紙の本
神話を神話として楽しめる時代
2015/08/11 09:54
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Sancho - この投稿者のレビュー一覧を見る
国威発揚のためではなく、反日のためでもなく、国に伝わる神話・伝承を文学として楽しめる。落ち着いた良い時代になったものです。定番の伝承や天皇家の系譜に関する記述もさることながら、歌謡の翻訳が秀逸。リズム感があって先人の息吹を感じることが出来ます。
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第1回配本 第1巻 11月14日刊行開始
【新訳】原文の力を活かしたスケールの大きい池澤古事記の誕生!(帯装画:鴻池朋子 月報:内田樹、京極夏彦)
世界の創成と神々の誕生から国の形ができあがるまでを描く最初の日本文学。神話と歌謡と系図からなる錯綜のテクストを今の我々が読める形に。日本最古の文学作品を作家・池澤夏樹が新訳する。原文の力のある文体を生かしたストレートで斬新な訳が特徴。読みやすさを追求し、工夫を凝らした組みと詳細な脚注を付け、画期的な池澤古事記の誕生!
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日本最古の文学作品を作家・池澤夏樹が新訳する。原文の力のある文体を生かしたストレートで斬新な訳が特徴。読みやすさを追求し、工夫を凝らした組みと詳細な脚注を付け、画期的な池澤古事記の誕生!
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もっと時間をかけてじっくり味わいたかったのだけれど読みやすいのだもの。順序は逆だけど勾玉の世界へ。仕方ないので次巻が出るまでしばし何度か味わいたいと思います。
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点が線に繋がりました。
系譜の羅列にはなかなか苦戦したけど、
解説にもあった通りその当時から一文字一文字に意味があったのが凄い。
逆にやっつけ感がひどいのもあって、実に人間臭い。
共感したのは、日本書紀との違い。
正史であるとしたいならば、フォーカスをあてる必要のない敗者が、躍るような唄と一緒にいきいきと、まさしく生きていた。
読後に思うのは、三浦先生の授業本当にもっと真剣に受けとけば良かった…。
なんて勿体ない事してたんだろう…。
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面白い。。
古事記に関しては以前にこの本の解題として最後に
書かれている三浦佑之氏の書籍いらいですが。現代語訳
とはいえ、古事記をそのまま読めたことが、面白いと
思いました。
日本の神様はとっても人間臭いというか?ぶっとんでいて、天皇は女性ばかり追い求めていて。。
簡単に敵をほろぼしてしまうし。。でもその敗れた側
に対してのシンパシーを感じているところとか
とても面白く。やはり日本って、西洋・中国とは違うなあと思います。
また、この池澤直樹氏の個人編集とされる日本文学全集
は今後の配本を見ると、古典なり名作が現代語訳などで
、現代の著作者によって復活するというもので、
わくわくするものが多く。これは読みたいと思います。
たとえば。。
折口信夫の万葉集。江国香織の更級日記。
角田光代の源氏物語。内田樹の徒然草
いとうせいこうの曽根崎心中
とかとか。。。
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伝承児童文学の授業で、AT分類による色々な話型をやって、世界の各地域別の特徴をみたりした。その記憶が残っているうちに、最初のほうに出てくる逃走譚なんかを読んでみたい。
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建国記念の日。
脚注が充実しているからか、あっさりしてて読み進めやすいのがありがたい。
脚注も、よく読むと遊び心が…(笑)
楽しめます。
古事記で好きなのは、やはり倭建命の部分ととスサノオの暴挙かな。
多神教の神様は人間臭いというより、人間以上に無茶苦茶で面白いね。
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上巻の国生みから中巻の途中まではとてもスペクタクルで楽しかった。歴代天皇の話になってからは苦痛だった。しかし、今までなんとなくしか知らなかった話をなぞることが出来て有意義だった。
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何回も読んできた古事記、
池澤夏樹訳、
大変読み易く、最後まで通読できた。
持統天皇が政権を確立して、神話的な権威で補強、権力保持のためのツールの一つとして、日本語による文学を採用した。
参考文献に、西宮一民先生の古事記があり、皇学館での講義を思い出した。
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日本人に生まれたのだからと思って手に取った、我々日本人のルーツ。
初めての古事記。
脚注をこまこま読んでたせいか最初はなかなか内容が頭に入ってこず苦戦し、間があいてそれまで読んだ内容を忘れてしまったのをきっかけにざーっと読み返したら、流れが生まれて面白くなった。
やっぱり、神話の世界を描いた上巻が個人的にはおもしろい。ぶっとんだことが淡々と書いてあって。
中巻では神話の世界と地続きで歴史上の人物が出てくるので、歴代天皇たちまで神話の世界の実在しない人かのような気持ちに…。
下巻はTHE権力争い、という感じ。
下知識の足りない私にとって、時代背景や奥行きを知る手助けを大いにしてくれた脚注も、なんとも興味深く、ありがたい存在。(先に書いたように、まとめて読むやり方が私には合っていた)
他のを読んでいないので比べようがないのですが、とっつきやすく、大変読みやすい現代語訳なのではないかと思います。
