紙の本
アジアのパワーとその将来的な活用方法を説いた書!
2017/11/07 07:45
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、家族とシンガポールに移り住んだ筆者の目から見たアジアの経済力と組織力を詳細に分析、考察し、それを将来的にどのように生かしながら日本を含めたアジアの発展につなげていくかを検討した画期的な書です。アジアの発展を日本人の目から、またシンガポールの視点をも考慮しながら、説いた非常に興味深い書となっています。
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アジア・シフトのすすめ
■アジアが台頭する世界
・中国は今後も経済成長を続け、2020年にはアメリカを抜いて世界第一位の経済大国に躍進。しかし、2050年にはインドが中国を抜くと見ている。その結果、欧米の経済的覇権は終わりを告げると考えられる。
■世界最強国家シンガポール
・2023年にはシンガポールが超富裕層の数で東京を抜いて世界第2位になると見込まれている。比率ではとうに日本を凌駕しているが、数でも東京を大きく上回る富裕層を抱えることになるシンガポール。その背景には、圧倒的にビジネスしやすい環境がある。英語が公用語で、世界一便利な空港があり、世界で最も腐敗の少ない政府をもち、優れた医療体制と子弟の教育機関が揃い、安心してビジネスができる。税制面でも安心かつ優位にビジネスができる都市である。
・人材育成への投資の仕方が半端でないこともシンガポールの勢いを象徴し、国力の向上に貢献している。ユニバーシティタウンには24時間365日オープンで、エアコンが効いていて、コンセントが至るところにある施設がある。光ファイバーとWifi完備、高速ネットに常時つながっている自習室を、学生はいつでも自由に使える。少人数用の部屋もあれば、多人数で使える部屋もある。それらの部屋には常時スターバックスのコーヒーとデジタル黒板が用意され、黒板に書いたものを別の部屋にいる学生や海外の学生たちと共有することができる。・・・私も数々の海外の名門大学で学んできたが、間違いなく勉強をする環境としてナンバーワンだと思う。
「日本の大学の図書館が大体9時に閉まることだけでも恥ずかしいです。学生の勉強を最優先においている海外の大学とは、まずここで差が出ます」by一橋大・石川教授
・人口が減って衰退する可能性が高い国家日本が、生産性を上げるためになぜ教育にもっと投資をしないのだろうか?残念でたまらない。
・飛ぶ鳥を落とす勢いのシンガポールだが、「都市国家で長期間繁栄した例は古代を除いて最近はない」とこの国のリーダーたちは自国に非常に厳しく悲観的である。
・とにかく自国を衰退させない、とにかくライバルより先に行く、そういうことに必死なリーダーたちを見て、あらためてシンガポールのすごさを再認識させられた。
・アジアにはシンガポールクラスの人口規模(400~500万)の都市が今世紀中に100近く生まれるとの説もある。同規模の都市がそれだけ近隣に生まれれば、シンガポールが全てのハブ機能を独占することは不可能だろう。しかし、それらを誰より早く認識して対応しようとしている優秀な人たちがたくさんいるということだ。悲観的に準備して初めて、希望をもって行動できる。
■更にギアチェンジを図るシンガポール
・建国50年を前に「失敗した人間が再チャレンジする」「芸術等、クリエイティブな分野に進む人間をリスペクトする」といった、今までのシンガポールストーリーからギアを切り替えている。
・時代の先が読める時代、つまり先進国にキャッチアップする時代は、ミスをしない優秀な人材を国家が好み、そういう人材をさらにミスがないように国家がプレッシャーを与え続けながら使い続けることがベストプラクティスであったのだろう。ところが、激変の時代、ミスをしないことは不可能。先を読むなんてできない。それよりミスをしてもそこから学んで立ち上がってまた進む不屈の闘士とポジティブさが何より大事である。
■日本の危機→アジアの力を活かす
