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ピケティがリベラシオン誌に毎月寄稿してた時評をまとめたもの。読みやすいー。
アメリカでは、クルーグマンの時評を、よく見かけるけど、あれのフランス版、というカンジ。短くまとまってるから、すぐ読める。
もちろん、アメリカの、市場重視でマネタリストが多い経済学と、フランスの官僚主義的な経済学の違いはあるものの。
第1章の「ミルトン・フリードマンに捧ぐ」という挑戦的なタイトルが良い。フリードマンが亡くなった時に書かれた文章。
経済学者としてのフリードマンの功績を讃えながらも、マネタリズム中心の自由主義経済を批判している。
やっぱり、フランスのエコノミストの常識って、アメリカとは大きく違うんだね。前提としている考え方があまりにも違いすぎてて、驚く。
日本人の多くはフランスの経済学なんてダメだと思ってると思うし、オレもそう。
でも、アメリカの経済学が世界標準だという思い込みは止めなきゃいけない。EUでは、違うんだよ。
この本が良いとこは、どこから読んでも、すぐ分かるところ。
EU関連の記事から読んでも良いし、ギリシャ危機の記事から読んでも良い。フランスから見た、イギリスの政策批判も見えて、興味深い。
新しい本だけど、図書館で買ってもらったんだー。これ読むの、オレが最初だ。
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その手の話にはついていけない、、、と、思ってた私ですが。フランスの大手の新聞に掲載されてた文章を古くなりすぎてるもの以外の掲載とあって、なかなか興味深い話題が多く、私などでも、楽しませていただきました。お金にまつわる価値観が日本とヨーロッパ、特にフランス人との違いも感じた一冊で、さらりさらりと流しながら読んでも面白かったです。
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今話題のフランスの経済学者トマ・ピケティが数年にわたってリベラシオン紙に連載していた時評をまとめたもの。『図解ピケティ入門』を最初に読んでいたので、ちょっとは内容を理解できたように思います。初めて読んでいたらついていけなかったかも。
今や経済問題はあらゆる問題とつながることがおおいため、社会問題の原因をたどっていけば経済的な問題にぶち当たることが多いように思います。他の経済学者のことはよく分かりませんが、ピケティは広い視野でもってこれらの問題に起因する経済学的な問題を分かりやすくデータを用いて分析しているため、一般人にも受け入れられているのだという印象を受けました。
というのも、政府が打ち出す税税や雇用問題、社会保障などは複雑すぎてまるで他人事のように見えてしまいますが、本書ではそれを噛み砕いて、分かるような分からないような内容を、要点をしっかりとらえて伝えてくれています(とはいえ経済学に詳しくない自分は全てを理解したわけではないです(汗))。写真の温厚そうな見かけとはちがい、本書ではフランス大統領のサルコジ、オランドひいてはオバマまで無能だとこきおろしています。古代から現代までの2千年以上のデータを調べ上げ、分析した彼には自信が満ち溢れているように思えます。
よく聞く社会問題として興味深かったものは
・移民が増えれば仕事が取られる→そんなことはない
・雇用に試用期間を設ける(理由なしで解雇できる)→企業にも社員にもプラスにならない
・法人税を低くし多国籍企業を呼び込むことはいいことか?→悲惨な結果を生む
・炭素税は有効か?→なぜか大口排出源(企業のこと)が炭素税を免除されている
・日本の傾向は?→欧米に似てきている(要するに金持ちがさらに金持ちに、貧困層はさらに貧困に)
など。結論だけ書いていますが、なぜそうといえるのかというピケティの考えは読めば書かれています。
本書はフランスについてのコラムが中心ですが、起こっている問題はフランス以外に見られる現象のため、大いに参考になると思います。この本を読んだ理由がそこにありました。
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うーーん、そもそもフランス、いや欧州の経済状況や税制がわかってないと、非常に読みづらい本ではなかろか、というのが正直な感想。フランスの新聞の連載コラムであるが、80本のうち日本に言及してあるのは1本のみ。それもありきたりな財政赤字の話で、「んなもんピケティさんに語ってもらわんでも・・・」と思った。ただしフランスの小学校は水曜日が休みというのはこの本ではじめて知った。そういうへえ、は少なからずある本。
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ヨーロッパ、フランスの現状認識がないと、わからない部分もあり、多数の短い記事の中から、共感できそうな情報を選んで吸収するような読み方が必要。
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こ れ じゃ な か っ た。
(図書館で素で間違えて借りました)
どうりで、挫折する人続出と聞いているはずなのに、読みやすくてわかりやすいわけです。
