紙の本
揺らぐ世界
2017/04/26 19:12
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なな - この投稿者のレビュー一覧を見る
紛争、格差、環境問題、宗教などのことについてわかりやすく書かれていてよかったです。
これからをどう生きていくか考えることができました。
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岡真理のアラブ・パレスチナの話、橋爪大三郎の宗教についての話がわかりやすく、目を開かせてくれるものだった。川田順造のアフリカからの視点もよかった。森達也はいつもの、立花隆は大胆に未来を占っている(悲観的ではあるけれど、これから世界を動かしていく若者を励ますものではある)。
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立花隆にしても橋爪大三郎にしても川田順造にしてもそれぞれおもしろいのだけれど、どこかで一度読んだ話が多く、新鮮味には欠けている。それよりも、岡真理のパレスチナについての話。今まで何一つ分かっていなかったということがよく分かった。一体何が問題なのか、いつからその問題は起こったのか、現状どうなっているのか。さらに理解を深めておくべき問題だと思った。それから、森達也の死刑をはじめとする刑罰について。日本が、とくにオウム事件以降特異な状況にあるということ、逆にノルウェイがいかに寛容であるのかということ、がよく分かった。どちらがよいかという価値判断は簡単にはできないのだが、私などどちらかというといい加減な人間なので、日本が住みづらい世の中になってきているとは感じる。コンプライアンス云々、個人情報がどうのこうのと、正義・正論だから、なかなかそれに大きな声で対抗するのは難しい。車が来ない交差点の赤信号をボーと待ちますか? それとも渡っちゃいますか?
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世界に対する多角的な視点を,世界の先端で活躍する研究者達からエッセンスを講義として聞けるなんて,近年の学生はなんて恵まれているのか.講義する側の希望である,この内容を咀嚼し,自分達の未来につなげ,ノブレスオブリージュを実践できるようになることを祈念する.
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このシリーズの1回目『何のために学ぶのか』に続いて
4巻目『揺らぐ世界』というタイトル
宗教・人種・格差・・・争いはなぜ続くのだろうという
帯タイトル。
前回の『何のために学ぶのか』と同じようにとても
とても面白く、いい内容、いい言葉が多くあったと
思います。
立花隆『ヒロシマ・ナガサキ・アウシュビッツ・大震災』
岡真理『”ナクバ”から60年-人権の彼岸を生きるパレスチナ人たち』
橋爪大三郎『世界がわかる宗教社会学』
森達也『世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい』
藤原帰一『民主化とピープルパワー-フィリピンからエジプトまで』
川田順造『人類学者として、3.11以後の世界を考える』
伊豫谷登士翁『グローバルに考えるということ』
それぞれ、感動するような言葉が多く
ぜひ若い人たち、中学生、高校生、息子に読んでほしい
と思います。
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20150828 今をどう生きるか?そのための考え方、や視点について各人がそれぞれの立場で解説してくれている。高校生以上、中年まで大丈夫ではないだろうか。
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友人からのすすめで。
分かりやすく、しかし考えるべきテーマの集積であり、今後読んでみたい本が紹介されていて実によい本だった。
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☆☆☆☆
桐光学院でおこなわれた中学生にむけた講義を編集したもの。
自分が中学生だった頃に、このような講義を聴けたらなぁと思いながら読ませていただきました。
中学生むけに書かれているので、表現は平易に感じますが、内容は深く、聴いている中学生が将来に見つめていく課題として良い内容でした。
彼ら中学生の心に刻む印象に残る知識を与えるようにと、7名の知識人・専門家がその分野のことを限られた時間でまとめています。
私は、中学生ではないのですが、
岡真里さんの『“ナクバ”から60年』に書かれていたパレスチナ人視点のイスラエル問題は、同じモノを全く違った角度で映し出していました。今までは、ユダヤ人の立場、イギリスを含む欧米列強の被害者という立場で見ていたので、イスラエル目線のものが多かったことを知り、情報量の不均衡と同時に、自らの思い込みと知ることの意識的な遮断が働いていたことも感じました。
そして、森達也さんの【世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい】の文章からは、