・総務省が発表した統計によれば、日本で唯一人口が増え続けているのは東京圏であり、若者がどんどん減っている地方都市ではさらにパワーが落ちている。
・日本中から若者を吸収し続けている東京だが、その東京をもってしても遠からずパラダイムの終焉を迎えるのではないかと考えられる。東京都が発表した資料によれば、東京の人口はオリンピックを迎える2020年にピークを打ち、2060年には2割現象、高齢化率は2010年に比して約2倍の39.1%に上昇するとされている。
・デフレの恩恵で深刻化しなかった生活水準の低下が、ついに現実となる。日本で暮らしていこうとする個人の防衛策としては、円ばかりで資産をもつのではなく、世界の通過や株式・商品に分散させる努力も必要だろう。
・進行するインフレに加えて、東京においてさえも加速する人口減少と高齢化が日本人の生活水準を引き下げ、日本の心地悪さは増していく。
・懇意にしているシンガポール政府の日本痛は、「日本は国家としてはまだ豊かさがあるが、個人としてはもうすでにそんなに豊かではない」ことに気づいている。人口あたりの富裕層の割合は現在、シンガポールが世界一だ。
・日本の人口はジェットコースターのように落ちていく。今世紀の終わりには明治維新のころの人口にまで減っていくのではなかろうかとさえ私は思っている。「人口減少?別に悪いことじゃないだろう?」と思う人もいるだろうが、明治維新の頃と比べて人口構成が全然違う。2100年の日本は、総人口の4割以上が65歳以上という状態でありながら、人口が今の3分の1以下になる可能性があるのだ。
・「もし私が若い日本人で、英語が話せたら、私は日本を出ていくだろう」byシンガポール建国の父・リークアンユー
・日本では「少子高齢化」と一言で言うが、正確には少子化と高齢化は別物でセットではない。アメリカやイギリスも高齢化はしているが、人口は増え続けている。日本の場合は、人口減少と高齢化がセットで起こっていることが問題なのだ。それらが同時に起こると、経済へのマイナスのインパクトは計り知れない。
・日本で進む高齢化問題は誰にとっても他人事ではない。1300万人の働き盛りの日本人が親の介護問題に久留すみ悩んでいるということは日本の就業者数の5人に1人がこの問題を抱えているという高い割合だ。問題は介護に従事する人数が単に増えていることだけではない。会社の中枢が介護で忙しくなりつつあるということだ。
・どんな予測でも2050年の日本経済は中国の6分~9分の1と出ている。日韓経済の比較でも、1人当たりGDPで韓国に抜かれるという予測が少なくない。こうなった場合に、日中・日韓関係に何が起こるだろうか?我々の人生の後半や我々の子供たちの世代は、日本経済の10倍近いサイズになった隣国と向き合わないといけなくなる。世界最大の経済に対して、ポピ��リズムに振り回されるアメリカがどういう態度をとるか、そこはいわずもがなだろう。もちろんそのころには軍事支出でも、巨大な隣国がアメリカを凌駕している可能性が高い。私のポリシーは「物事は悲観的に想定して準備して、楽観的に行動する」である。
・外にいると、自分が住んでいた国の未来が客観的に見えてくる。世界は動的であり、相対的なものだ。日本だけを静的に見ていても、未来を見通すことはできない。しかも東京にいれば、そこは日本の勝ち組が集まる場所なので、パラダイスのような好循環が起こっているように錯覚する。しかし、それをもっと大きなスケールでアジアまで視野に入れてみると、その東京から人材とお金とアイデアがシンガポールをはじめとするアジアに逃げ出し始めているのがわかってくる。
・シンガポールに来て感じる日本の限界は均質性と閉鎖性だ。日本を強くするためいんは、「オール国産」「オールジャパン」といった発想自体がずれていると思う。国籍や人種に関係なく世界のタレントを集め、グローバルオールスターで戦うこの時代、世界人口の2%もいない日本人だけでチームを組んでも、残りの98%の人口から選抜されたオールスターチームに勝つのは確率的に難しいのが道理ではないか。
