紙の本
親の介護、夫の浮気、忍び寄る更年期、老後資金の計算などシニア世代の人生を赤裸裸に描いた大作です!
2020/08/02 12:12
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『續明暗』(芸術選奨新人賞)、『私小説from left to right』(野間文芸新人賞)、『本格小説』(読売文学賞)、『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』(小林秀雄賞)などの名作を次々に発表しておられる水村美苗氏の作品です。80歳を過ぎた母が骨折をして病院に運び込まれたその日、美津紀は夫・哲夫の引き出しから花柄のティッシュ入れを見つけます。施設に入った母に時間を奪われ続け、美津紀は、「ママ、いったいいつになったら死んでくれるの?」と思い続けます。親の介護、夫の浮気、忍び寄る更年期、老後資金の計算など、実体験を交えて赤裸々にシニア世代の人生を描いた大作です。中公文庫からは2巻シリーズで刊行されています。
電子書籍
母の死を望む
2018/05/31 23:16
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投稿者:わらび - この投稿者のレビュー一覧を見る
よくあることだろうなあ・・・と思いつつ読んでしまいました。
実体験を創作を織り交ぜた設定には、「実際はどうだったんです・・・!?」と下世話な興味がわきてしまいました笑
紙の本
過去作品と合わせて
2023/01/25 13:26
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投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る
介護と看取りを描いた小説、として間違いではない。同時にそれだけではない水村らしい作品でもある。水村の過去作品と合わせて読むことでより味わい深くなる。
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「今日、ママンが死んだ」
カミュの名作の冒頭を飾るこの一言を呟ける日を夢見た娘と死を待つ母親。この二人の愛憎を描き出す長編。
水村美苗は寡作であるものの、その作品の質は恐ろしい程高い。本作もそうした点で期待を込めながら読んでおり、相変わらずの丹精で美しい日本語と、ペーソスに溢れた文学世界は稀有。
上巻は恐ろしい程の気ままさで家族を振り回す母親を巡る追想が主であり、冒頭の一言が現実のものとなる瞬間に終わる。そして下巻へ。
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タイトルで誤解するかもしれないが、莫大な遺産をめぐる相続の争いの物語ではない。
老親が(この作品では母)身体を動かせなくなり、入院をしたと言って呼び出され、あれこれ用事を言いつけられ、生きるのが嫌になったと泣き言を聞かされ、
介護できないのでホームに入り、毎日呼びつけられ、そしてホームから、熱が出たから救急車を呼んだ、病院を×軒、断られた(ホームの職員が救急車に同乗してくれている)
急激にボケ始め、同時に始まる食べ物への執着、誤嚥性肺炎、延命措置について等々…
経験のある自分には身につまされ過ぎて辛い。
やっと『母』はあちらに旅立ったようですが…
では、下巻のストーリーはどうなるのだろう?
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読み始めは、母親が早く逝ってくれる事を願っている娘とは・・・と思ってしまった。
二人姉妹でも、必ずどこかしら不公平感があるもので、ましてやそれぞれ家庭を持ってしまうと、尚一層それが顕著になる事が多い。
両親との相性もあり、性格もあるが、結局は動ける者が、介護する場合などはやることになる。
登場する場所も良く知っている地名ばかり、まるで私の近くで起きているかのようなリアルな感じでした。
肉親だから、無償の愛もあり、でも冷たく切り捨てていけるものもあり。母娘ともそれぞれの人生を生きていかなければならないのだから。
理屈では割り切れないもの。
後半になり、早く逝ってほしいと願っていることは、深い愛情なのかもしれないなと思ってしまいました。
Booby
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「ママ、いったいいつになったら死んでくれるの?」
そんなことを言ってはいけない、と怒る人もいるのだろうか。私はまだ30代だけど、「自分の人生を生きたい」母の介護、というだけで他人事とは思えない。まして、私は一人娘。こういうとき、弟なんて役に立たないんだろうな。。「早く死んで欲しい」そんな会話ができる姉妹が妬ましい。
下巻も一気に読んでしまいそう。感想は下巻で。
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何かの雑誌で林真理子がオススメしてたので積読リストに入れてました。
著者の作品は初めてだったのですが、あーマリコさんが好きそうだな、というのが第一印象です。
親の介護の話を主軸としながら、更年期、老後資金・・・などなど現実的な問題が山積みでいつかは私も向き合うことなんだ、と漠然とですが感じるものがありました。
登場する姉妹が母の死を待ち望みながらも、母の老いが進むのに合わせて母が不幸にならずに寿命をまっとう出来るよう努力して快適にしようと努める姿がリアルで、救われるようでもあり、切なくもありました。
切ないといえば、母親が日に日に老いてゆく姿の描写がかなり切なかったです。
