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なんちゅうタイトル、「肥満」やで。
サブタイトルがなければ、ダイエットか成人病関連の本やと思ってしまう。事実、「肥満」で検索かけてこの作品に巡り合うのは至難の業です。
さて、本論。世界史特に中国史をちょっとでもかじった人なら「安史の乱」は聴いたことがあると思う。玄宗皇帝や楊貴妃ならもっと多くの人が知ってると思う。この本は中国が唐と呼ばれていた時代。玄宗皇帝が楊貴妃を囲って、まさに国を傾けるその時代に活躍した悪者、安禄山を主人公にした物語。漢人が記した歴史では悪者となる安禄山だが、そこには夷敵(異民族)ならではの矜持と差別と意識があったんだということを、この本で知ることになる。
玄宗皇帝に対しても楊貴妃に対しても絶大な忠誠心をささげ、国家資産を食い物にして至福を肥やす寄生虫のごとき連中と対立する位置に立とうとした安禄山が、何故に乱を起こしたのか。何故に醜悪なまでに肥えてしまったのか。大帝国唐(異民族国家なんだと初めて知った。何の世界史を勉強してきてん俺…)と安個人の姿がラップするような、不思議な読感。
身を滅ぼし国家を潰すほどに、贅沢は素敵だ、退廃は魔力だということである。俺はビビりなんで、ちょいちょいストイックなふりをして無難に生きて行きたいと思う。