・2014年のテニス全米オープンで決勝に残った錦織選手の快挙はアジア中で話題になっていた。同じ日本人として、心から嬉しい。だが、「日本の誇り」「日本人は凄い」と手放しで誇っているのはいかがなものだろうか。彼は人生の半分近くを外国に身を置き、トレーニングに励み、試合をして過ごしていた。世界で戦うには世界を早く体感し、その中でもまれたほうがいいとの判断をした。錦織選手のチームはさまざまな国籍のコーチ・トレーナーがいる。多様な人材からなるチーム錦織は、日本政府が政策に関して連発する「チーム日本」とはまるで違う。錦織選手をみて「日本人もやればできる」と思うのは結構だが、目の付けところを間違えない方がいいと思う。世界で活躍する日本人を育てるためには、子供を多様な世界に早くから触れさせてやること。つまり、世界で勝つには、日本人だけでチームを組まないこと。これが日本再生への第一歩のような気がする。
・アジアの力を活かすことができるか否かが、我々日本人にとって、これからの時代に楽しい人生を送れるかどうかの一つの分かれ道になると思う。アジアの力を活かすための準備①アジアを旅しておく。②英語、そして中国語を勉強する。③異文化・他宗教への理解および寛容さ。
・これから10年、アジアで勝負する気になった人がすべきこととして3番目に大きな投資が「友達づくり」。「自分より頑張っている人や自分より大きな夢をもっている人を食事に誘え」byリーカーシン
■海外の成功者の考え方
・海外の成功者は、自然の中で暮らすことの意義を感じている。五感を磨かないと高度な思考はできず、喧騒にまみれ常にネットにつながっていては複雑な意思決定をしないサラリーマン経営者は都心の高層マンションでいいのかもしれにが、ネットから離れ、星を見上げながら、雨に打たれ、風に吹かれ、海や空を眺めながら決断するのが、人間らしいあり方ではないのだろうか。
・海外の成功者は、子供の情操教育のた���にも自然あふれるところに居を構えたがる。3~5歳でできあがる脳のソフトウェアとハードウェアのためには、子供が五感をフルに活動させられる環境が大事だと、科学が証明するまでもなく気づいていたのだろう。海外では名門の初等教育も高等教育も、たいてい広大な自然に囲まれた人里離れた場所にある。コンクリートに囲まれ、ネットに常につながって、五感をぼけさせながら受験技術を身につけていくだけの日本の子供とは大違いだ。軽井沢にインターナショナルスクールを作るのは理に適っているのだ。
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シンガポールも綱渡りだね。
でも、綱渡りで、乗り切ればいいんだよね?
アベノミクスも綱渡り、そのものだけど、
これは、どうなるんだろうなあ。
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田村耕太郎著「アジアシフトのすすめ」PHPビジネス新書(2014)
*少ない人口がさらにものを買わなくなるのだから消費はダブルで減っていく。一方で負担は増える。政府予測によれば、2011年に107兆8000億円だった社会保障給付費は、2025年に148兆9000億円になる。もしこれを消費税で賄うとすれば、消費税は22.5%となる。
*政府はこれまで触れていなかった年金や医療保険もいじってくるだろう。それらろ現実的にカットしながら、企業の空洞化を防ぎ、外国人誘致のためにも法人税はあげられず、所得税は高度人材が逃げ出す限界まで高まるだろう。それでも消費税は20%を超え、30%をうかがうという世界に類を見ない水準まで上がっていくだろう。
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元議員でシンガポールに居を移した筆者が、シンガポールを肇とする等南ア諸国の実相を紹介。ビジネス的観点は多くは無いが、日本論にまで立ち入った好著である。
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井の中の蛙を知った。
課題が山積してるとしても、今後の可能性としては間違い無いと思った。親日をうまく利用できるうちに入り込めるのがベターということ。
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岩佐大樹 インドでイチゴ栽培
