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やっぱり大好きだなー、彩瀬さんの描く世界、紡ぐ言葉たち。
東北新幹線に乗って北上する5つの物語。栃木、福島、宮城、岩手、そしてその東北を行き来する新幹線車内で働く女性。
初めのモッコウバラのワンピースがすごく好き。
祖母が運命的な出会いをして若い男と再婚し、遺産相続の問題とかで家族間に亀裂を入れ、それでも若い男と一緒になることを選んだのに、不慮な事故で五年と持たなかった。そんな祖母が語り手の母に当たるひとに
『新しい、きれいなワンピースを着て誰かに見せたいなんて、もう長い間、考えたこともなかったんだ』ってそう語ったシーン。めっちゃうるってきた。大人になったって、お婆さんになったって、死んでしまったって、その人たちは必ず少女だったんだよね。そしてわたしも。
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彩瀬さんの本を読むといつも思う、「彩瀬さんの書く文章が大好きだ」と。今回も読んで良かったと心底思った。彩瀬さんの描く本は皆どこが凛としていて潔い。選ぶ言葉一つ一つが綺麗で瑞々しくて心地良い。「春」「ふるさと」をテーマにした本作でもそれは発揮されており、情景が浮かび読みやすい。どの作品も春らしく「一歩前へ」進む話でとてもよかった。
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短編5作。
モッコウバラ、からたち、菜の花、ハクモクレン、桜。
とても春らしい作品。
帰れる場所があるって、ほんとうに幸せなこと。
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ふるさとって、なんだろう。と、しみじみ。
私にはふるさとがある。
そこでずっとそのまま生きていくのは嫌だと思って。ここではないどこかへ行きたいと思って。
でも、ふるさとから離れたところで生きている今、私にとってふるさとはいつもほっとできる場所で、私の帰りを待ってる場所で、そこで過ごすと元気をくれる場所で。だけど、そこからまた今いる場所へと戻っていくべき場所で。
そういう、なんていうかふわふわとして温かくて、けどずっとそこにはいられない、っていう場所なんだな、と。
彩瀬さんの小説って、凛としてるんですよね。一生懸命生きているヒトたちの毎日を、まっすぐに前を向いて歩いているヒトたちの毎日を、小さな小さな出来事の中で泣いたり笑ったりしている毎日を、さらりと端正に描いている。この物語たちもそんな魅力に満ちている、そう思いました。
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いまの季節にぴったり。
どのお話もあったかくて、すごく好きだった。
個人的には週末に、ちょうど新幹線で東北へ出掛けることもあって、情景を頭の中で描いてる。楽しみだなぁ。
家を出たあとの家族とのつながり、思い、いろんなものがあるし、難しく考えすぎることもあるけど一回肩の力を抜いてもいいのかもと思えた。
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新幹線で北の故郷へ向かう人達の人間模様を描いた5つの短編。故郷とか実家を想う登場人物達の自然な心情が自然で良かった。厄介で面倒だけど愛しい場所。暖かい気持ちになる一冊。著者の感性は好きだな。
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自分の家族。
縁あって一緒に暮らし、血を分けた者。
両親・祖父母をはじめとする連綿と続いている血族。
それらをも超越する輪廻。
生まれ、そして流れ住む場所。
変わってしまうもの、そのまま根を生やすもの。
震災という大きな変化を余儀なくされた
東北新幹線の沿線の都市を舞台に、
こんな壮大なことを感じながら読んだ短編集です。
それぞれの題名に花の名前が入っているからか
物語に入り込むと花の匂いに包まれます。
時にやんわりと、時に凛とした存在感で。
木や花も人と同じ、命が尽きる時は必ずやってくる。
そこに存在がなくなることって
はたして悲しいことだけなんだろうか。
それぞれの家族の話を読んでいるはずだったのに、
彩瀬さんの大きな深い表現の流れに乗せられてしまいました。
仙台の瑞鳳殿、花巻の童話村。
訪れてみたいですね。
私にも何か感じられるかなぁ。
それと…登場した東北の銘菓たちは私の大好物です。
しばらく東北の物産展をチェックすると思います。
この作品も、人の臓器や部位にちょい足しした
表現におっ!と思いました。
やっぱり彩瀬さんの表現、大好きですね。
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どの編も、主人公が優しくて、でもいろいろなことに迷っていて、最後には一歩踏み出せる、この桜が咲く4月にぴったりの本です。装丁も凄く良いです。
5編の中で、モッコウバラのワンピースが一番好きです。おばあさんは勿論、智也君が優しくて素敵です。おばあさんになったらこんな孫がほしいです。
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もうね~全部良かったです♪
全編通して、花々と桜の美しさが記憶に残る物語。
今まで読んだ彩瀬さんの作品の中では、一番ふんわりと優しい印象でした。
#モッコウバラのワンピース(宇都宮)
30代で夫に先立たれ、4人の子供を女手一つで育て上げた祖母が
親族の猛反対を押し切り再びの恋に生きた。
「新しい、きれいなワンピースを着て誰かに見せたいなんて、もう長い間、考えたこともなかったんだ」
あ~もう、いくつになっても恋するってほんとに素敵!
