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「名誉死民」と「南部すたいる」がお気に入りです。死後の世界や、自分が利用している沿線のことは想像が膨らむ舞台です。「CAの受難」も消息を断ったマレーシア航空機を連想させ、2014年になんだかしっくり終わっていないニュースを年の瀬に思い出すのでした。
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8つの、シュールな短編集。
どれもこれも、最後にどんでん返しもないし
救いもない、シュールなものばかり。
現実ならばこうだろうという内容ですが
もうちょっとこう…小さな幸福が欲しかったです。
とはいえ、それほど暗黒、と言う事もなく。
シュールだけれども、ありそうだと納得したのは
透明人間、の話でした。
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タイトルと表紙につられて読んだらはまらなかった…そこまでおもしろさわかんないなあと思いつつも惰性で読んでこれはだめだと感じたけれど最後2編はおもしろかった。
「神の見えざる手」がいちばん好きで、中でも「神は美を好む」がよかった。
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運命に翻弄されたり、運命によってなんかすごくラッキーなことが起こってなんとか食いつないでいけたりする人々にスポットが当てられている短編集。まさしく寓話。
ちょっと笑える。真面目な顔して何言ってんだって突っ込みたくなるような短編「アイアン・ファミリー」。先祖代々後継ぎがどのような人生を送ったのかを暗記させられる宿命を持っていて、それをデジタルデータ化してしまおうという試み、その原稿が「アイアン・ファミリー」という一編の小説に組み込まれている。あのオチはすごい。
「CAの受難」。凄味のある狂気。昔本当にそういう事件があったんだよな、確か。操縦中にパイロットが狂っちゃうっていう。
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「死都東京」も「夢眠谷の秘密」も「南部すたいる」も面白かった。
「CAの受難」はあまりにもタイムリーというか。。。
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アイアンファミリー、始皇帝と徐福からつらなる88代の系譜。死都東京、死者たちが時代を選んで暮す。
同じ電車にたまたま乗り合わせた乗客八人が、本書に収めた八つの寓話のような妄想世界に暮しているのだとしたら、まだまだ世の中は捨てたものではない−もっとダークで、もっと多様であって欲しかったな。
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短編8つ。アイアン・ファミリー/死都東京/夢眠谷の秘密/透明人間の夢/名誉死民/南部すたいる/神の見えざる手/CAの受難
妄想8つとでもいうべき?死都東京が斬新だったな、これ、これって、twitterの文字制限の140字ずつで書いてるんじゃないかな? いまどきの人にはおさまりのいい文字数で区切られてるから新鮮な驚きとともに読めた。こういう手法があるのか。
なんだか現代版夢十夜とでもいうべき。
深い感動や胸に刺さるものはないけど、ちょっと日常を忘れて本の異世界に行くには最適。うまい作家さんだなーと改めて。死都~のあのかんじが斬新だと感じるいまの時代のうちに、読んでほしい1冊。
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「はじめに」より
「いいたいことがいいにくくなる世の中に暮らしたいなどと思う人はおそらくいない。なのになぜ社会はそちらの方向に向かってしまうのか? 人の話を大人しく聞き、反論を控えてしまう人が多い中、声が大きい厚顔無恥な人の恫喝的主張ばかりが目立ってしまう。コトバには様々な活用法があるから、それをどう使おうが勝手ではあるけれども、隣国への憎悪をまき散らしたり、使い古された愛国、憂国の叫び、呟きを垂れ流すより、個々の妄想や回想を温め、孵化させる方が、まだこのふざけた世の中に清涼をもたらすことができる。」
というわけで、妄想による暗黒の寓話8篇。
先祖代々の系譜を暗記し、後世に伝えるべし、という家訓を持った、八十八代続く鍛冶屋の系譜。
まどろんでいるうちに、いつのまにか「こちら(あちら)」に。実は再起動が可能であったが、果たしてチャンスはあるか。
人が通わぬところに魑魅魍魎がいる。現代もいる。登場はしないが、そいつらはずいぶんと不幸をおびき寄せる。
透明人間になりたい。その願いは叶うのか。まあとりあえず、食い逃げ。
誰からも愛される人が死に、愛されない人が残った。俺が死ねばよかったんだよね、とみんなが思う。その受け止め。供養。
世の中の発展とは異なる方向を選択した路線、南武線。南武線の個性を背負ってこそ、川崎市民である。
神はみなお見通し。だから雑念だらけで向き合って、放っておいてもらおう。神にはロイヤリティが必要ない。貧乏神に憑かれた人。
飛行機が墜落する。日中韓の三人が漂流する。日本人CAはそこでリアルな人間模様に出会う。話せばわかる。いや話してもわからない。それでも飛行機は墜落する、かもしれない。
という、これだけ読んでもわからないであろうことを羅列してみた。
○○は××のメタファーで…なんていちいち言葉にしてしまう人や、言われないとわからない人にはむかないと思う。
こんな紹介でも清涼をもたらされそうだ、という人には是非おすすめしたい。
本当にふざけた世の中であるが、まだ清涼を手に入れる自由は残っている。いつまであるかね。