藤岡頼光 QQイングリッシュ 実践女子大、明治大学でオンライン授業
ASEAN インドネシアが認めないと進まない
インドネシア 9割がイスラム 2014 ジョコウィドド大統領
マレーシア マレー人優遇
ベンジャミン・ディズレーリ 我々が想像していることはめったにおこならない。想像していないこと、想像できないことしか起こらない
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『最も多い時では、中国とインドがお互いに世界GDPの35%近くを占めていて、両国のGDPの凋落は、西欧の台頭と時期を同じくしていることもわかっている。
つまり、西欧によるインドや中国からのGDPの略奪によって、西欧は世界経済で台頭してきたのである。』
確かに、中国、インド、アセアンが世界の中心になっていくのかもしれないけれど、彼の言うような日本や日本人のアジア・シフトが可能かは疑問。
危機感は持っているかもしれないけれど、行動が伴わないともう間に合わないだろうな〜。
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中国人やインド人は自国を新興国と呼ばれるのを嫌う。
オセアニアのアジア化が進み、アジア全体の中国経済の依存も進む。
東南アジアは中国にもインドにもつかない。それがASEANの英知。
シンガポールがマレーシアから切り離された時、これで終わりだと誰もが思った。それでもマレー人優遇策をとるマレーシアはダメになって、誰でも実力主義で勝てるシンガポールは経済で勝利した。
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もっと海外にも目を向けてほしい。今後の日本、アジア、世界。時代の流れを読んで、ライフプランに反映していきましょう。
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①海外市場の中でもアジアに進出するメリットを語っている。
②日本市場への危機感を示しながらも、日本人がアジアで稼ぐメリットやポテンシャルを語っている。
③ASEAN各国市場に関して地政学的な視点で語っている。
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田村耕太郎
日本戦略情報支援機構代表取締役、国立シンガポール大学リー・クワンユー公共政策大学院兼任教授。前参議院議員(鳥取県選出、2期)。第1次安倍政権で、内閣府大臣政務官(経済財政・金融・地方分権担当)をつとめる。元参議院国土交通委員長。前大阪日日新聞代表取締役社長。エール大学、ハーバード大学、ランド研究所でも研究員を歴任。早稲田大学、慶應義塾大学大学院(在学中にフランス高等経営大学院に単位交換留学)、デューク大学法律大学院、エール大学経済大学院を各修了。オックスフォード大学AMPおよび東京大学EMP修了
日本人の多くは、巨大化する中国を一つのまとまった存在として警戒する声を疑問視していないが、中国は表向きほど一つのまとまった存在ではない。湾岸部と内陸部の格差は大きく、上海と北京の仲は行政でも個人レベルでも険悪で、共産党・地方政府・軍・民間企業、それぞれの想いはバラバラだといわれている。 習近平主席と安倍総理がなかなか首脳会談できないことで、日本人の多くは「習近平主席の天敵は安倍総理」などと思っているかもしれないが、実際は「敵は内にあり」なのだ。 習氏にとっては「安倍さんよりはるかに嫌いで憎い対象」が国内にいっぱいいるわけだ。そして、彼らを秘密警察やマスコミの告発等、あらゆる手を使って潰しまくっている。 森元首相のように既に引退した党の大先輩にいまだに気を使って人事に介入させる等、先輩への恩義を忘れない安倍さんと違い、大先輩を取り巻きごと排除しにかかっているのが習近平氏だ。中国の権力争いは、まさに血で血を洗うようなところがある。想像もつかないすさまじい闘いがそこには存在する。
