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真山仁の隠れデビュー作。破綻の危機に瀕した大手生命保険の生き残りをかけ、各務・中根といった中堅職員達が走り廻る。彼らは冷静で優秀なエリートでありながら、それぞれの人生にそれぞれの背景を持ち、清和生命という会社に強い拘りを持って、働いている。その姿は熱い。
ストーリー構成は真山仁らしく、キャラクターの特徴、人間味を上手く描きながらテンポよく展開していき、切れがいい。社長の高村の、経営者としての腰を据えた姿勢が印象的。
真山仁持ち味の「引き込む」文章はこの頃から抜群。だが、最後の結末への展開が余りにあっさりで、せっかくの盛り上がりが今ひとつ昇華しきれない印象。ということで☆3つ。
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話の舞台となる2002年頃は自身が就職した年であるため、当時を思い出しながら読み進めた。
実感としては恐ろしく景気が悪かった事で、自分と直接関係無かったものの、多くの金融機関が大変な苦労をしていたことを知った点で勉強にもなった。
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破錠寸前になりながらも、辛うじて生きながらえている、生命保険会社。顧客からの凄まじい解約。経営統合の白紙撤回など、生き残りに奔走するが、金融庁もこの生保が潰れると、銀行までもが潰れかねないと考えていた。
ダブルギアリンク、バブルが弾けた後の銀行、生保の合併は凄まじいものであった。当時を振り返って読み始めたらなかなか面白かった。最後は割とあっさりと合併進んでしまったので、イマイチではあった。
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真山さん、昔からブレてない。ハゲタカを読んでいるようなワクワクでした。生保の世界って馴染みがないけれど、主要人物のキャラが魅力的だし文章も分かりやすく、楽しめました。
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真山仁幻のデビュー作。
紳士的だったのが1人の独裁者によりズタズタになった生保が舞台ということもあり、会長以外の悪役がいないのであまりフラストレーションがたまらない。各務にしても、もっと極端な方が物語としては面白かったような。
全体的に、生保OBと組んだがゆえの事実からの跳躍に制約を加えられているような。
そのような制約がありつつも、中盤までは強く引き込まれたのはさすが。
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真山仁幻のデビュー作。バブルが始まりだした1980年代から不景気のピークだった2003年頃までの壮絶な世の中の流れと生保業界。今まで知らなかった事がわかり、ファンドの強かさやどの業界でもある黒い動きが最高に勉強になる一冊。
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本屋で何気なく手に取りました。
新入社員として大手生命保険に入社、転職で中堅生命保険へ。そこで破綻、外資系に会社が買われ転籍。妊娠・出産で退職したものの、子供の成長に合わせて派遣社員として現在も損保系生保で働く私。結果10年以上日本の生命保険会社を、社員として中から見てきました。
冒頭の切迫感から、当時のことがよみがえってきます。
そんなことが裏で行われているとは知らず、お客様の解約の電話でテレビを点け、会社の破綻を知った私達平社員達。
小説上の生保会社のモデルがどの生保かわかりませんが、じっくり読もうと思います。
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破たん危機の生保会社の話
凄く面白い。読み始めると止まらなくなる。
通勤の時に読み始めると駅を乗り過ごしそうだったので、時間を気にしない時にしか読めなかったけど、続きが気になるので、寝る前に読み耽った。
主人公たちの情熱が、会社を守るという愛社精神の発露というよりも、社会への責任を重んじてのものだったのが良いね。
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二人の対極の主人公を置くことで、複雑な状況もうまく解説。タイムリミットが明確にある中、そこに向かって突き進む快感がある。
生保の倒産の話。銀行や政府、外資やファンドなどいろんな関係者がいて、それぞれの思惑があり、外だけじゃなく中にも敵がたくさんいて、というある種の絶望感はなかなか。
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さすが真山さんです。熱い人達の生きざまがとてもカッコいい。
保険業界の勉強にもなるし素晴らしいです。
プレジデンシャルという社名で、あの会社が出てくるのが密かに嬉しかったり。
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ハゲタカ前の真山作品。
どうしても、ハゲタカと比べてしまうと、登場人物のキャラクター(大事な脇役たちの印象が特に)が薄く感じてしまう。金融機関を扱うストーリー展開は面白かっただけに、どうにも残念でした。
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破綻の危機を迎えた生命保険会社を舞台にした物語。
主人公である各務の自分の会社へのコミットがカッコ良い!
特に、最後の覚悟はthe男の生き様という感じで感動。
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生命保険会社のはなし。
自分は何のためにこの仕事をしているのか?
その中で、自分の存在意義とは何か?
そのことを つねに念頭に置いて行動する二人の主人公。
『各務』は、なぜ生命保険会社に入ったのか?
それは、復讐という言葉に近いのかもしれない。
『竜崎』をつぶしたいと思う。
獅子身中の虫とならんとす。
そうであるが故に 生保とはどうあるべきかを
徹底して考えることとなる。
『中根』は、ラクビーのリーダーだった。
そして、生保の中で 『人々が幸福になる』ということを
つねに考える。
一方で 生命保険会社の存立基盤。
事業としてのミッションとはなにか?
竜崎は ジェントルマンとしての生保を
大きく 変えて行く。
政治とのつながり。危ない業務。
そして、各務との関係
そのなかで、高村は 社長として
ジェントルマンになりつつも 清濁呑み込む勇気がある。
ペットでかわれたものが、
ジャングルでは闘えない という言葉は確かに。
日本って やはり甘いのだ。
ダブルギアリングによって、
生保と銀行のなれ合い。
そのことで、ハゲタカファンドは、じつに
狙いが 丸ごとなのだ。
生保がこけて、銀行がこけることで
外資が 確保できる。
各務は じつに 義理人情のおとこである。
浪花節なのだ。
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真山仁は初読、こちらは著者のデビュー作である。破綻寸前の保険会社が、外資保険会社に救済されるまでを読ませる。経済小説にありがちな、社内の派閥争い、他社との駆け引きなどの印象は薄い。保険会社が本来あるべき姿を忘れた先には、加入者(契約者)の不幸がある。資本主義経済の行き着く先に明るい未来はない。
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真山仁のデビュー作でやや荒削りな気がした。
登場人物が多く、銀行、保険会社、政府の関係性も複雑で、理解するのに頭をつかったが、当時の雰囲気がつかめてまあおもしろかった。
登場人物も実際にいる人をもじっていて、小説全体からリアリティを感じられた。