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人間の行動は、昔サバンナにいた頃のホモサピエンスの頃の生活に適応した脳から生じている。そのために様々な癖が生じる。これが著者の主張である。最近の脳の本で比較的よくみられる内容です。こう考えるとうまく説明できるよね、といったことですが、そうなのかなとも思うし、ちゃんと証明されたことになっていないような気もする。遺伝子の設計されたことに従って、行動する。遺伝子が増えるように行動する、というのが、これほど強力な動因になっているはずなのなら、なぜ日本では人が減っているのか、とも思った。新たな視点を教えてもらって、今後に役立つのかは、よくわからない。
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何でモンハンが大いに売れるのか?
これには人の脳のクセが絡んでいる・・・
人類の数百万年の歴史のほとんどの期間は狩りをして暮らしてきたし、逆に狩られたりもしてきた・・・
常に生きるか死ぬか危険がいっぱいだった・・・
果てしない時間を生き抜いてきたボクらのご先祖様のご先祖様のそのまたご先祖様たち・・・
そのご先祖様たちが苛酷な環境で生存するために進化し身につけてきた生存上有利な能力(脳力?)が・・・
現代社会でも生き抜く力を与えてくれたり、ボクらの暮らしがご先祖様たちが生きてきた環境とあまりに違いすぎるせいで、逆に脚を引っ張ったりしてしまう・・・
人は・・・
何で涙を流すのか?
何で悲しむのか?
そして何でその悲しみを乗り越えられるのか?
何で文字を読むよりマンガを読むほうが分かりやすいのか?
何で火を見るとテンションが上がるのか?
何でヘビや虫に敏感なのか?
等々を、著者の個人的な体験談や思いも絡めながら脳のクセでもって解き明かしていく本・・・
ライトな本なので、お風呂入りながらサラっと読む感じ・・・
脳に興味持つにはイイ具合の本かな・・・
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<目次>
はじめに
第1章 なぜマンガは文字より分かりやすいのか?
第2章 ヒトはなぜ、時間の始まりと宇宙の果てをイメージできないのか?
第3章 火に惹きつけられる人間の心
第4章 ヒトが他の動物と決定的にちがう点
第5章 ヒトはなぜ涙を流すのか
第6章 ヒトは悲しみを乗り越えて前に進む動物である
第7章 遺伝子はヒトを操るパラサイト
第8章 今も残る狩猟採集時代の反応
おわりに
<内容>
「おわりに」を読むと小林教授のこの本に託した意図がわかる。ヒトは「遺伝子という寄生体の連合が作った乗り物」であり、脳はその「遺伝子を上手く増やす乗り物だけが遺伝子と共に世代を継続して存在し続けるという当たり前の出来事(=進化)の結果できあがった部品」。
こう書くと何か分かりにくいけど、具体例を挙げながら核心にせまっていく筆致は分かりやすく、あっという間に読み終えました。いつも読んでいる「先生!」シリーズは、グッとくだけていますがもともと分かりやすい文を書く人と理解しました。
これは論文でなく、啓蒙的な本ですが、現在の学問の進歩と生物学と物理学などの接点なども書いてあり、納得でした。逗子図書館
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著者は、動物行動学に関するユニークな著書を多数発表している鳥取環境大学教授である。
本書で著者は、「ヒトの脳にはクセがある」、即ち「ヒトの脳にはかなり偏った性質がある」ことを、その原因・背景から明らかにしようとしている。
具体的に、「なぜマンガは文字より分かりやすいのか?」、「なぜヒトは時間の始まりと宇宙の果てをイメージできないのか?」等のヒトの脳のクセ(=性質)を挙げて、それは、ヒト(=ホモサピエンス)にとって当座の生存・繁殖のために何が有利であったのかを反映しているのだという。つまり、自分たちの歴史の99%においてアフリカのサバンナ地域で狩猟収集を中心とした生活を送ってきたヒトにとって、現代の高度な学問を文字だけで理解したり、時間の始まりや宇宙の果てを想像することは、自分たちの当座の生存・繁殖に何ら有利性をもたらすものではなく、よって、ヒトという動物の認知系や情報処理系の能力の限界を超えたものなのである。ヒトがいまだに狩猟収集生活に適応したクセ(=性質)を持っていることは、“火”に対して特別な関心を抱くこと、“ヘビ”に対して強い反応を示すこと、男性は「(狩猟に必須の)長距離のルートの把握や検出」が得意であるのに対し、女性は「(他の女性や子供との触れ合いに必須の)言語の流暢さ」が得意であることなどからも説明できるという。
また、それぞれの動物種の脳にクセがあることは、実在の世界はヒトを含む全ての動物にとって同じであるにもかかわらず、それぞれの動物種の、実在の世界を写し取る部分や方法(どのような光の波長を使うのか、音を使うのか、においを使うのかなど)が異なることからも明らかである。