〜〜不安な恐怖を抱いたとき、人は集団になって敵を探したくなります。そして「正義のため」、「仲間のため」という大義名分を与えられたとき、人は人を何千何万人でも殺すことができる。なぜなら悪意ではないから。悪意には摩擦が働き、後ろめたさを残す。でも、正義や善意には摩擦が働かず、後ろめたさがないから、人を暴走させるのです。〜〜
という言葉が印象的でした。
川田順造さんの 人類学者としての視点
「『発展途上国』という言葉への疑問」の部分がものごとを見つめる視点と、流布している感性への疑問をもつことの大切さを感じました。
伊豫谷登士翁さんの『グローバリゼーション』という言葉の解釈は、やはり新鮮なものてす。
もっともっと、その概念を広く深く捉えて、自分なりの概念として形成したいと思いました、
いずれの方の講義も、聴いているか中学生の将来に向けて、視界を広げてゆくことを進める言葉で、各氏の講義の最後に紹介されている読書案内が、彼らが世界を知ることの手掛かりになることを期待した本であろうと思う。
2017/01/18
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高校生?に向けての大学教授による講話をまとめたもの。
娘の宿題の参考になるかなと買ってきたものの、受験とかもあり、読んでもらえずお蔵入りしてたので、読んでみた。
思ってた以上によい講義なのと、それぞれの先生からの読書案内があり、これもまた良し。
ぜひとも高校受験が終わってから、読んでほしいと思う。
ちなみに、大人も視野が広がると思う。
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妻が買って持っていた本を借りて読む。
大変素晴らしい。
特に、森達也さんの章が良かったです。
また、藤原帰一さんの若者に向けた言葉が、鋭く厳しいのも印象的。
彼らに真剣に対応しているのだということがよく分かる。
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学術と中高生が交流できる機会が乏しい日本で、このような取り組みや本がもっと増えてくれるといいなーと純粋に思いました。イギリスでは大学教授が街中で一般人に向けてブースをつくって教えるという機会があると耳にしました。特に学生は良質な研究成果や質の高い問いを与えられることで知的好奇心が高まっていきます。大学教授は誰にでも分かりやすい教えようと思うと、それなりに知識を整理して色々と頑張る。お互いに知識やスキルが高まっていく、社会全体も高まっていきますね。
この本は中学生からの大学講義というテーマになっていますが、大人が読んでももちろん勉強になります。これから大学を目指す子どもたちは「どこの大学に行けば就職に有利か」が目的ではなくて「大学で何を学びたいのか、学ぶのか」を目的にして大学を選んで欲しいと思います。大学教授はその分野のプロフェッショナルだということを知っていれば、学ぶ質や学ぼうとする熱意、学ぶ量が変わってきます。それを感じる大学教授はより頑張ります。
良き本に出会いました。ちくまプリマー新書さんは立派な出版社です。
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中学生や高校生向けと書いてあるが、自分に取ってはもう一度読み返す価値のある本と感じた。世の中で何が起きているのかを自分で考え、感じることの重要性を再認識させられた。
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知った上でなお、倫理的であろうとするにはどうしたらいいのか。中高生と共に考える、シリーズ第4弾。先行世代の負の遺産から立ち上がること(立花隆)、「人権」概念から遠く隔てられたパレスチナ人(岡真理)、宗教から世界が見えてくる(橋爪大三郎)、オウム報道が変えてしまった日本社会(森達也)、ピープルパワーの前後では何が変わったのか(藤原帰一)、アフリカが照射する日本社会(川田順造)、グローバリゼーションが投げかけているもの(伊豫谷登士翁)。何かをする一歩手前での、知って考えるということを問うている。中高生向けに編まれているが、侮ってはいけない一冊だと思う。
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一番印象に残ってることはフィリピンの独裁者を政治家の人が諦めずに国民と一体となって倒した事と、アウシュビッツや原爆には人々が理不尽に殺されると言う共通点があることを知り看過された
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そうそうたる大人による執筆。
コンセプトは、中学生向けに大学並みに深いことを伝える、というものだろう。
第4巻は、「世界の変化」がテーマ。昨今の環境変化は、凄まじいものがある。これをどうとらえるか。自分の立ち位置を決めるために、世界をどうとらえるかが重要。
揺らぐ世界の例として、
ヒロシマ、ナガサキ、アウシュビッツ、パレスチナ、オウム、フィリピンからエジプトまでに加え、民主化、3.11、フクシマ
が挙げられる。
最後はグローバルに考えるという点で終わっている。