二〇一三年アメリカの有力調査機関であるピュー・リサーチセンターがアジアで行った調査は、ある意味予想通りともいえるが、それでも衝撃的な結果を出した。 韓国では八割近い人が日本へなんらかの嫌悪感を抱き、中国では多少なりとも日本に好感をもつ人が四%しかいないという結果であった。中国も韓国も政治的にも経済的にも大切な隣国なので、私としてはより良い関係を一刻も早く再構築すべきだと思う。とはいえ今は、中国や韓国で日本人として活動するのには、不利な時期といってもいいだろう。 では、東南アジアではどうだろうか。 調査結果にも出ているが、東南アジアの国々の日本への好感度は、中韓のそれをそのまま逆転させたような数字だ。フィリピンでもインドネシアでもマレーシアでも、八割以上の人が日本に好感をもってくれている。
東南アジアの対日世論について、さらに正確な調査が外務省によって二〇一四年に行われた。その結果は明白だった。上記の三か国に加えて、ASEAN加盟七か国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、ミャンマーの一八歳以上の国民、各国約三〇〇人、計二一四四人)を対象に行われた対日世論の調査によれば、日本に対して肯定的なイメージをもつ人が九割を超えたのだ。 最も信頼できる国としては、米国を引き離して日本がトップ。ASEANのパートナーとしても、中国を引き離して日本が首位となった。日本の国際貢献や積極平和主義に対しても、���割以上の人々が評価してくれている。
日中関係の悪化の影響は深刻だ。前述のとおり、アメリカの調査機関によれば、何らかの形で日本に少しでも好意をもってくれている中国人は五%もいない。
民主国家である点や、仏教発祥の地であることなど、日本人が親しみやすい要素も多い。日本人に対するイメージも良好だ。日本の外務省の調査によると、日本のインド進出について、九四%の人が「歓迎する」と答えている。 ただし、課題も多い。インフラ整備が遅れているから、電気やガスもしょっちゅう止まる。衛生面も問題が多く、日本人が水を飲めばたちまちお腹を壊す。宗教上の理由でお酒を楽しめる場所も制限されているし、娯楽も少ないので、長く暮らすのであればどこでストレス解消するかという悩みも出てくる。 政治家や官僚の腐敗もひどい。その上、地方分権が徹底しているので、国、州、市、町それぞれの腐敗に対処しなくてはいけない。おまけに、国と地方はしょっちゅう喧嘩していて、民主国家といえども全体で見ればバラバラで統率がとれていない。
都市ごとに税制や規制も違うから、ビジネスをする人間にとってはややこしいことこの上ない……要するに、インドをひと言で表すなら“カオス”だ。インドへ飛び込めば、明日は何が起こるかわからない混沌が待っている。だが、一〇年、二〇年先を見据えてビジネスをするなら、成長余地の大きいインドはやはり魅力的といわざるをえないだろう。
フィリピンという国名は一六世紀のスペイン国王フェリペ二世にちなんでいる。そのせいか、フィリピン人は「東南アジアのラテン系」と言われるほど明るい気質だ。
このフィリピンが他の近隣諸国と違う点は、「出稼ぎ」と「サービス」だ。 英語と賃金の安さと持ち前のホスピタリティにより、世界中でフィリピン人労働者は引っ張りだこで、人口の一〇%近い約一〇〇〇万人が、毎年海外に出稼ぎ労働者として出かけている。マニラの空港には出稼ぎ労働者(OFW)専用のパスポートコントロールが用意されているほどであり、彼らが本国に送金している金額がフィリピンのGDPの一割近くにもなる。
フィリピンが日本の課題解決のカギを握るという理由は、今後日本が必要とするであろう外国人材を最も的確に供給できるのがフィリピンだと思われるからだ。 日本に帰国してホテルに宿泊するたびに驚くのが、清掃やベッドメイキングをやっている人の大半が日本人であること。先進国でこの光景が見られるのは日本だけと思われる。G7のほかの国やシンガポールでも、これらの仕事は外国人がやっている。
高齢者の数は今後三〇年近くは増え続けると推定される。年間数万人という単位を外国から調達しようとしたら、距離の近さとその国の人口の大きさが課題になってくる。その点でも、フィリピンがこれからさらに注目を集めてくると思う。 掃除や料理の上手さ、勤勉さで広く知られており、おまけに他国(インドネシアやベトナム)人材に比べて圧倒的に英語が上手。大家族に育ち、家族を大事にして面倒を見るのが好きな点や、フレンドリーなパーソナリティやカソリック教徒である点も、フィリピン人が各国からメイド人材として重宝がられる理由だ。
