紙の本
芥川賞、大江健三郎賞など次々に文学賞を勝ち取ってこられた中村文則氏の非常に興味深い作品です!
2020/05/30 12:08
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、「土の中の子ども」で芥川賞を受賞され、また『掏摸(すり)』では大江健三郎賞を受賞された中村文則氏の作品です。同書では、街の悪党から依頼を受け、要人にハニートラップを仕掛けることを仕事とする主人公のユリカを中心に展開するストーリーとなっています。ある日、彼女は木崎という見知らぬ男から忠告を受けます。「あの男に関わらない方がいい」と。ユリカは一体どうなるのでしょうか。続きは、ぜひ、同書をお読みください。
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どんな事があっても・・生き続けていれば・・
2016/06/16 06:56
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
解説を読むと「掏摸」の兄妹編で、主人公が木崎と対峙する。
よく不幸な事が起きると、人は「何故私なのか?神は何故こんな試練を私に与えるのか?神はいるのか?」などと考える。
この作品は、木崎を神のような存在にして、人の運命を木崎の考えたシナリオのように変えてしまう。
偶然なのか運命のか木崎のシナリオなのか、物語の登場人物達の混乱が読む者にも伝染し楽しめる。
主人公ユリカは親に捨てられた傷があり、捨てられたくない気持ちと人に好かれたいと思う気持ち・人に自分を選んで欲しいと願う気持ちが今の自分を作ったと考える。
そんな傷をもつユリカの再生の物語として考えたい。
大切な人たちを失って、何も望んでいないと思っているユリカだが、何故か生きる事に執着できる。
そんな姿が人間の本質を失っていない事に救いを感じる。
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「掏摸」とセットで。
2015/07/15 00:14
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品は「掏摸」の姉妹本として刊行されていて、両者共に悪人「木崎」に翻弄される人間を描いた作品です。
「掏摸」を読んで面白いと思ったら「王国」も是非。逆に「掏摸」を読んでピンとこなかった人はおそらく本作もピンときません…(笑)
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支配に対抗できるか
2016/09/28 15:48
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投稿者:ポージー - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の代表作である「掏摸」の姉妹小説(主人公は異なる)だが、これは独立したものとして読める。
一人の女とその行動や人生を圧倒的な力によって気まぐれに支配していく男の話。男は裏社会で強大すぎる権力を持っていて、女は彼の関わる事件に巻き込まれてしまう。女の生死はいつも男に左右されるような状況。それ以前から女は生きる希望もない娼婦であったが、しかしどんな最悪の状況にあっても生き延びようとする。
自分の人生さえ握るような圧倒的すぎる力を前に人間はなにをできるか。それは、それでも命にしがみつくこと、生き様を見せることではないだろうか。
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お前は運命を信じるか?——社会的要人の弱みを人工的に作る女、ユリカ。ある日、彼女は出会ってしまった、最悪の男に。世界中で翻訳・絶賛されたベストセラー『掏摸』の兄妹編!