我儘ですごい人なんだけど、だからこそ、見舞い客が誰であるかは理解出来ても相手のことを尋ねることはできなくなっていった、とか、あれよあれよという間にその日にあったことも説明できなくなっていった、とか辛くって。
極めつけは、大好きな洋画を観始めても興味が続かず、それでいて洋画に熱中する自分こそが本当の自分だと信じているので、私はこれなしに生きていけないの、と言い続ける、とか・・・泣けてくる。
下巻は、どうなってゆくのか。
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2012年に単行本で出た際に、読んでいるんです。
2017年現在からみると、たったの5年前。
最近、電子書籍で再度購入。
「母の遺産」水村美苗さん。中公文庫、上下巻。
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50代の女性がいて、結婚していて子供はいない。
父はもう亡く、老いた母がいる。
この母が、色々面倒ばかりかけ、たいへんにしんどい。
コレという判りやすい被害がある訳ではないけれど、とにかく気持ちに負担をかけてくる。手間暇をかけさせる。
ただでさえ自分も体調が悪いのに。重ねて、介護の手間が厚塗りされる。地獄のような疲弊感。誰とも分け合えない苦労。誰も褒めてくれない重労働。
そして、夫が不貞をしていたことが分かる。若い女と。匂い。証拠。確証。
それも、浮気と言うより、本気。離婚を切り出されそう。
そんな、日常の着物を一枚めくると、すれ違う誰もが抱えていそうなスリルとサスペンスと、げんなり感。
母との、愛憎。
そして、ようやくの、母の死。ほっとする。
やっと、死んでくれた。
そして後半は。
夫とどう向き合うか、今後の人生をどうするか、という流れになっていくのですが...。
#
5年前に読んだ時も、今回も同じく面白かったんです。
水村美苗さんは、とにかく文章に持っている品格と言うものが。触れなば斬れん妖刀村正...と言う感じ、水際立った背筋の伸び方。
さしずめ、大正時代からの老舗の喫茶店で、物静かでシュッとしたワイシャツ姿のマスターが入れてくれるアイスコーヒーのような。それを、うだるような灼熱の午後のひととき、適度な冷房の中で味わい、上等な氷がカランと音を立てるようなココチ良さ。
「日本語が滅びるとき」「續明暗」なども、僕は本当に大好きです。
なんですが...
30代で読んだ時は、「面白いなあ」だったことが。
40代の今回の再読では「痛い...怖い...苦しい」。
正直、特に老いた母が死ぬまでは。
(唐突に1986年の日本映画「人間の約束」を思い出しました。あれも凄い映画でしたね。三国連太郎と佐藤浩市の共演。)
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そんなわけで、下巻に入って、母が死んでくれたあとは、正直大変に読み易くなりました(笑)。
夫と向き合う、人生の再出発を考える主人公、というのは、つまり、なんというか、どこかしら、
「ひとごと」
として楽しめている自分を感じましたね...恥ずかしいことですが。
比べて前半は...。
親の老い... 介護...
人の、人生の、終わり方...
みたいなことを、コレデモカと、首根っこを押さえつけられて、目をひん剥かされて直視させられるような。
自分の親がどうこう、ということもですが、「自分のときは」みたいなことを、よぎっては身の毛もよだつ...。
「ひとごとや、あらへんなあ」
だったんでしょう。5年前に比べて(笑)。
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村上春樹さんが、「ある年齢になってから、昔読んだ本の再読が増えてくる」ということをどこかに書いていたような。
そんなことに、心中、同意してしまう。
再読もまた、愉しからずや。
でも、水村さんの新作、出ないなあ...まだまだ何か書いてほしいなあ...小説ぢゃなくてもいいから...。
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わがままだった母親の弱って行くさま。
父親に対する母を許せなかったり 哲夫があんまりだったり。
年齢に伴う体調の悪さもあったり仕事で食べていけるかなど色々悩み最後は シビアに生活できるかの計算において自分のこれからを決める。身につまされる。
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年老いた母親とふたり姉妹の、介護にまつわる話。
なんて素直な気持ち!
冷静にお金の計算もしつつ、体調を加味しつつ、適当に親の相手もする。
下巻を楽しみに読む。
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介護問題において今の自分と重なる部分がある次女美津紀のことが気になり読んだ。新聞小説だけに読みやすいボリュームでタイトルがついているのも好ましい。著者の自叙伝部分もあるようなので現実味もある気がする。下巻が楽しみ。
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読売新聞にて2010年1月16日から2011年4月2日まで毎週土曜日に連載(全63回)。当日の新聞を保存してあったので、読み通した。
自分が母の介護に追われているので、このタイミングで読んでみた。主人公の心理描写が素晴らしく、満足できる着地で読後感は期待以上であった。
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時々お話が前後するし、読みにくい部分はあったけれど。
主人公と近い年だし、他人事ではない内容に先が気になり興味深く読めた。