紙の本
ハッピーエンド?
2021/03/01 21:13
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投稿者:コアラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
とりあえず全員丸く収まってハッピーエンド?っていう作品。秀逸なのは,作者が余計な解説を入れていないこと。「ここでA子はこう思った」とか朝のテレビ小説の鬱陶しいナレーションのようなものがない。主人公の心の動きは読者の解釈に任せられている。優れた書き手だ。北海道好きの評者としては釧路が舞台なだけでもう幸せなのだが,よく書けている。原田康子のような時代にとりのこされた旧家のお嬢様の視点も好ましいが,著者のような逞しい下層民の視点も面白い。トキワ書店の店長,彼女が戻ってきてよかったね。それにしても家庭があるくせに年増の女医に懸想して捨てられたから自殺しちゃう昴君は惨めだ。共感もできない。彼をのぞいてハッピーエンドでした(笑)。
電子書籍
ワン・モア
2020/09/23 15:35
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投稿者:MUJI - この投稿者のレビュー一覧を見る
桜木さんの本はだいたい読んでます。最高にいいです。
女の友情みたいな物が書かれていて読み終わったら、やさしい気持ちになれます。
電子書籍
また一気読みしてしまいました
2017/12/28 17:34
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投稿者:うみしま - この投稿者のレビュー一覧を見る
桜木さんの小説は、いつもグイグイと引っ張られて、つい一気読みしてしまいますが、本作も加速度的に引き込まれ、気がつけば一気読みしてしまいました。それぞれのモチーフは、他の作品にも繋がるような、女性像が描かれていますが、最後に見事に光に向かって、集まって行くような統一感があります。他の作品に比べて、生きる希望の光を強く感じました。本当に上手いなあとつくづく思いました。
紙の本
目黒さんの真似(._.)
2015/03/17 15:04
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投稿者:CoolG - この投稿者のレビュー一覧を見る
いい本だ… と解説の目黒さんの真似(._.) 最後の全員で撮った写真が見てみたい、楽しそうやろね(^^) 1話目の十六夜で、うわー暗なりそうやん(ーー;)また読み終わるまで時間かかるやろなぁとどんよりしかけながら読み進んだら、なんとハッピーエンドやん、おもしろかった^o^ お気に入りのとこは、寿美子さんの “なんと言ってこの男を手に入れよう。” やねぇ(^o^)これは、おっさんとして嬉しいよ( ´ ▽ ` )ノ
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6編から成る連作集。一編ごとに主人公が変わるものの、常に一人の女性の姿が見え隠れしているという、筆者の得意とする手法の作品だ。
中心にいるのは、余命いくばくもないと宣告を受けた女性開業医。その周辺にいる友人、看護師、元夫らは、それぞれ苦しみを抱えながら生きている。
とくに、患者を安楽死させて左遷され虚無的に過ごす、友人である女医が光っている。島流し先では、結果的に若い不倫相手をも自殺に追い込んでしまう。が、死期の迫った友人に頼まれて医院を引き継ぎ、懸命に命を救おうと治療を試みる。それは、友人を救うと同時に、彼女の生きる気力にもつながっている。
終盤、死が色濃くなるなかで、主人公の飼っている犬が子供を生む。その仔犬を周りの人たちが引き取り、命がつながつていく。光の射した明るいエンデイングで、ほっとした。
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桜木紫乃さんの小説を読むといつも感じる
狭い世界、土地に生きる人たちの閉塞感は
やはり、今作でも同じように感じながら
やるせなく、悲しく、寂しいけれど
人間らしく、そして再生していくさまに
心がじんわりとあたたかくなってきた
いい時間を過ごせたな
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初めて読んだ桜木紫乃さんの作品。
高校同級生の美和と鈴音と八木君。3人は医師になるのを目指すも、八木君は夢を諦め放射線技師の道へ。3人は一度再会するも離れ離れに。鈴音に癌が見つかり、3人は再び再会へ。
登場人物は皆かっこよくて、どんどん続きを読みたくなった。終盤はちょっとハッピーエンド過ぎかな、とも思ったけど、他の作品も読んでみよ。
2017/04/24再読。
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良かった。
私も医師の端くれ。
しかも開業予定。
二人の女医のそれぞれの個性にそれぞれ共感した。
1人医師の道を諦めた八木のような男にも覚えがある。経験上そういう人は医療関係にいるのはかえって残酷だ。
八木も屈折している。
だけど登場人物みんな折り合いをつけて自分の人生を生きている。
一人は寂しい。
犬を通じて再びできた人との繋がり、連鎖を羨ましく思う。
「ワン・モア」と言わずまたその後が知りたい。
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桜木柴乃らしい作品だけど、全体的に明るいストーリーだった。