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これはいい。
面白い小説を読んだ後の煙草は美味い。
グノーシス主義の話もおもしろかったし、木崎がとにかくかっこええ。また読み返すと思うね。
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「掏摸」の合わせ鏡ということで……。
ああ、希望を持っていない、執着ももっていない人間というのはなんてたちが悪いのだろうと改めて思う。
けど、それでも人は簡単に死なないし、死ぬことも選べないんだとしみじみと感じ行ってしまった。
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文章力の凄さと表現する世界の深さを感じる。
文章量はさほど多くはないが、読み応えがある。
神に対しての木崎の考えが、自分を含めてこの世に生きている人々がどこか心の隅に思っている事を指摘している。
あくまでも、あまり声に出さない考えではあるが、、、
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掏摸の兄妹作と言うので気になって読みました。前回の主人公は男性、今回は女性。前回と同じく、知らない間に人に操られるってめちゃ怖い。
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「掏摸」の続篇とのことで読みましたが、正しくは兄妹篇だったようです。
前作でも同じことを書いた覚えがありますが、ちょっと期待しすぎたのかもしれません。
何だか前作より文章がチープになっているように感じました。
木崎が話した宗派のくだりは専門的な話でよくわからなかったし、あとがきでも述べられている月の描写は詩的でそれぞれベクトルがばらばらの方向を向いているように思いました。
ユリカが有能で"ちょっと変わっている"のはよくわかるのですが、フリュネやエリザベートのことを知っているのかなあ?(わざわざ自分で調べたの?)と思ったし、そこの描写もなんだか安っぽいなあと思ってしまいました(すいません)
ユリカは自分は体を売っている女とは違うと思っていて、そういう女性を見下している部分があるのに、それでいて自分が男性を意のままにできることを誇りのように思っていてこの矛盾は何なんだろう?と思いました。
時系列としてはおそらく「掏摸」の後。
途中で出てくるユリカに忠告する男が「掏摸」の彼でしょうが、その後彼は一度も登場しないので、あれからどうなったのか、このあとどうなったのかわからないのがちょっと不満です。
もう少し彼のことも入れてほしかったな。
あれっきりなのであれば、まったく別の話として登場させなくてもよかったのでは?と
でもさらに続きがあって彼が木崎を破滅に追い込もうと暗躍していた、というのであれば面白いですね。
読んだ後、予想外に憂鬱な気分になってしまって、木崎を破滅させるにはどうしたらいいんだろう?ということを考えてしまいました。
箱を用意して、その中に家や学校という環境を用意し、関わる人を配置して、箱庭の中の人を眺めている。
頃合いを見計らって、それまでの人生はすべて計画されたものだったと告げ、絶望した(?)相手を殺す。
神さまごっこを破たんさせるには、用意された人生とは違う予想外の人生を歩むのが効果的なように思いますが、都度、軌道修正を行うだろうし、それができる力を持っているのでやはり難しいですね。
同じくらいの力をもった箱庭の外の人間に引っ掻き回してもらうとか?(笑)
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2年前に読んだ「掏摸」の兄妹篇ということで手に取る。
スタイリッシュな文章で説明が省略された世界と人間関係の中で起こる出来事を描くのは「掏摸」と同様。
他人の人生を自分の描いたシナリオ通りに支配しようとする木崎とその網に絡め取られたユリカ。
人生を諦めたように見えながら生に執着するユリカの切迫した往生際の悪さだけで全編が書き通された感。
それはそれで悪くなかったが、作者が巻末に書いたようなことはあまり良く分かんなかったな。
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待ちきれずに図書館で単行本を借りて既読であるが、手元に置いておきたい一冊なので文庫版を購入。
レビューは単行本の方を参照して下さい。
http://booklog.jp/users/billiards/archives/1/4309020690
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兄妹作『掏摸』から間髪入れずに読みました。著者の言うように、それぞれ話としては独立しているので、前後は大した問題にはならないと思います。
本作の主人公ユリカは社会的要人の弱みを「でっち上げる」ことを生業としており、ある日、絶対悪木崎と関わることに。
前作同様、木崎は彼女の運命を支配しようとします。彼の恐ろしさは、他人の喜び・痛み・悲しみなどの感情に共感「出来てしまう」ところにあるのではないかと。共感、理解した上で酷い仕打ちを行うので。
終盤でようやく、タイトルの意味を理解しました。
大いなる「存在」の比喩として「月」が用いられております。
やはり、「女性」と「月」は親和性が高いのでしょうね。
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サイン本を渋谷でGET✨
『掏摸』の続編的な。木崎の王国?いや、彼女の中の王国?
中村氏の小説は、いつも切なく哀しく、涙の雨の中にいるようです。その空気が私を捉えて離さない。
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闇の世界に生きる人々。月の描写がたくさん。絶対悪が優しいんだか狂ってるんだかよく分からなかった。兄妹篇の「掏摸」も読んでみよう。