはいえ、私はこの山水さんの本にしても、やはり、ビジネス上の意図は感じるけれど、そもそも「中立でなければならない」という私の中の意識も愛ではないな、と^^;
周波数は、目に見えない、客観的に比べられない「音」というもののピッチという「一側面」を物理次元で分かりやすく比較できるようにしてくれるものだけれど、あくまで一側面であって、左脳的にそれに囚われる態度は、純粋な音体験(←右脳的である)を阻害してしまうのだな、ということがよく分かった。
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以下要旨のメモ:
・19世紀までは、音の高さを測る機械がなかった(あったとしても現代に比べると曖昧なもの)
・ヘルツという単位は19世紀に電磁波の研究をしていたドイツの物理学者、ハインリヒ・ヘルツさんの名前が由来。
・ホロウィッツ氏の���で批判されているA=440Hzは、1939年にユニバーサルピッチとして規定されたが、40年ほど前から(クラシックの)コンサートピッチはA=442Hzである。指揮者によって決まる。
・現在、世の中の音楽は、殆どA=440Hz~444Hzで動いている。クラシックは442~444Hz、それ以外は440Hz、441Hz、442Hz。
・特に、441Hzの高さは、かなり長い間、歌謡曲、ポップス、ロックスのレコーディングやコンサートで指定された。これは、アメリカのフェンダー社のフェンダーローズというキーボードが441Hzを基本ピッチにして製造していたから。フェンダーローズは電気ピアノの部類で、通常買ってから一度も調律をしない、されない楽器。※ビリージョエルの『素顔のままで』など
・山水氏は日音の440Hzと442Hzの音叉を使用しており、440Hzの音叉は20年以上前からほとんど使っていない。
・慣れ親しんでいた音よりも少しでも高いと、いい感じに聴こえるもの。また逆に、古典音楽をかなり低く演奏しても、渋くいい感じで聴こえる →目新しさ
・調律師が使う音叉はステンレス製・・・一番長く音が響く。
・アルミはステンレスよりも温度による狂いが大きい
・ステンレスは1℃の違いで440 x 0.000126Hz (= 0.05544Hz)狂い、アルミは440x 0.00026Hz (= 0.1144Hz)狂う。つまり、アルミは温度によってステンレスの約2、3倍狂いやすい。
・猛暑のときや、ポケットに30分も入れていれば、ステンレスの音叉でも1Hzほど、アルミだと2Hzほど低くなってしまう。
・それを測るチューニングメーター自体にも個体間で誤差がある
・音叉は出荷時に20℃でチェックしている(戦前は4℃)。高い物は又を削り、低い物は上部の内側を両方平均的に削る。
・真冬にピアノ調律直後、わずか5分窓を開けただけで大幅に狂う
・コンサート中に照明でピアノのフレームが熱くなり膨張して弦を引っ張る→5Hzくらいは平気で狂う(高くなる)
・基本的に調律というものは、合った瞬間から狂い始めている。
・調律は、中央部の2オクターブほどがピッタシ合っていて、低音部が低く高音部は高い。
・機械の合っているという音が必ずしも人間に心地良く、かつ、合っているというふうに感じるとは限らない
・機械のシンセサイザーも所々調律が合っていない
・A=440Hzで平均律で調律してもC=528Hzジャストにはならない。
・平均律調律の和音は濁るが、平均律でないと伴奏できなくなる(純正律は移調すると濁る)。
・調律の合っていないピアノを使って大ヒットした曲はたくさんある(『イマジン』『アイライクショパン』)
・楽器の調律を厳密にしたとしても、ヴォーカルはキッチリではない
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【文章】
読み易い
【気付き】
★★★・・
【ハマり】
★★★・・
【共感度】
★★★・・
音楽の基本のラの音を444Hzにした時のドの音が、だいたい528Hz。
528Hzを特別視するような風潮があるらしいが、528Hzの音にこだわる事に意味はない。
調律した直後から、周波数は変わってくる。
正しく528Hzを認識できる人はそういない。
表紙にアップルのロゴを載せているのは、なぜなんだろう?
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タイトルの528Hz(ヘルツ)は、ヒーリング効果が高いとされている音の周波数です。
1Hzは、一秒間に一回の振動数のことで、528Hzは一秒間に528回振動している周波数になります。
このヘルツの不思議な効用についてまとめた本。
著者は調律師であると共に、スピリチュアル系の人であるため、内容も前編と後編でそれぞれに分かれています。
音楽に携わっている人ならだれでも知っている音叉。楽器の調律に使われますが、19世紀までは、音の高さを測る機械がなかったのだそう。かなり近年までなかったことになります
日本の音叉は、音楽ではなく脳外科の診察に使われる医療用の音叉が始まりだったとのこと。
ヤマハもカワイも、会社のマークはよく見慣れていますが、ヤマハは音叉が三本交差し、カワイは四本の音叉を楕円状の輪にしたデザインだとは、気が付いておらず、それぞれのマークを見直しました。
音叉は繊細で、ポケットに入れていると、ピッチが狂ってしまい、同じ調律師が同じ音叉を使ってもも、北海道と九州では音が違うのだそう。
チェンバロを1時間前に調律し終えたら、早すぎると怒られたという著者。
演奏の30分前あたりから調律しないと、再び音が狂ってしまうのだそうです。
それでコンサート直前までピアノ調律師がステージに出向いて音を確認しているわけですね。
ヨーロッパでは、コンサートの際に一番先に調律師の名前が書かれ、その次に演奏者の名前が来るのだそう。
調律師によって音が違い、それによって音楽も変わるため、コンサートの目安にする聴衆も多いのだとか。日本ではない決め方です。
アメリカのフェンダー社の442~444Hzを基本ピッチにしたキーボードが流行ってから、世の中の音楽は、ほとんどその周波数になっているとのこと。
クラシックは442~444Hzで歌謡曲、ポップス、ロックは441Hzはだそうです。
528Hzの音楽を聴くのは難しく、シンセサイザーの打ち込み音楽くらいでしか聴けないのだそう。
528Hzの周波数のつもりでも、すでに音叉の音からずれたり、夏と冬、室内と外で音が変わることがあります。なかなか確実に知る機会が少ないのだとのこと。
そこまで繊細なものとは思いませんでした。
528Hz関連の本は結構出ていますが、スピリチュアル系の内容がほとんどで、実質的な情報を得るに困る状態となっていますが、この本は調律師による専門的な情報が紹介されています。
音のピッチは不変ではなく、調律が、精密な音の矯正ではなく、感性による芸術的な営みだと知りました。