島流しにされた女医の、世間の噂に流されずに自分を貫く姿勢、
余命わずかながら、自分の本当の幸せに気付き最愛の男性と過ごす女医、
5年間の空白を経て結ばれた独身の看護師、
登場人物それぞれの「幸せ」にフォーカスされた、素敵な作品。
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人それぞれに歴史もあり、違った価値観もありといった多様性の中で、夫婦として2人がつながり、また友人としてもつながる。そこには融合がある。本来、異質であるものを受け入れて溶け合い一つのものに育っていくんだろう。ハッピーエンドで人間の関係が肯定的に描かれてあることがなんとなく嬉しいと感じる。
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末期がんで余命宣告された女医を中心として、生きづらい世の中を自分なりに生きている中年男女の群像劇。
連作短編の形をとって主人公が変わっていく。
筆者の過去の作品のイメージとは裏腹にどれもハッピーエンドである。安心して読める感と、ちょっとできすぎだなと思う気持ち両方が残る。
『十六夜』
安楽死事件を起こして離島の診療所に飛ばされた女医の美和。
クールな性格で男女関係に奔放な美和は、針の筵のような島の暮らしも飄々と過ごし、妻のある男と漁船の上で逢瀬を交わしている。
男は将来を嘱望された競泳選手だったが、ドーピングにより選手生命を絶たれ漁師となっていた。
神経症気味の男の妻と美和のやりとり、もう壊れかけている男が美和に見せる執着と、あくまでドライで自分本位な部分のある美和の対比が鮮やかである。
島の住人たちも存在感があって、短い話だが濃厚であった。
収録された6話の中で一番鮮やかな関係が描かれていた。この調子で進むのかと思ったが、この話だけ毛色の違う物語だった。
『ワンダフル・ライフ』
父の病院を再建し、仕事に邁進する鈴音は末期がんが発覚し、余命宣告される。
旧友の美和に病院を託し、身辺整理を進めながらも、離婚した夫のことが忘れられず、元夫を家に招く。
結局なんで離婚したのかという部分と、ふたりはヨリを戻すのだが、その流れがふわっとしていてよくわからなかった。
ドラマチックさに煙に巻かれた感。
『おでん』
連作短編によくある、本流以外の人物を切り取った一話。
書店店長でひとはいいが女に縁のない佐藤。
片思いをしていた元アルバイト店員が恋人に暴力を受けアパートに転がり込んでくる。
なんか煮え切らないままに終わるのだが、別の短編でふたりの後日談が。
鈴音夫婦と同じく、綺麗にまとまりすぎ感はいなめない。
佐藤は鈴音の病院に雑誌を納品しているというつながりがある。
『ラッキーカラー』
頼れる看護師として、鈴音と美和の右腕的存在である寿美子。50歳を直前に、5年前に恋心を告げられたがん患者と再会を果たす。
『感傷主義』
鈴音と美和の高校時代の同級生で、共に医学部を目指していたが家庭の事情で放射線技師になった男。
ずっとコンプレックスを抱えていたが、鈴音の病気をきっかけにわだかまりと向き合う。
『ワン・モア』
最後の締の立ち位置の一話。美和の夫である拓郎が主人公となっている。
見事な大団円。
全体としていい話として終わっているのだが、この作り物感は評価が分かれそう。
個人的には『十六夜』が一番物語として質が高いように思えた。
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安定・安心のハッピーエンド。
いかんせん、薄っぺらい。みんな結婚したら幸せなのか?特に、志緒さんはあの店長と結婚して幸せなのか?好きになって結婚という過程が設定ありきというか、短絡的というか電池でいう所の直列繋ぎというか・・・。もう狭い田舎のコミュニティで相手を見つけなければいけない感がどうにも苦手だった。
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美和、鈴音、八木 高校時代の同級生たちが中年になってからの3人とその周辺の人々の物語。美和、鈴音は医師となり、八木は放射線技師になった。安楽死事件を起こし病院を追われた美和は離島でかつてオリンピック競泳選手でドーピングが原因で転落した男と逢瀬を重ねる。そこへ鈴音から余命半年で個人病院を任せたいという電話がかかってきて・・・。人生を重ねてきたが器用には生きられない人たちに温かいまなざしが注がれている。とくに看護師の浦田さんの物語はこれまでの人生に慣れ、幸せへの一歩を踏み出すことに憶病になってしまう気持ちに共感した。鈴音の犬リンのプラチナホワイトの子犬をもらった浦田さん。子犬の生命力にそっと背中を押される姿の大げさでないところもよかった。
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連作長編。
北海道の離島で医師をしている美和から話が始まり、その友人の鈴音、鈴音の離婚した夫、それぞれに個性的に描かれています。
ストーリーはどうと言う話でもないけれど、それぞれの視点で描かれた物語は共感できて、読後感もいいです。
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物語を紡ぐことに
長けていますね。
桜木さんの作品の中では
ふうわり優しく
幸福な物語でした。
爽やかな読後感を
得られるかわりに、
ズンとした重みやアクが
ない軽めの感触。