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忘れられた巨人 みんなのレビュー

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みんなのレビュー144件

みんなの評価3.7

評価内訳

144 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

淡々とした展開の中、冒険譚よりは不思議な寓話性に取り込まれていく感があった。

2016/01/10 15:02

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:arima0831 - この投稿者のレビュー一覧を見る

昔々、まだまだイングランドが暗い荒れ地ばかりで、鬼や魔物が人々とともに住んでいたころの物語。
アーサー王亡き後の時代で、甥のガウェイン卿が老人になっているところを見ると、6世紀ごろらしい。

とある年老いた夫婦が住んでいた村を離れ、他の村にいる息子のもとに向かって旅を始める。ほとんど隣の村のことだとはいえ、荒れ果てた荒野を抜け、道なき道を歩む旅だ。道中で魔物に遭遇する危険もある。

寒さや闇に惑いながらの道中、老夫婦が出会う不思議な人々。若きサクソン人の騎士、鬼に噛まれて村を追われる不思議な少年、そして年老いたアーサー王の騎士ガウェイン卿。吐く息が人々の記憶を消してしまう龍を退治しに、一行は山に向かっていくのだが・・・。

一歩間違うと安っぽいファンタジー小説になりかねない背景設定で、民話や伝説を淡々と綴ったような冗長さもある話だが、古のイングランドの闇を伝えるような筆致が不思議な情感を生んでいる。淡々とした展開の中、冒険譚よりは不思議な寓話性に取り込まれていく感があった。
様々なモチーフに託された比喩や隠喩が散りばめられて、茫洋とした捉えどころのなさが純文学的ではあるが難解さは薄い。非常に優しい語り口が魅力的だ。穏やかに慈しみあい労わりあう老夫婦の姿がとりわけ美しくて、淡々とした話に陰のある彩を添えていた。

ぼんやりと読み進めるのが非常に楽しかった。
何度かじっくり読みなおして楽しめる一冊になると思う。

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紙の本

過去を公正に語れるのか

2015/11/25 21:13

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:十楽水 - この投稿者のレビュー一覧を見る

直訳すると「埋葬された(埋められた)巨人」となるのでしょうか。今は姿が見えないだけで、消えてなくなったわけではない。覆い隠すものが除かれると姿を現す。それが巨人という存在です。いったいだれが、なぜ、埋葬したのか。そのことは正しいのか。だれにとって正しいのか。だれかにとっては、正しくないのか。
 いつまで埋葬されるべきなのか。時が経てば正しさは変わるのか。巨人の姿は変わるのか。時が経っても変わらないものはあるのか。

 小説のテーマは「公正に過去を語るとはどういうことなのか」であると思います。過去に起きた出来事を語るとき、その全てについて語れない私たちは、自らが語らなかった過去とどのように向き合えばいいのか。根本的な問いかけは、語り手の次元を個人から共同体に移すと複雑さを増します。「自らの立場に立ち続けることは公正さの達成をもたらすのか、妨げになるのか」「ある条件のもとでは立場の絶対化は許されるのか」「相手に対し、立場に固執しないでほしいと望むことは認められることなのか」。こうした疑問が、解きがたいものとして現れるではないでしょうか。

 果たして公正さは、立場の相違を乗り越えて求められるのか。この問いへのまなざしによって、小説の読み方が変化するかもしれません。基本はファンタジー+ラブストーリー。人々はなぜか過去を忘れ、主人公の老夫婦も記憶が頼りない。ある日二人は息子探しの旅に出ます。鬼やら竜やら異界の住人も出てきて、足腰も頼りない老夫婦の旅(冒険?彷徨?)には本当にはらはらさせられます。ラストは相反する解釈が可能だと思います。
 重たいテーマを前にして、あてどない読後感。自分で答えを見つけよと突き放される感じもありました。でも、もっと自由に読めば、「こんな老人になりたいと思うだろうか」とか「男(女も)はつらいよ」とか思えたかも?とにかく、じっくりと読める一冊です。

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紙の本

忘れることと記憶の不思議

2016/04/03 09:16

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ゼルコバ - この投稿者のレビュー一覧を見る

記憶の不思議、忘れることの大切さを教えてくれる。
何もかも覚えていては、大変な人生になるし、忘れられない出来事もある。そして、記憶の中で、様々な出来事を自分に都合のいいように書き換えていく。それでいい場合もあり、よくない場合もある。
ファンタジーでありながら、人間の生き方を教えてくれる本だ。