ボーダーレスなドライバーによるグローバル化で、ボーダーレスというよりボーダーフルになっているというのが東西冷戦以後の状況。宗教ごとの観点や様々な「リージョナルなもの」が、グローバルの視点により相対化される。一見、宗教に始まる数多の「線引き」による対立が世界を揺るがせているように見えるが、実は、技術という「ボーダーレスなドライバー」の影響により、対立の「インパクト」が幾何級数的に拡大している。人間が生み出した「概念」がリアルを破壊しているともいえる。
客観的にみれば、自分で自分の首をしめている。愚かしいとしか言いようがない。
本書にある「揺らぎ」とは、そういうことだろう。ここをどう理解するかが本書のテーマか。
立花隆 ヒロシマ・ナガサキ・アウシュビッツ・大震災
・第一の敗戦:太平洋戦争、第二の敗戦:バブル崩壊後、第三の敗戦:東日本大震災と津波の影響
・戦争の記憶
・100万人
・メルトダウン
・PTG
岡真理 ”ナクバ”から60念ー人権の彼岸に生きるパレスチナ人たち
・アラブ人=アラビア語が母語
ーイスラームの信仰
ーキリスト教徒のアラブ人
ーアラブ人のユダヤ教徒
・パレスチナ=アラブ世界=キリスト教発祥の地
・パレスチナ問題
ーユダヤ人とアラブ人が数千年にわたって民族対立をしている、は間違い
ー聖地エルサレムをめぐってユダヤ対イスラームが宿命の宗教対立をしている、は間違い
ーエルサレムを含むパレスチナがイスラーム世界になったのは七世紀。以降1400年近い歴史でエルサレムは3つの信仰の聖地
ーユダヤ人の国を作ろうとする運動=シオニズム運動=19世紀→ユダヤ対アラブ
・キリスト教による差別
・人種という概念の発明:ユダヤ教徒=セム人種=アジアに起源
・「ニュルンベルク法」
・ドレフュス事件→シオニズム運動=ベン・グリオン
・1947年11月29日:国連総会でパレスチナ分割案が採択=ユダヤ人がパレスチナ全土の52%へ
・→民族浄化
・1948年:イスラエルの独立宣言
・70-100万人が難民に=ナクバ
・1948年12月に国連が難民となったパレスチナ人の即時帰還の権利を確認 vs イスラエルは認めず
橋爪大三郎 世界がわかる宗教社会・・・最低限これだけは知っておこう
・一神教=ユダヤ教、キリスト教、イスラム教
・イスラム教のアッラー(神)=ユダヤ教のヤハウェ(永遠の存在)=キリスト教のゴッド(神)≠��前=神
・なお、名前は、いくつかあるものを区別するためのもの
・3つは信じ方が異なる。
・預言者の働き=神の言葉を聞く人
・神の言葉をまとめたもの=聖典。イスラムの場合=コーラン(ムハンマド書)、キリスト教の場合=聖書(新約+旧約)、ユダヤ教の場合=旧約聖書というかタナハ(トーラー=モーセ五書、ネビイーム=預言書、ケトヴィーム=諸書)
・新約聖書=福音書4つ、パウロの書簡、ヨハネ黙示録。人間が書いたものだが、聖霊がいて神の言葉になっている
・ムハンマドは「最後の」預言者。モーセ、サムエル、イザヤ、エレミヤ、エゼキエル、イエスなどの預言者がいた。なので、イスラムは、キリスト教、ユダヤ教を「啓典の民」として信仰の自由を認める
・ユダヤ教とキリスト教は、コーランを聖書と認めない、ユダヤ教は新約聖書を聖書と認めない
・安息日はいつか:一週間は日曜日から始まる。ユダヤ教は土曜日、キリスト教は日曜日、イスラム教は金曜日
・人間が死んだらどうなるか:ユダヤ教は土に環る。キリスト教とイスラム教は復活(審判の日)
・宗教改革:キリスト教の原則をもう一度徹底すること:マルチ・ルター(働く=隣人愛の実践、浪費しないで投資、禁欲→資本主義)、ジャン・カルヴァン(ピューリタン→アメリカ入植)
・利子をとってよいか:ユダヤ教とイスラム教は(同胞に対してはNG,キリスト教はとってはいけないという決まりはない
・仏教と儒教:神々は重要ではない。
・仏教では、仏>神(神々=「仏様の応援団」)
・儒教では、人間主導での、よい政治が目的→「怪力乱神を語らず」
森達也 世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい
・オウム以前と以後:悪と善の二分法。厳罰化
・死刑の廃止と存置
・人が罪を犯す理由:愛情不足、教育不足、貧困
・罪と罰の概念の違い:ヨーロッパ対アメリカ対日本。日本お応報刑論
藤原帰一 民家とピープルパワー フィリピンからエジプトまで
・民主化するとは、
・フィリピン:ベニグノ・アキノ対マルコス。コラソン・アキノ対マルコス
・ピープルパワー革命対近代革命
・ピープルパワー革命=政府分裂+人が集まる+争点が権力者の退陣
・近代の革命=独裁的な政権獲得過程。フランス革命とジャコバン派独裁、ロシア革命とボルシェビキ独裁、中国革命、イラン革命
川田順造 人類学者として、三・一一以後の世界を考えるー異文化から学ぶもの
・グローバル化の3つ=15世紀にはじまる大航海時代+19世紀後半の産業革命がもたらした非西洋社会の二重の搾取体系+ソ連崩壊以後の東西対立解消
・国民国家は諸悪の根源
・人類学者の使命
伊豫谷登士翁 グローバルに考えるということ
・2つの極端=世界戦争+大量虐殺
・膨大なエネルギーを消費する豊かさ
・新たな課題=環境問題+(恐怖にもとづく)帰属意識の崩壊
・男女間や人種間の格差の見落とし
・先進国と発展途上国の格差の見落とし
・安い物を手に入れたい vs 高い賃金を得たい
・格差が生み出した不安をどう表現するのか=自分の居場所が見えない
・ボーダーに身をおく。ボーダー=家族、共同体、国家、ボーダー=学問領域