とはいえ、新聞のコラムを集めただけなのに、一つ一つが非常にダイナミックで、読み応えがあるのです。
本丸(?)の「21世紀の資本」を読み前の、ウォーミングアップにはぴったりでした。
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08.06.2015 読了
図書館の予約6ヶ月待ち。「21世紀の資本」の前の予習である。
フランスの日刊紙リベラシオンの連載コラム「ヨーロッパを救えるか?」をまとめたもの。最近の金融危機の背景やメルケルとサルコジ、オランドへの酷評がよくわかって面白い。
テーマは、富裕層優遇を是正するべきだ。なのに大統領は無能である。という感じ。
彼はしきりに、教育とイノベーションに投資をと声を上げている。まさにその通りだ。フランスの教育事情にも触れられているところは、個人的に読みやすかった。
フランスの税制は大変そうだという小学生並みの感想である。
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「トマ・ピケティの新・資本論」
ピケティが日刊全国紙リベラシオンに2005年から2012年まで毎月連載していた時評をまとめたもの。「21世紀の資本」とは違い時事の評論なので短く読みやすく、ピケティの考え方がよくわかる。
日刊紙に連載されていただけあり、その時々のフランスの問題点がよくわかる。問題点は違うものの政治的に日本とあまり変わらないような気がする。
問題点の指摘はいろいろあるが、税制の問題、所得格差、社会保障、大学の問題が多い。
特にフランスでの税制の複雑さと金持ち優遇の税制を指摘し、資産への累進課税を主張している。特に不労所得者に関しては容赦がない。
確かに、民主主義を主張するのであれば、その個人の努力と能力によって労働の価値を認めるべきであって、世襲で財産を引き継ぐことによって莫大な利益を享受することはかなり問題があると言える。
また、個人の努力と能力と言ってもどこまでが本当に評価するべき点であるのかは難しい。経営者が会社の増益を自分の能力によるものだと言って莫大な報酬を受けるようにすることに対して有効な歯止めがないように思える。あの、カルロス・ゴーンの莫大な報酬に引きずられるように、日本の経営者の報酬が上がっていることに関してあまり批判的な評論は聞かない。
その意味では、さすがフランス革命の国の評論だと思う。その一方で、その思想を体現する平等の国アメリカでは格差が大きく、ヨーロッパのようになるまいとして累進課税が課されていたものがどんどん廃止されていくのが矛盾しているように思える。
民主主義による自由はダメで、やはり、共産主義による恐怖が必要なのだろうか。
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あっと言う間にブームが去ってしまった様だが。
(まさに単なるブームとしか言いようがないかも)
新聞のコラムということもあって、21世紀の資本よりはかなり楽に読めた。
でも、やはりEUをイギリスではなくフランスの視点で捉えている(当たり前と言えば当たり前)ことは強く感じられる。
だからどうだとも言えないが。
日本経済にとっての処方箋になるのかどうかは分からないが、やはりこの数年の間に日本は「本筋」からずれていってるのではないかという気はする。
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ヨーロッパは、政治的にばらばらで団結できずにいるせいで、金融システムの不安定性と不透明性に対して脆弱になっている イギリスの労働人口の生産性の低いのは、教育制度に投じる予算が少ないことと、貴族政治時代をひきずる顕著な階層化に大きな原因がある よい税金とは、政府支出の財源を提供し、公平かつ累進課税であって、個人と企業にできるだけ干渉しない税である ドイツ人の遺伝子にナチズムがないように、ギリシャ人の遺伝子も怠け癖はない フランスは、自国の税制・社会保障制度の改革や近代化ができないうえに、公的債務の共同管理に関して具体的な提案すらできないという無能ぶりをさらけ出している どんな国も年1~1.5%以上の成長を維持することはできなくなっている 産油国では、一握りのこの天から授かった資源の不当に大きな分け前を独占し、大多数の国民、とりわけ女性や移民などは、半ば隷従状態にある
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フランス中心に、ヨーロッパ、世界の政経状況を批判的に捉えた新聞コラムの寄せ集め。
EUの今の難局も、ある意味必然かもしれない、これから良くなる要素はあるのか、と思わされた。
富の不均衡は如何ともし難く、個々人はなんとか自分の資産を守り増やすことに集中するしかない。金持ちを非難したところで仕方がない。
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●『21世紀の資本』で一躍有名になったピケティのコラムをまとめた著書。随所でサルコジ大統領をこき下ろしているのが印象的。
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議論のネタに尽きない本です。
1.この本を一言で表すと?
