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いわゆる「脳科学者」として著名な茂木健一郎氏が、「サービス評価日本一の旅館」である「加賀屋」に実際に宿泊したり、従業員に話を聞いたりして、そのサービスの本質についてまとめた一冊。
個人的に加賀屋は私が高校卒業迄をすごした故郷である七尾市にあり、当時の実家は加賀屋から車で40分ほどのところにありました。さらには、加賀屋の関係者が同じ高校に通っていたこともあり、当時からとても身近な存在(かなり高級ではあるので、決して「良く泊まっていた」という意味ではない)でした。
一方でその名声は日本中(今や世界中と言っても良いかもしれません)にとどろき、そのサービスの本質に迫ろうとした著作やサービス講義のようなものは世にたくさんでていると認識していますし、私もその内何冊かに目を通す機会を頂いてきました。
そんな中で本書は、そのタイトルから私としては勝手に「脳と神経から分析した加賀屋」のようなものを想像していたのですが、どちらかというと「著名人から見た加賀屋」といったアプローチで、多少は脳・神経科学との関係性に触れてはいるものの、ある意味よくあるアプローチのものになります。
全体として大変読みやすくかつ分かりやすく書いてあるため、加賀屋について軽く知ってみたいといった興味をお持ちの方が入り口として手に取られるには良い本だと思います。
これまで何冊か加賀屋のサービスについての書籍に目を通してきましたが、いつ触れても思わず込めあげてくるものがある素敵な旅館であると同時に、私にとって自分が仕事に向かうにあたって、自分が加賀屋と同じことができているか、を常に見つめ直すことで成長させてくれる旅館です。
大人になってから泊まってないですね・・・。お邪魔するに相応しい人間になって、一度お世話になりに伺いたいと思います。
【本書抜粋 加賀屋 若女将】
私たちは、褒められたいとか、お金をいただくという対価を求めてお客さまと接しているのではありません。先回りして、気を働かせて痒いところに手が届くようなことをしてさしあげたら、お客さまが喜んでくださる。チップの習慣がない日本独特のことなのでしょうか。でも、それが「おもてなし」の心なのでしょうね。
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