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下巻ではポスト構造主義、精神分析について解説した上で終章では政治的批評という側面からイデオロギーについて語られるのだが、後期産業資本主義の支配的イデオロギーに対する文学理論の無力さといいう指摘は正に現代思想の行き詰まりと照応している。文学理論ついて触れながら最終的にそれを埋葬しようとする結論には驚きであり、新版あとがきで触れられる90年代以降の理論についてもその脱政治的であるが故に支配的イデオロギーから抜け出せないジレンマを抱えたままである。イデオロギー論には多少疑問を感じつつも興味深い内容であった。
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下では批評理論の趨勢だけではなく、広く人文科学の在り方、政治との距離の問題について踏み込んでいく。特に新版のあとがきは、その傾向、いらだちがにじみ出ている。
本書はまだ古典ではない。生きている。なぜなら訳者も述べている通り、文化闘争は終わっていないからだ。
・私たちは自分のことを、どちらかというと、自由で、統一のとれた、自律的な、自己形成をする個人としてみる傾向があるし、またそうでなければ、私たちは社会生活のなかで自分の役割をまっとうできるはずがない。ところがアルチュセールによれば、私たちがそんなふうに自分のことを考えるようにしむけるのが、まさにイデオロギーなのだ。
・後期資本主義の支配的イデオロギーを、文学理論は打倒もできなければ、かといってそれに参与するもできないところに、文学理論がかかえる問題がある。
・「イデオロギー」がつねに、自分自身の関心=利害ではなく、他人の抱く関心=利害をけなすときに用いられる言葉であるからだ。
・「すべては政治的である」「イデオロギーの外部はない」
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一読では分からない
でもどういった議論があるかは分かった
『文学部唯野教授』に熱狂して
新文学入門―T・イーグルトン『文学とは何か』を読む
を読んで勢いで文学とは何か上下を買って読んでしまった
高いところへ登ってしまって降りられないよ
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壮大な思考の冒険に駆り出された気分。
時代を彩った文学理論、というよりも、人文科学全般への広い分析に繋がっていて、入門としてはちょいハードルは高い気がするけど、個人的には知的快楽に包まれた好感度な読書体験でした。
フェミニズムはちゃんと勉強します。