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「エチカ」読了後、知識の整理のために購入。「エチカ」については著者が重要と考える定理のみを抽出のうえ解説し、その後で他の哲学者との比較や時代背景が語られる。各定理の説明については原著の単なる言い換えに終始している箇所が多く、正直なところあまり理解の助けにならなかった。一方、他の思想家との比較はかなり充実しており、定番のデカルトの二元論やカントの物自体との比較、アリストテレスをはじめとするスコラ学の影響についての解説は納得できるところが多かった。残念なのは、スピノザが与えた現代的な影響についての記述が、後記でわずか3ページ足らずに圧縮されてしまっていること。ここはこの何十倍かの分量で読みたかった。
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本書をこれ単独で通読することは、作業的な意味で辛い、と言わざるを得ない。カッコ書きや、殆ど意味の無い反復が極めて多く、とてもではないが洗練された文章構成ではないため、度々読み疲れを感じるという理由がある。
しかし、エチカ原典と本書を同時に開き、箇所を対照しながら読むと、役に立つように思う。本来そのような使い方が望ましいだろう。
また、スピノザに限らずこのあたりの哲学書全般は、ほぼアリストテレス哲学の基礎部分を理解できていないと読めないが、各所で不必要なくらいにその説明が入っている点では入門的である、と評価できる。さらに時々、他の西欧哲学者との思想の比較を、地政学的文脈まで踏まえて描いている点については、なかなか良い材料だと思う。
本書序文には「哲学そのものについて全く予備知識がない読者も対象とする」とあるが、哲学そのものについて全く予備知識がない読者が、本書を読んでスピノザ哲学が理解できるかは、総評として余り自信がない。
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少しずつ読み込んでいきたい。
キリスト教下での禁書処分になるような考察、思想は現代のわたしたちにも財産となるのか
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「エチカ」を精読するうえでの頼れるガイドブック、といった書である。逆にいうと、一冊でスピノザの思想をまるっとわかりたい、という私のような初心者には向かないかもしれない。