紙の本
良かった
2020/07/18 23:44
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投稿者:さよ - この投稿者のレビュー一覧を見る
設定的はぶっ飛んでるのにちゃんとミステリーしてるのが面白い。
後半は状況が二転三転していく頭脳戦で、一気読みした。
白雪姫の物語をオマージュ?してるのも面白い。
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毎度おなじみジャケ買いの一冊。
タイトル通り、白雪姫をモチーフにしたカバーデザインで、ついつい手に取ってしまったのですが、これがまたなかなか面白かった。
第14回本格ミステリ大賞を受賞作。
モチーフになっている白雪姫から「7人のこびと」を持ってくるのはまだしも、「真実の鏡」をミステリ作品に持ってくるというとんでもない作品。
襟音ママエの探偵活動を描く第一部は3つの短編で構成。依頼人の相談に、お茶を替える振りをしてサクッと鏡に犯人とトリックを聞いて問題解決! 助手の小人・イングラムが「もうちょっと考えようよ」と言ってもどこ吹く顔のママエ。
なんや? これ?
ミステリとは思えない最初の作品に当惑しながら2つめの話に。
ママエの答えに納得しない依頼人に、依頼人が納得する言い訳をまたも鏡に考えさせるという……うーん、なんだろう? この激しい違和感は……答えが分かる鏡というアイテムがあったら、ついつい倒叙型の作品になりそうなもんだけど。
なんだか分からないまま読み進めていくと、3つめの物語ではとうとうママエのやり方に違和感を持つ他の探偵が現れて級地に陥れられて……と、言うところで第一部は終了。
第二部になると、鏡の出所やイングラムの存在を補強する舞台が登場。おとぎ話には付きものの「悪い王女」が現れて、第一部でママエを追い詰めた探偵・三途川と組んで、ママエを無きものにしようと襲いかかります。
ここからはこの小説の真骨頂、「真実の鏡がある」ことを前提にした虚々実々の駆け引きが繰り広げられ、最後にはストンと論理に基づいた推理が展開されます。
なるほど、これは面白い。
著者のデビュー作のキャットフードは「人狼ゲーム」の変形版との解説があったので、興味津々。次はそれを読んでみよう。
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白雪姫に登場する真実を答えてくれる鏡。そんな誰でも知っているガジェットを物語の中心に据え、よくもまぁこんなひねくれたロジックを生み出せるものだと関心してしまう。そんなミステリー。
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白雪姫の[答えのわかる鏡]を持つ探偵は最強?
鏡頼みのダメ探偵の(の助手)と極悪探偵の総知力戦。
裏の裏の裏まで読み合いが面白い。
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「魔法の鏡」というお題で抜群に頭の良いひとが小説を書くと、なるほどこんなミステリが出来上がるのか……。
「あちらの世界」では王家を継承する血を引くママエは、それとは知らず「こちらの世界」で世話役の小人イングラムとともに暮らす中学生。そのいっぽう、母の形見の「魔法の鏡」を密かに駆使して探偵業も営んでいる。そんなある日、とある依頼人の手引きでおなじ探偵業を営むふたりのクセもの、緋山燃、そして「我こそは名探偵」と公言してはばからない三途川理と引き合わされたママエは、「あちらの世界」の戴冠式に絡んだ陰謀から思わぬ事件に巻き込まれてしまう……
ミステリーながら、いきなり「魔法の鏡」「小人」といった飛び道具(?)の登場に面喰らうし、年齢的に仕方ないとはいえ、ママエの幼さ、身勝手さに共感できないのも読んでいてつらいところ。とはいえ、「魔法の鏡」を縦横無尽に使い倒す三途川の頭脳には舌を巻かずにいられない。とにかく、読者に息つく暇をも与えない矢継ぎ早のトリックは面白く、おとぎばなし的な舞台設定もさほど気にならなくなってしまうのだ。ラストの種明かしは……う〜ん……ひとひねりせずにはいられない作者の性格が出ている感じ?
【以下、ネタバレ】
…… 「白雪姫」的なオチというのは分からないでもないが、個人的には、とどめはママエ自身の手でお願いしたかったかな? オトナへの階段として。シリーズものらしいので、そのあたりの事情からママエのキャラは変えたくないかもしれないけれど。
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前作キャットフードは微妙だったけど、本作は本格ミステリ大賞受賞ということで期待していました。
まあ期待通りといったところでしょうか。
前評判なしに読んでいれば、その飛躍っぷりに拍手を送ったことでしょう。
前作では設定を活かしきれていないように感じましたが、本作ではこれでもかと「真実の鏡」なるものが使い回されます。
ミステリ的に反則のようなツールではありますが、昨今の特殊設定ミステリブーム(?)から見れば出るべくして出た作品なのかな…
それと特筆すべきは、その読み易さ!