貧富の差を示すジニ係数で見れば、インドネシアよりフィリピンの方がやや格差が大きい。フィリピン人の一割が外国に出稼ぎに行くのは、英語が得意で、ホスピタリティにあふれることだけがその要因ではない。これから速いスピードで変わっていくだろうが、今のところ、「放置されたままの貧富の格差やインフラの貧しさから来る生活の過酷さがあり、それを嫌って、家族想いのフィリピン人たちが家族を置いて世界にチャンスを求めて出ていくのだ」と、この財閥のオーナーは指摘した。
そんなフィリピンに、日本から飛び出して行って活躍している人物がいる。 現地でSkypeを使ったオンライン英会話事業を展開している藤岡 頼光 氏だ。彼はさまざまな意味で、これからの時代のアジアン・グローバリストを象徴する人物だ。
「まず、講師全員がフィリピン人であること。フィリピンでは小学校からすべての授業が英語で行われています。いわばフィリピン人は、世界で最も成功した英語学習者と言えるでしょう。もともと英語が話せるネイティブより、学習によって英語を習得したフィリピン人のほうが勉強の難しさを理解しているので、的確な指導をしてくれます」
●ベンチャー起業家が狙うべき穴場の国、カンボジア アジアには、日本人がその魅力に気づいていない国がまだいくつもある。その筆頭がカンボジアだ。この国で起業を目指す日本人の数はまだまだ少ない。 カンボジアに住む日本人はわずか一五〇〇人程度(二〇一二年)で、うち七割くらいがJICAの関係者かボランティアと言われる。つまり、日本人ビジネスパーソンの数は残る五〇〇人程度と推測できる。その大半は日本企業の現地駐在員で、起業家となるとほんのひと握りにすぎないだろう。数年前から日本人の起業ブームに沸くインドネシアやベトナムとは大違いだ。だが、ビジネスは逆張りが基本。その意味で、カンボジアは穴場だ。
君の月給が二〇万円だとしよう。それを以下の五つに分けてみよう。 六万円 四万円 三万円 二万円 五万円 まず、最初の六万円は生活費だ。食費といってもいいだろう。 次の四万円は友達を作るのに使おう。月に二回は、君より頑張っている人や、君がもっていない知識をもっている人をいいランチに誘っておごってあげよう。 三番目の三万円は「学び」に使おう。本をしっかり選んで買うのだ。そして読んで、理解して、本が教えてくれることを戦略的な武器としよう。月に二万円は何かの研修や講座を受けてみよう。 四番目の二万円は「旅」に使おう。これを使って年に最低一回は旅に出よう。安い宿を使ってコストを減らしながら、何年かかけて色んな国を見に行こう。これはリフレッシュにもなり、色んな意味で人生を豊かにしてくれる。 最後の五万円は貯金しよう。貯めていつか起業資金にするのだ。貯めたお金を使って小さな事業をやってみればいい。どこかで何かを仕入れて売ってみるだけでいい。小さく始めれば失敗しても大した傷ではない。成功すれば、ものすごい自信になる。小さな商売で成功することはまったく新しい学びであり、やがて長期の投資計画もできるようになる。そして長期的にお金に苦労しなくなる。
人生で最も大事なスキルが「営業力」だ。とにかく「営業」をやりなさい。成功する事業家は誰でも営業力をもっている。営業の達人が成功するのだ。自分の夢やビジョンを他人に売ることができる。そして何が売れて何が売れないか学びなさい。お客さんの心を読む能力を、事業の土台として作り上げなさい。
人生は自分でデザインできる。キャリアも自分で計画できる。幸せも自分で準備して手に入れるモノだ。お金に余裕がない時は、家から出て外で時間を使いなさい。お金に余裕ができたら、家で時間を使って外へはあまり出ない方がいい。これは人生の技術だ。 貧しい時は他人にお金を使いなさい。お金に余裕ができたら自分に投資しなさい。 お金に余裕がない時は、他人…