そういえば文中にもありましたが、モッコウバラと炒り卵って似てますね。
お弁当のおかずで炒り卵が一番好きだった自分がモッコウバラを庭に植えてることに納得です。
#からたち香る(郡山)
婚約者の実家に初めての挨拶をするために、
震災後の福島を訪ねる律子。
原発事故の後の難しい状況のみならず、
自分とは全く違った環境で育った相手の実家を
初めて訪ねる不安や緊張がすごく理解できました。
#菜の花の家(仙台)
母親の法事で帰郷した武文。
伊達政宗の墓所瑞鳳殿で中学二年の時に初めて告白された朋子に偶然出会う。
そこの二人の場面がとても好きです。
朋子が武文に握手してもらって
「初恋の人だから、一回でいいから手を握ってみたいなあって思ってた。ありがとう」って。
それに対して武文が、
「こちらこそお礼を言いたいくらいだ」と。
「告白された記憶は、その後の人生の大きな自信になったんだ」と。
こんな風に思ってもらえるなら、
たとえ叶わなくても想いを伝えて良かったんだねって。
#ハクモクレンが砕けるとき(花巻)
知里がおばあちゃんと夜空を見上げて、
ハクモクレンの散り際を見守る場面。
花弁の一枚一枚が落ちる瞬間の音色が聞こえてくるような感じ…
やっぱり彩瀬さんの繊細な風景の描写は素敵です。
むうちゃん♡ふふ
#桜の下で待っている
東北新幹線の車内販売員のさくら。
不仲な両親の間で育った姉弟が、
結婚や家庭といったものに対して複雑な思いを抱きながらも、
前に踏み出そうとする姿にぐっと来ました。
転勤族で、故郷と言える場所のない私にとって、
子供の頃の数年間を過ごした仙台は大切な心の故郷です。
(本棚の名前もそこからつけたくらい)
”故郷”本当に人それぞれですね。
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故郷や家族に対する懐かしさだったり面倒くささだったり、苦手意識だったり、様々な想いを抱えながら人は生活している。花が咲き、季節が移ろうことを実感する中で、家族や故郷への思いも一歩踏み出そうとする姿が読んでいて切なくもあったり、背中を押してくれるような感じがしました。今この時期にぴったりの一冊でした。文章が読んでいて堅実で冷静なのに、何か温かくなるものがあって、追い続けたい作家さんの一人。
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今年の桜はなんとなくきれいな感じがしていまして!!
本屋でこの本を見た時に装丁がとてもきれいに思えて
内容よりも、それで購入しました。
読んでみて。。内容は、まあまあ読みやすく軽い
小説ですが、なんとなく桜のこの季節の景色や風情が
感じられる内容でした。
ふるさと。新幹線。実家。。。。
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登場する人物によって異なる様々な形の故郷を著した温かい小説です。故郷とは、自分の帰る場所。それは、さまざまな人との関係によって築かれたもののように思えました。
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表題作を含む5つの作品が収録をされた短編集。3.11が無ければ、執筆されなかったであろう作品もあり、かなり奥深い作品である。全て家族や人間関係が濃厚で温かさを感じるものばかり。1番好きな作品は『モッコウバラのワンピース』である。何歳になっても恋愛って出来るんだなとか、おばあさんの言葉に心を鷲掴みにされたりといろいろ衝撃的な作品であった。
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彩瀬さんの本やっぱり好きやなあと思う。今回は新幹線で、それぞれのふるさとへ帰っていく5つの短編集。
それぞれの家族があって、ストーリーがあって。最後はどこかほっとさせてくれる。終わりが明るいとやっぱりなんだか清々しくていいな。
月一くらいで新幹線に乗ってるけど、時間帯によって乗ってるお客さんの顔つきが違うっていうのもよくわかる気がするな。
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家族にまつわる人の心をあぶりだしてます。そうだなー、と思いながら読みました。東北新幹線乗ったことなく、福島以北にはいったことがないので、文章から情景が空想できました。桜や、いろいろな花が咲いていく今の時期にはとくに、花の香りも思い浮かべながら読めると思います。