わかりやすく書かれていることで、古代の話と思えないくらいの不思議な親近感。
登場人物たちの人間臭さよ。
あと、名前が雑な人とか性的描写とかがあからさまだったり、展開が早かったりして笑える。
敗者の物語がこうして残っているのはすごいことだなと思う。
最後の解説がまた、なんともよいです。
プレスト。
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まず驚いたのは、イザナキとイザナミが「性交をしてみよう」という場面。なんとも開放的な奔放な感じがしました。次に、スサノオの乱暴振り。「神殿に糞をまき散らした」のだそうです。いやはや神様の所業とは思えません。オホナムヂは神々のだまし討ちにあい、大木に挟まれ殺されます。とにかく3巻を通して、殺したり殺されたりの話がこれでもかというくらいに出てきます。それと、ホトもしばしば出てきます。おおらかでスケールの大きなお話でした。
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平成の世から、古代へのラブレター。
池澤夏樹は福永武彦の子だったらしい。だから、なのか。岩波少年文庫の福永武彦版を読んだ後に、続けて読む。岩波少年文庫は、確かに子ども向けに「物語」にしてあった。こちらは、誰が誰の親で云々の系譜がある。あと、脚注で色々とツッコミが入っているのが面白い。
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この本、どこかで読んだことがある。そんな気がした。内容ではない。見かけのほうだ。読みやすい大き目の活字で組まれた本文の下に、小さなポイントの太字ゴチック体の見出しに続いて明朝体で脚注が付されている。丸谷才一他訳による集英社版『ユリシーズ』のレイアウトそっくりではないか。まさか敬愛する丸谷の訳本に、自分の訳本を重ねたわけでもあるまいが、偶然とは考え難い相似である。考えすぎかもしれないが、古代の神々と英雄の冒険を語る『オデュッセイア』に擬した自作を『ユリシーズ』と名付けたジョイスにあやかるつもりか。たしかに、この「古事記」、日本文学の古典というよりもモダニズム文学の文体のほうに余程似ている。行替えやら一字下げやら括弧・カタカナを駆使した表記のおかげで、風通しのよいテクストとなった。
以前に訳者の父である福永武彦が書いた「古事記物語」(岩波少年文庫)を読んだことがあるが、子ども向けということもあって、幾百にも及ぶ神名・人名は主要なものを除いて省略されていた。今回の新訳で驚かされるのは、漢字とカタカナによる神名・人名表記の羅列だ。神のヒエラルキーをそのまま地に下ろして、地方の豪族の祖先を組み込むことで、反乱を繰り返す地方豪族を武力ではなく言葉の力によって懐柔し、従属させる意図があってのことだろう。乱れてしまっていた帝紀・旧事を正すという原著が持つ意味からもこの羅列は必須であった。ほとんど読み飛ばされるだろう箇所に、興味を持たせるためか、出身地方にあたる現在の地名が詳細な脚注に記されているのもうれしい。
こんなことでもなければ一生読まずにすませただろう「古事記」の中身だが、ヤマトタケルやオホクニヌシの話は誰もがよく知っている。神名・人名の羅列による系図の部分を除いたら、あとは神々や英雄の冒険、悲恋、裏切り、復讐の炎渦巻く物語の世界である。現代語訳のせいもあって、スピーディーな展開は驚くほど。あれよあれよという間に話は進んでいく。そのあっけなさを救うのが、所々に配された歌謡である。天皇らしく国見の歌もあれば、女に誘いかける歌もある。宴会の歌もあれば、名のりの歌もあって、元の歌を示した後に続けて現代語に訳した歌、そして脚注に詳しい解説が記されている。歌のリズムは原文、意味は訳、説明は脚注で分かる工夫。
神代の話は線が太くおおらかで力強い。糞尿譚やら、何かで女陰(ホト)を突く話やらが登場する話がやたら多いのには驚きもし呆れもするが、それが古代日本に生きた人々の心性というものなのだろう。温水洗浄式便座が愛されるには理由があったのだ。歴代天皇が登場するようになると、話はぐっと人間的になる。床下で遊んでいて自分の父を殺したのが天皇であったことを知り、復讐を果たす王子の話など、シェイクスピアの悲劇にでも出てきそうだ。実の兄妹どうしの悲恋や、負け戦を承知の上で筋を通して天皇に反旗を翻した臣の話等々、敗者に肩入れした記述が多いのは意外であった。読んでみるまでは歴代天皇の事跡を誇らしげに語ったものが多いのだろうと勝手に思い込んでいたのだが。代々に亘る血腥い闘争や姦計、裏切りに至るまであからさまな筆致で記している。
正月はもちろん、何かあるたびに伊勢神宮を参拝する宮家や政府高官の姿が報道されるのは、皇祖神とされる天照大御神をまつっているのが、伊勢神宮(内宮)であるからだが、意外なことに「古事記」には皇統でない出雲にまつわる話が多く採録されている。また、韓(から)との関係も古くから続くこともしっかり書かれている。戦前の教育に対する反省の上に立ち、戦後は教育の現場から神話が排除されてきた。「古事記」についても、日本史の中で触れられるにとどまり、真剣に中身まで読む機会がなかった。今回、世界文学全集に続いて、日本文学全集が企画され、その第一巻として「古事記」新訳が編者の手によってなされることになり、読むことを得た。訳だけでなく、組版やレイアウトなども読みやすいかたちになっていて、以後一般読者にとっては、これがスタンダードになるのではないかと思う。幅広い読者を得られるようになれば何よりだ。何かときな臭い時代である。だからこそ、誰もが自分の国の成り立ちや、そこに暮らしてきた人々のあり方に、誰かの目を借りることなく、自分の目で真っ直ぐに向き合うことが必要とされている。その意味でも時宜を得た出版であるといえよう。
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脚注に時折池澤氏のつっこみが入るのが楽しい。
読みやすくはあったけど、じっくり読み通すのはなかなか骨が折れる。もう一度じっくり読んでみたい。