お金がない時は、外に出て、うまく人に使われるようにしなさい。お金ができたら、自分を大事にして、他人に簡単に使われないようにしなさい。 貧乏な時は、他人が「あなたがお金を使っている」ことがわかるようにお金を使いなさい。お金持ちになったら、見せびらかしてはいけない。お金がない時こそ他者に寛大であるべき。お金ができたら、浪費家に見られてはいけない。 貧乏になることを恐れる必要はない。知るべきは自分への投資の仕方と叡智とプレゼンスの高め方だ。人生に何が大切で、何に投資する価値があるのかを知ることだ。人にディナーをおごる時は、…
リーカーシンの教えのポイントは、お金がない時でも、給料二〇万円の時でも、その四五%(四万+五万)を自己研さんと旅に使え、といっているところだと思う。私もお金を貯めて旅へ投資することはお勧めしたい。本を読んで勉強して、“百聞は…
動画の撮影、編集機材まで用意されており、多様なプレゼンテーションを準備できる。シンガポールは英語が公用語で、TOEFLの平均点数は世界一、平均でもどの大学にも入れるほど高いが、それでも学術またはプロフェッショナルとして使う英語に関しては、さらに向上できるように学術・プロフェッショナル用の英語を訓練してくれる専門家が常時待機してくれている学習室もある。 ため息ものだ。私も数々の海外の名門大学で学んできたが、間違いなく勉強をする環境としてナンバーワンだと思う。「もしこんなところで学生生活が送れていたら、どんなに人生が変わっていただろうか」と嫉妬するほどだった。 勉強だけではない。文武両道というか、運動が脳にいいことが常識として理解されているので、フィットネス環境も素晴らしい。最新のトレーニング機器を集めたジムがいくつもある。フィットネス環境では世界有数だと思っていたイェール大学本校のジムに負けないスケールのジムが、ゴロゴロあった。
これは日本のコンテンツが劣っているわけではなく、韓国の国家戦略の勝利である。K‐POPは国家の支援により無料に近い形でアジアで広がっている一方、J‐POPにはそこまでの国家的な支援がなく、民間が有料で流通していて、まだ日本のようにはお金に余裕のない東南アジアの若者には自然とK‐POPが流行る、というからくりだ。ともなってK‐POPの洗練がアジアで進み、さらに人気が出る好循環ができているという。
日本の数学教育にも似ている気がした。アメリカで研究経験のある日本の科学者に聞いたことがあるが、日本の数学は簡単な理論を小難しい問題で教え、アメリカでは数学が好きになるように難しい理論をできるだけ簡単な問題で教えようとするという。日本では大学入試の問題も引っかけるような問題が多く、そんな問題の練習ばかりしているうちに本来の数学の楽しさを忘れてしまう。だから日本は数学嫌いが多くなるということだった。 さらに面白かったのは、シンガポールでは日本の現代の若者以上に「根性論は通用しないどころか嫌われる」ということ。日本でも「自分の会社はブラック企業」と非難する若者が多いが、シンガポールでは“批判をする前にそんな会社は辞めてしまう”。だから「早く技術を教えて独り立ちさせて、やる気を引き出しながら、長時間労働や過酷な勤務にならない程度に、根気よく教えることが大事」だと言う。
「大卒以上同士だけが結婚して子供をたくさんもて」 「医者が看護師と結婚すると、三人の子供のうち二人は凡庸になり、一人だけが優秀になるだろう。医者同士で結婚すれば三人とも優秀になる。だから医者は医者と結婚しなさい」 今の日本なら当然大問題発言だし、今のシンガポールでも許されないと思う。
「小学校の時は凡庸でも、二〇歳くらいから天才的な才能を発揮する人材が生まれることも、低い確率だが、あると思う。でも大多数はそうはならない。小学校の時の成績とその人の能力は相関している。シンガポールには大器晩成という例外的な人間に賭ける余裕はない」と、リー氏は割り切っていたのだと思う。
たとえば、今の安倍政権があるのは 菅 義 偉 官房長官に負うところが大きいと思うが、菅さんのような人物はシンガポールでは絶対生まれない。高卒で、集団就職で上京して夜学に通い、お金を貯めて大学に入学、働きながら卒業して議員秘書になって、市議会議員からのし上がってくる、大器晩成の典型。ここシンガポールでは、このルートでの政界入りは難しい。 私が間近で何度も感じた、菅さんの直感的頭のよさ、人間臭い面倒見の良さ、勝負勘と勝負度胸。こういったものはシンガポールの政界ではなかなかお目にかからない。日本政治においてもああいう人物は貴重な財産であり、簡単に出てこない。