・ヨーロッパの時事ネタ集
2.よかった点を3〜5つ
・「46 FRBを非難すべきか」
→FRBの2010年の金融緩和について、ハイパーインフレなんか起きない、数パーセントのインフレになるのはむしろ歓迎、デフレの下で景気低迷を長引かせてはいけない、という主張は、アベノミクスに通じる所があり、面白い。
・「65 優柔不断なオランド」
→右派のサルコジを批判するが、左派のオランドも批判するの、客観的でよい。
・「68 水曜日も学校を」
→フランスは水曜日が学校休みというのを初めて知った。
・フランスの教育全般について、憂慮している
→大学教授らしく、かなり心配しているのが分かる。
2.参考にならなかった所(つっこみ所)
・ヨーロッパの時事ネタは、知らない内容であったり、興味の持てない所もあった。
・金持ちに対して資産課税をすべきと主張しているが、それを実施した後、どのような社会になるか見えない。
・欧州連邦の実現を主張しているが、非現実的。ギリシャ問題で、ユーロの問題が見えてきているのに、欧州連邦にして上手く行くとは思えない。
・r>gについて、歴史的事実なのは分かるが、因果関係はよくわからない。
・不平等拡大の対策として、国境を越えた資本移動の全面禁止(364ページ)とあるが、時代錯誤ではないか?非現実的。
3.実践してみようとおもうこと
・とくになし
4.みんなで議論したいこと
・なぜピケティの本は売れているのか?
5.全体の感想・その他
・21世紀の資本論の入門書と思っていたが、予想していた内容とは異なる。
・全般的に、資産家から、金を奪うのが、政府である、と主張しているように感じたのは、自分の理解力が足りないだろうか。
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著者がフランスの日刊紙に月1回の頻度で掲載するコラムをまとめたもの。最新の記事が2011年であり、おおよそ10年前のフランスに関する話題。
21世紀の資本に書かれているエッセンスがすでにあり、資本による収益率は経済の成長率を超えているため、資本を持つものはさらに富み、そうで無いものとの格差が広がる、という考えのもと、度々、資本に累進性の課税を行うべきとの主張が展開される。
遺産を受け継いだだけの経営者の子が、スティーブ・ジョブズよりも資産を持っている、という例が引かれており、それを読むとこの主張も説得力を感じざるを得ない。
日本においてはどうなんだろうか?
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フランスの日刊紙に連載された時評をまとめたもの。
印象に残った文章
⒈ 医療保険料を払う余裕のない人にまで保険加入を強制しているとオバマから批判されてクリントンが激高
⒉ 国内総生産(GDP)を指標として使うのはやめて、国民純正産(NNP)を重視すべきだ
⒊ 忘れてならないのは、企業が払う税金というものは存在しない
⒋ 民間部門が金持ちで政府部門は借金まみれという不均衡