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地図の歴史と地図に纏わるエピソード。
地図はもともと人間の想像力を試したり、計ったりするために誕生し、その役割は今も変わっていない。アレクサンドリア図書館の地図から脳の地図まで幅広く紹介する。大昔の地図は、制作者の思想や概念が反映されたものだった。それが多くの旅行者や探検家の調査により真実を表現したものとなり、地図の精度が上がると共に、使用者の目的に合致した地図が作られるようになっていく。古地図の価値が上がって、オークションで取引されたり、ゲーム用の空想地図が作られたり、現代においても様々な用途で地図は作られている。
この本の多くのエピソードの中で気に入ったのは、フィリス・ピアサルの物語だ。
ロンドンの地図で最も有名な「ロンドンAtoZ」を発行したことで有名な女性で、衛星写真や航空写真が無い時代に、1930年代のロンドンの23000余りの通りを歩いて地図を作った。その距離は4800km。街路地図の草分け的な製作者だ。
今では観光地でよく使われる街路地図だが、彼女のアイデアと努力で一般に普及するようになった。地図と言うのは、地道な努力の結晶であると共に、アイデア次第では誰でも制作可能なアートでもある。
ということで、自分も老後の楽しみとして自分自身の人生地図を作ってみたくなった。自分の行動や記憶というのは、時間と空間に密接に結びついている。時間軸で自分史を書くのも良いが、空間軸で自分を振り返ってみるのはどうだろう。この本を読んだ後、そんな事を考えた。自分史マップ。
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・1290年に作製された「マッパ・ムンディ」。ヘレフォード大聖堂。
・アフリカの地図…西欧先進国による勢力地図。
・コング山脈のでっちあげ、地図による隠蔽、「文明化」の名の下での支配と搾取。
・19世紀から、地図やガイドブックの一般化。
ベデガーのガイドブックはナチスに採用され、敵軍の士気を阻喪させようと、
ガイドブックで星がついた場所を次々と破壊していった。(P.283-)
フォースターは『眺めのいい部屋』で、ガイドブックは旅行者の自然な感情の動きをさまたげる、という。
・映画『カサブランカ』における地図。(P.295-)
・デジタルマップ普及で、想像力等の「心の喪失」につながる。
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読了せず。
地図というのは人が世界をとらえていたか、という推移であり、なんというか……この時代からこんな風に世界を見ていたのか!と驚くところが多々ある。そして驚くところが多いということは情報量が多いということであり、今はちょっと読めないなと。時間を見て読みたい。
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地図には描かれた当時の人々の価値観が色濃く反映されている。古代や中世ヨーロッパの地図を見ると想像上の怪物が描かれていて、未知なる世界への好奇心と恐れを抱いているのが浮きぼりになる。
訳者によると、著者は無類の地図好きで、「丹念にリサーチした事実に、生き生きしとした個人的体験を織り交ぜて語る手法には定評がある」ノンフィクション作家兼ジャーナリスト。
著書で描き出された地図は、古代、中世、旅行ガイド、地球儀、カーナビ、ビデオゲーム、脳の地図などさまざまだ。ところどころに図版が載っていて見ているだけで楽しくなる。
400ページを超える厚い本になっているが、地図という途方もないテーマにしてはよくまとまっているので読みやすい。
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古代ギリシアの地図から宝の地図、地下鉄路線図、絵本やゲーム中の架空の地図、さらにはグーグル・マップまで、およそ地図と名のつくものについての歴史と、その作成者達の物語が詰まっている。
デジタルの地図は確かに便利だが、人間から地図を読む能力を急速に奪っているのではないか、というするどい考察には、同感だ。
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タイトルの「オン・ザ・マップ」には「地図に載る(有名になる)」という意味と「地図について思いをはせる」という二重の意味が込められています。地図について思うということは、未知の地に挑んできた人類の歴史について思うこと。先史時代の洞窟壁画から最新技術を駆使したGoogleマップ、はたまた脳の地図にいたるまで、地図と人類の切ってもきれない関係を綴る一冊です。
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地図に関する歴史を振り返りながらの地図を通しての細かな物語がたくさん詰め込まれている。それぞれはだいぶ独立した話になっていて、新世界の発見のことから人体の地図のことまでことにまで話が及ぶ。あまり体系だった話にはなっていないが、地図について今ではあまりに当たり前に思ってしまっていることも、昔の人たちのさまざまな工夫があってのことだったとも感じる。
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【由来】
・amazonで「失われた夜の歴史」を検索したら関連本で出てきた。ちょうど「地政学の逆襲:」で歴史を地図に、に興味を持っていたタイミングだったので。
【期待したもの】
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※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。
【要約】
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【ノート】
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【目次】
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石に刻まれた現存最古の地図からオープンワールドゲームの世界まで。歴史のなかで重要な役割を果たした地図を語り尽くす、地図学の入門書。
ヘレフォード大聖堂がマッパ・ムンディ(中世の世界地図)をサザビーズで競売にかけようとした顛末から始まり、コロンブスではなくアメリゴ・ヴェスプッチを新大陸の発見者とする認識を広めてしまった地図のことなど、トリビアを知るには楽しい本。古地図に限らず、ロンドン地下鉄の一社員がデザインした路線図が今世界中に広まっているデザインの元を作ったということや、チャーチルの巨大地球儀(直径127cm)を再現するアーティストのインタビュー、映画や小説に登場する架空の地図を扱った章もある。
豊富な図版によって地図にまつわるテーマの幅広さと、地図の概念が古代から今日に至るまでどのように変化してきたかを知ることができる一冊。
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地図、というと写実的な事実のようなものを思い浮かべてしまう。
ところが、地図とは人の想像力を試したり計ったりするものなのだ。
冒頭に紹介されている、中国がほぼ抜け落ちている世界地図。地図と地図の間はあちこちが線で結ばれている。これは、facebookの友だち関係を示す地図。これもまた、地図なのである。
エルサレムが中央にあり、両端に天国と煉獄があるのもまた、地図である。
でっちあげられた山脈がある。新たに見つかった大陸がある。地図をベースに疫学を考える。宝の地図。格差を色で表した貧困地図。脳の地図。GoogleMaps。他、いろいろ。
漠然と生まれる地図はない。どんな地図だって、誰かのなんらかの意図がある。
地図の紹介図鑑ではなくて、そういった地図が何故生まれたか、どうやって使われたか、そういった話が次々に襲ってきて、もう満腹。でも何回も読みたい本。
地理と歴史は一緒に覚えた方がいい、っていつも思っていたけれど、そんなアノニマスな地図は存在しないのかもなあ(歴史もだけど)。