そして、そのことは、原始生命の遺伝子が数十億年の間に様々な形に変化してきた中で、生存・繁殖のために有利であった設計図のひとつが現在のヒトの遺伝子であるに過ぎないことを示し、それはまさに、リチャード・ドーキンスの言う「利己的遺伝子論」につながるのである。
最後に著者は、現代科学の究極のテーマの一つと考えられている「なぜ脳内の物質的な変化から“意識”が生じるのか?」という問いを取り上げ、「それは、質問自体が間違っている。・・・NCC(意識相関神経)の領域の神経が興奮することと、意識が生まれるということは、おそらく根源的には同一のものだろう。同一のものをわれわれの脳が、違った内容で認知し、その理由を問い続けているだけなのであろう。」と、ヒトの脳の限界を改めて述べている。
現在存在する動物は、それぞれが進化の過程で、結果的に自分たちにとって有利であった方法で実在の世界を認識している、逆に言えば、それ以外の方法では実在の世界を認識し得ないという説明には説得力がある。ということは、現在のヒトに認識の困難(不可能)な、時間の始まりや宇宙の果て、人間の意識の発生の仕組みが理解・認識できるようになるのは、そうした遺伝子が結果的に有利となる環境が生じたときということなのだろうか。そして、そのような環境とは果たしてどのような環境なのだろうか。。。
深遠なテーマを考えさせる一冊である。
(2015年2月了)
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◎人の脳
もともと言語は音声のみ
文字は一度音声に変換して認識
だから絵の方が視覚としては伝わりやすい
人の脳の認知=対物、生物、人間の3種類
対物がより高度に 特に化学
対人は昔と変わらない=コミュニケーション
だから難しい話(対物)は擬人化(対人)して
くれた方が理解しやすい
例えば対炎や対蛇と言った専用の
何かに反応する領域がある
人は出来事や物の構成階層、因果関係が分かる
ヒトが涙を流す=心が裸になる
涙を見せる=弱った自分=庇護を求める
相手の攻撃性を視覚的に低下させる
遺伝子、ミトコンドリア、本能
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サブタイトルの「動物行動学的人間論」に魅かれて読んでみた。前半は特に面白かった。中でも
p37
「それぞれの動物種が生存する環境によって、写し取る部分や、写し取るやり方(どのような波長の光を使うのか、音を使うのか、ニオイを使うのか、そしてそれらを脳内でどのように処理するのか等)は異なっている。」
がとても腑に落ちた。
人間よりも嗅覚がすぐれている犬、紫外線が見えるチョウ…確かに、実在世界の反映の仕方は、それぞれの動物で異なっている。
そして、実在世界をどう認知しているのかは、ヒトの個体それぞれも微妙に違っているわけで、この点は日ごろから常に意識しておきたいと思った。
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はじめに――死が怖くなくなる
1 なぜマンガは文字より分かりやすいのか?
読字障害はなぜ起きるのか
アーミーナイフと脳の構造
文化のビッグバン
対人専用モジュールの働き
2 ヒトはなぜ、時間の始まりと宇宙の果てをイメージできないのか?
ヒトは実在を認識できない
狩猟採集に適応した脳
リアリティーをもって想像できる範囲
脳のクセと科学の関係
3 火に惹きつけられる人間の心
ヘビに反応する理由
火に専用の神経回路
欲求と抑制
4 ヒトが他の動物と決定的にちがう点
脳内では何が起こっているか
オオカミとカリブーとヒトのちがい
階層の高さ
ヨウムの謝罪
5 ヒトはなぜ涙を流すのか
情動性分泌涙の4つの仮説
相手の攻撃性を低下させる
涙は庇護をうながす
6 ヒトは悲しみを乗り越えて前に進む動物である
悲しみの役割
子の死はなぜ悲しいのか
悲しみを乗り越えられる理由
7 遺伝子はヒトを操るパラサイト
ハリガネムシの長い旅
人間を操る寄生虫
有益な寄生虫
遺伝子に操られているヒト
個体としての「自分」って何?
8 今も残る狩猟採集時代の反応
獲物に近づく感覚
ヒトは因果関係にこだわる
不安感情と生存
おわりに―目隠しをして象に触れる
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人がどうして「そのように」行動してしまうか分析し解明している。自分が涙を流す理由は解明しなくていいと思った。「泣きたくなったから泣く」でいい。
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冒頭こそは学実書みたいで退屈だなと感じたけど中盤から後半にかけて興味深い内容が多くつい読み耽ってしまった。
人類の99%をしめる狩猟時代の名残が今もかなり濃く残ってるという説にはかなり納得。
この著者の違う本も読んでみたい。