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紙の本

忘却している方が幸せか…

2016/01/23 15:45

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ろひろひ - この投稿者のレビュー一覧を見る

主人公はある老夫婦。住んでいる村は別の人種が住む地域のため、ここを出て息子の住んでいる村へ向かおうとするのが始まり。その途中で戦士と戦士見習いの子供が同行する。どうやら老夫婦の婦人のほうは痴呆症らしい。
そこへ、竜退治をアーサー王に託された円卓の騎士ガウェインが現れて…。
という導入部。
これだけ読むと、アーサー王伝説に想を得た伝奇物語かファンタジーかと思うが、読後感は「争いや確執」については世界的な規模に目が行くが、実は日常のあなたの隣にも潜んでいる。そしてその根は深い。
そうなると、「忘れている」ことは幸せなのかもしれない。
と、いった感じ。

筆者は、今の世界情勢を落とし込んでいる一方で、日常レベルのあっという展開を用意している。
ラストはどうとるか。私は「えーっ!」と思いました。

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紙の本

ファンタジーのようでいてファンタジーでない作品。

2015/09/13 15:05

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る

騎士や竜が普通に出て来て、アーサー王の騎士まで出てくる。そんな昔の時代で、かつ伝説も取り入れた話。イシグロは一作ごとに作風を変えるとも言われるが、これまたずいぶんちがった雰囲気の作品だった。
ファンタジー的な作品だが、主眼はあくまで老夫婦が互いをいたわり合いながら旅を続ける姿にある。彼らが記憶を失っているのは老化によるものではなく、竜の吐く息のせいだということが次第にわかるが、だからといってその問題は最後まで解決されず、いわばその霧が作品じゅうを覆っているような一種の閉塞感を覚えるところがこの作品の特徴のひとつ。そんな竜だが、騎士に倒されるところはあっけない。ファンタジーなら竜との対決は山場のひとつになるものだが、この作品はそうではない。そういった点に作者の興味はなかったのだと思う。
むしろ、作者が最後まで丁寧に描き続けるのは、老夫婦ふたりが島へ渡るために船頭と交わす会話であったり、その周りの様子であったりする。船頭にいったん船から出てもらってふたりで話す場面は、水が静かに湛えられている様子がありありと浮かび、ふたりの会話とともに印象深かった。
読み応えのあるいい作品だったが、翻訳には不満も。老人が妻に呼びかけるときにいちいち「お姫様」とつけるのは、日本語としていかにも収まりが悪い。英語ではそういった呼びかけを間に挟むのは自然なことなのだろうが、日本には断固としてそんな習慣はない。そこを律儀に毎回「お姫様」と訳されると、何ともむずがゆくい。

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紙の本

復讐の前払い

2016/08/13 00:53

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:igashy - この投稿者のレビュー一覧を見る

という概念が恐ろしかったが、絶対数日中に自分たちが残虐な死を迎えるだろうとわかっていたら、そう思うのだろうと感じた。

すべてが解決する必要はないけれど、残った疑問。
老夫婦が村で疎外されてきたのは、単に年老いていたからだろうか。
書評などで作者が影響を受けた事件(ユーゴスラビア内戦など)を読んでいたので、ブリトン人の夫婦と自身は思っていたけど異なる、ひょっとしたら第三の民族だったのではと思っていたのだけど・・・・・・

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紙の本

なんて優しいストーリーなのでしょうか

2015/06/23 18:00

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ぺるりん - この投稿者のレビュー一覧を見る

ゆっくりと展開するストーリーと、忘れられた記憶を取り戻すべき理性と取り戻したあとのリスクに悩む主人公夫婦の気持ちの揺れ具合が苦しくも心地よかったです。

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紙の本

『わたしを離さないで』から10年目

2016/08/12 23:49

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:mino - この投稿者のレビュー一覧を見る

『わたしを離さないで』から10年目の新作だそうです。
舞台はイギリス、アーサー王伝説を下敷きに、竜や鬼の存在する世界を旅する老夫婦の物語。ファンタジーです。
物語はファンタジーに違いありませんが、カズオ・イシグロが語りたいのは夫婦のありようです。ラストシーンには何とも切ない想いが巡りました。

カズオ・イシグロの文体自体がとても心地よいのですが、それには翻訳されている土屋政雄さんの力も大きいのでしょう。素晴らしい作品です。

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2015/05/05 18:23

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2015/06/07 09:54

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2015/06/23 15:59

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2018/01/08 22:47

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2015/05/07 12:26

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2015/05/23 16:25

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2015/10/18 23:23

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