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自伝の半分は自慢と自己弁護(正当化)であり、残りの半分は怨みつらみと愚痴で占められる。その中から著者本人の人となりが垣間見えてくるから面白い。
本書で言えば、ラテン・アメリカを扱った第28章が顕著だろうか。民主的で正統な選挙で選ばれた政権を軍事クーデタで転覆させることを是とする(さすがにクーデタ後の虐殺には批判的なようだが)ところなぞ、まさしくラテン・アメリカをアメリカ合衆国の「裏庭」としか思っていない証左だろう。
ということで、伝統的スーパーリッチの思考がわかって、それなりに楽しめました。腹たつけどね。
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以前から、ロックフェラーという名前は知っていたが、最近読んだ小説「海賊とよばれた男」や「楽園のカンヴァス」などで、スタンダードオイル社の創始者や、MoMA(ニューヨーク近代美術館)を創設した、などと、やたらとロックフェラーが出てくるので、どういう人物なのだろう、という事で読み始めた。
ロックフェラー一族とは、政治と民間を結びつける、という事業を、豊富な財力で成し遂げた家系であることが認識できた。
また、この回顧録を読んでいくと、アメリカの近代史におけるロックフェラー氏の関わり方が凄いな、と思う。
シャガールに母の追悼のために教会のステンドグラスのデザインを頼んだり、イランのアメリカ大使館人質事件のきっかけとなった、パーレビ国王の保護にも絡んだり、マンハッタンの衰退を防ぐために世界貿易センタービル(2001年に同時多発テロで破壊された)の誘致を図ったり、周恩来やナセル大統領(なせば成るナセルはアラブの大統領!)と接見したり、と政治家にもできないその活躍ぶりには目を見張る。
「慈善事業」という言葉で私が思い浮かべていたものとは相当スケールが違うな、と思った。
いろんな人と分け隔てなく会えるという事は、人間的に幅が広いんだな、と感じた。
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ロックフェラー家第三代当主、デビッド・ロックフェラー自伝の下巻。
下巻は更に興味深い内容になっている。
ひとつは中東における人脈について。
ロックフェラー家が石油業界で財を成したことからも中東との繋がりは強く、特に中東各国を牛耳る国王等に関する内容は、現在の中東情勢を理解する上でも参考になる。
ただ、一番興味深かったのはニューヨークに関する内容。
ニューヨークにおける数々のインフラプロジェクトに関する内容、彼の母親が創設したMoMAの歴史、三菱地所の買収でも有名になったロックフェラーセンターの歴史等々。ニューヨークを知る上でこの回顧録は欠かせないと感じた。彼の兄ネルソンがニューヨーク州知事として本著にも登場してくることも大きい。
アメリカにはロックフェラー家以外でも著名な財閥が存在するが、その財閥が及ぼす影響は経済活動に留まらず、世界の出来事を左右するような政治の分野にも及ぶ。
このような回顧録、自伝を読むことでアメリカの歴史を学ぶことの意義を改めて認識した。
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超絶お金持ちの自伝。
金持ちが放蕩すると嫉妬心が湧くけれど、ロックフェラーさんみたいに堅実に生きられると富が回ってこない。