知り合いの方から「冬の寒い朝、布団から出たくない時に何となく読み始めたら、身体が温まってくる頃には読み終わってる本だよ」と言われたのですが、まさにそんな感じです。
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不思議の国からやってきた、魔法の鏡を持つ探偵の女の子。
鏡に呪文を唱えればなんでも教えてくれる。
VS 名探偵 三途川のクソ野郎。
名探偵の頭はフルスピードで回転し、ロジカルに、天才的に、少女を地獄に落とす算段を立てる。
そしてもう一人の名探偵 緋山燃以下略
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「なんでも知ることのできる鏡」という反則アイテムの使い方の巧妙さは麻耶雄嵩さんの神様シリーズを彷彿させる。もちろん、鏡であることを最大限に活用しているので、単なる二番煎じにとどまるものではないことは明らかだ。その鏡を一番使いこなしているのが三途川理というのが、シリーズキャラクターの面目躍如といったところか。
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「真実を映し出す鏡」をもつ反則の名探偵・襟音(えりおと)ママエは、舞い込む事件の真相は分かるが、推理は大の苦手。ある事件が縁で顔を合わせた探偵・三途川理(さんずのかわことわり)が、窮地に陥れようと策を練っていることも知らずーー。おとぎ話のような愛らしい世界で、鋭い論理バトルが展開される、第十四回本格ミステリ大賞受賞作。
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『キャットフード』の続編。
探偵シリーズなのだが、ダークヒーロー的な探偵とクールでかっこよい探偵が、第三者の利害を挟んで対決する、なんと名付ければよいか分からないシリーズ。
全体通して起承転結のテンポがしっくり来た分、一作目の方が好き。
ただし、ファンタジーな設定の下での論理戦は、今回のが隙がなく、徹底されていてよかった。
3+
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三途川理、ここまで嫌な奴に描かれてると逆に潔いですね。『探偵』が灰色の脳細胞を悪い方向に使うとどうなるのか的なテーマ作品みたいでしたな(笑)
ただ、後半、ミステリというよりコン・ゲーム小説になってるのであんまり私の好みではなかったという……。
つきつめると、普通の(?)事件も探偵と犯人の知恵比べではあるんですが、この作品はルールが定められた世界観の中での駆け引きだけで後出しジャンケン的な印象が強く、さらにあまり「魅力的な謎」がなかったせいかなぁ…。
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「鏡で探偵できたら、最強なんてもんじゃねえ、武者震いがするぜ……」
紀伊國屋で本格ミステリ大賞の帯に惹かれて買った。
法月綸太郎が書いている解説がわかりやすい。
三途川が抜群のゲスっぷりで楽しい。殺人を躊躇しないスタイルに最初嫌悪感を覚えたが、2部以降に連続して繰り出してくる様々な策略を見てるとなんだか憎めないキャラになっていく。
上のセリフがあまりに心に正直すぎて笑う。
今まで読んだことのあるどのミステリとも違うタイプで驚きながら楽しく読めた。
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魔法の鏡という,おきて破りのアイテムを登場させた本格ミステリ。この設定だけでも魅力的だが,襟音ママエやグランビー・イングラムといった登場人物のキャラクターも秀逸である。
更に,この本は,本としての構成も見事。第一部は,魔法の鏡を利用して襟音ママエが解決した事件が紹介されている。真相から逆算して推理をするという奇妙な設定と,襟音ママエのなんともいえないキャラクターの魅力もあり,この短編も,日常の謎系のミステリとして十分楽しめる。
この第一部を踏まえ,襟音ママエのキャラクターに愛着を持たせておいた上で,第二部には,こちらも強烈なキャラクターである三途川理を登場させている。
ある国の王位を継承するために,ダイナ・ジャバーウォック・ヴィルドゥンゲンから,襟音ママエの殺害依頼された三途川理は,魔法の鏡を利用したさまざまな襟音ママエ殺害計画を立て,実行に移す。三途川理と襟音ママエ…というより襟音ママエを守るイングラム陣営との対決。最終的には,もう一人の探偵である緋山燃の力もあり,三途川理の襟音ママエ殺害計画は失敗する。
ふしぎな国の法にのっとり,ダイナと三途川理はヒキガエルになる罰を受け,ママエは王位を継承するというハッピーエンド。読後感もよく,文句なしの★4つ。
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2016/1/28
何でもわかる鏡を持ってる探偵って探偵小説として成り立つの?と思いましたが後半はなるほど。
読みやすい割に敵役の三途川が虫唾が走るほど嫌な奴で、主人公ママエがあっさりやられてイライラした。
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ディズニーの「魔法にかけられて」を思わせるつくりで、超常ルールを使った本格ミステリっぽい作品に仕上げている、新しもの好きの審査員先生方にはたまらない作品だろう。ケータイ・ネット世代には読み返してロジックやトリックを検証するような構成では読んでもらえない、と。それに対する解答が本作だという。まぁ何というか、自分の印象としては本格ミステリと言うのには難ありという印象。小説として嫌いではないが。6.5