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紙の本

素敵な熟女の三段活用

2014/11/02 18:23

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る

小鳥遊葵としてのフランス書院文庫3作目にして遂に熟女路線が全開となったようである。勝手な想像だが、トレンドだからと不得手な要素を取り込むよりも自身の得意とする路線を突き進めた方が良い結果となる好例ではなかろうか。

これでいいのだ。

バカボンのパパみたいな物言いで恐縮だが、読んでいる最中から生じた率直な感想である。義母・女教師・海女といった3人ヒロインの全員を未亡人とする大胆さが奏功して作中には何とも言えない艶っぽさと憂いが満ち溢れている。かねてより熟女の描写には光るものがあった作者の本領発揮と言える未亡人熟女達の競演であろう。

【憲子】36歳の未亡人女教師
高校生となった主人公の中学時代の担任教師であり、普段からお隣さんとしても付き合いがある憲子の夫の葬儀から物語は始まる。以前より慕っていた憲子を慰める形で主人公との関係もスタートするが、船乗りだった生前の夫が海から戻ってくる度に濃いぃ営みを繰り返していたために女として開発されていた悩ましさが、亡夫への操と主人公からの想いの狭間で艶めかしく蠢いている。教壇に立つ普段の生真面目で凛とした佇まいと内面の淫らさとのギャップも魅力であり、かつてと教え子と関係する背徳を憂いながらも心と体の隙間を埋めてくれる主人公には次第に惹かれてしまう憲子である。ただし、既に中学校は卒業した主人公につき学校内での情交場面は無い。

【洋子】35歳の未亡人義母
3年前に夫(主人公の父親)を亡くした先輩未亡人であり、お隣さん同士として親しくしていた憲子の境遇には自身の過去を被せて理解と同情を示しながらも義息たる主人公との関係を訝しがる嫉妬心が可愛らしくもある洋子の立場として興味深いのは、既にその3年前から主人公とは秘密裡にデキていた官能的な先輩でもあるということであろう。義息との許されない関係を自覚しながら人目のないところでは甘え、おねだりまでしてしまうのも洋子の魅力だが、その官能面では3年間の経緯としての過去回想で主だった活躍の場を与えている点で憲子との違いが出ていて秀逸だった。ただし、亡夫との関係性が憲子とほぼ同じだったのは少し勿体なくもあり、例えばそもそも淡泊だったのが主人公との3年間で女を開発させられた形にしても良かったかもしれない。

【早苗】39歳の未亡人海女
漁に出ない時は本作の舞台である島でタクシードライバーとしても働くことから活発な印象の早苗だが、性においても奔放で開放的である。10年来の大先輩未亡人でもあり、普段の立ち居振る舞いから尻の軽い女との噂も流れているのだが実際は洋子や憲子を出し抜くような図々しさもなく、むしろ一歩引いたところで自身の快楽を追求するオカン属性の持ち主である。海女という設定もあってか、本作随一と言える夜の海でのフリーダムな情交場面が早苗には用意されている。

清楚な容姿に実直な性格が似ている洋子や憲子と、その対極な積極さがある早苗という配置も良好。それでいてこの3人が揃いも揃って島の男共からは羨望と色欲の眼差しに晒されていることが嫌味でない艶として作品をさらに彩っている。それぞれに織り成す官能描写が濃厚なため、その後が順当に3Pから4Pへと発展するオーソドックスな展開であってもそれで充分。さらに捻りを加えると却って詰め込み過ぎにも繋がり兼ねないため、むしろ亡夫との過去を土台に主人公との今を憂いながらも、その芽生えた想いには身を焦がし、さらには疼く体を持て余す熟女達による素敵な背徳愛情物語として楽しめる作品と捉えるのが良いと思う。この路線ならば次作以降も大いに期待したい。

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