東南アジア企業や政府も、日本の長きにわたる低迷と日本企業の意思決定の遅さに、日本とのビジネスに関心を失いつつあるのを感じることもある。日本は確かに東南アジアから見たらまだまだ巨大だが、中国やインドやインドネシアといったさらに巨大な経済が目立ち始めた中で、相対的に関心が薄れているのだろう。 決断まで時間がかかり、誰が決定権をもっているのかわかりにくい日本企業の構造も、財閥や政府系で意思決定の非常に速い東南アジアでは好まれていない。「日本企業は表敬訪問に二回も来た。意味がわからないから三回目からは会うのをやめた」とまで言う事業家に、シンガポールで数名お会いした。
シンガポールで安全に東南アジアに適応することができたら、そこから徐々にマレーシアやインドネシアに歩を進めてもいい。カンボジアやベトナム、タイも観光名所も多く、多彩なエスニックな料理を楽しめる。 東南アジアの中で日本に最も近く、日本に対して好感度の高い国であるフィリピンから始めてみるのもいいだろう。きれいなビーチもあるし、既に述べたとおり東南アジアの中では抜群にきれいな英語を話す人が多いので、短期留学先としても日本の若者に注目の国である。 香港も、食事から買い物まで魅力的な観光地であり、英語も広く通じるようになった。洗練された都市ながら中国文化に触れることができる。台湾も非常に親日的で気候も東南アジアより日本に近く、美食や素晴らしい美術館や歴史的建造物があり、高齢世代には日本語を話す人も多い。 さらに、何かと話題のミャンマー。美しい場所もあるが、インフラが二〇一四年現在では未整備なところもあるので、東南アジアの国々を行き尽した上級者にお薦めしたい。 インドは、訪れた日本人は好きになるか嫌いになるかはっきり分かれるとも言われるが、きれい好きの日本人女性のほうが、意外や意外、まだまだ衛生的とは言い難いインドの魅力に取りつかれる人が多いと聞く。
中国、中国系の方に対して、色んな思いやイメージをもっている人がいると思うが、アジアにいる人間の経験から言わせてもらえば、中国人、中国系アジア人の大半は日本の大ファンである。日本に偏見を持っている中国人でも、一度日本を旅したり日本人と触れ合ったりした経験をもつ人の多くは、ころりと日本・日本人を好きになってしまうことが多い。礼儀正しさ、規律、清潔さ、思いやり等、日本で強く感じられるものが中国に欠けているために、日本や日本人が好きになってしまうのだと推測できる。
欧州に比べ、アジアは多様である。宗教、各国間の経済格差、各国内の経済格差。 日本は非常に均質性が高く、自分と異質なものに対して拒絶感を感じる人が多いのかもしれない。異質なものを潰して品質的に均等なものを作るのがうまいのが、日本経済が成功した原因でもあると思うので、一概に均質性が悪だとは言わない。けれども、これからは多様性に対して寛容になれるかどうかが日本の命運のカギを握っていると思う。
豚肉が食べられない人にも、牛肉が食べられない人にも、毎週日曜日教会に行かないといけない人にも、一日五回お祈りしなくてはならない人にも、大らかに選択肢を用意するのはもちろん、自分たちと違うからといって非難したり、「ここは日本だから日本に合わせろ」などと料簡の狭いことを言ったり思ったりしない。お互いの違いを楽しみ、そこから学ぶくらいの気概をもってほしい。そういう心の姿勢が広がれば、日本人同士でのいじめやセクハラやパワハラも減っていくと思う。
三番目に大きな投資が「友達づくり」だ。毎月の給料の二〇%を、国内外にいいネットワーク(人脈)をつくるための投資に充てるのだ。リーカーシンは「自分より頑張っている人や自分より大きな夢をもっている人を食事に誘え」と言っているが、それはわかりやすい基準としてお勧めしたい。私も月に二度はシンガポールで面白そうな人をランチに誘っている。彼らがまた「自分が面白いと思う人」を次の機会に連れてきてくれる。