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紙の本
王道の展開に盛り込まれた初の実母相姦
2015/05/17 22:47
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
基本的な構成やストーリー展開などはこれまでの路線と概ね変わらない。今回も真摯な想いが歪んだ形で交わされる愛と欲望の神瀬官能劇場と言えよう。その中で初の試みとして実母との相姦にトライしていることが本作の大きな特徴である。ただし、タイトルに『vs.』と付けるような対立構造ではなく、むしろ不憫な境遇の主人公(18歳)との時間を経てからの再会という形で連綿と続く実母相姦の王道パターンを踏襲しているようでもある。
そんな実母を含めたヒロインは3人配されているが、メインと呼べるのは(かつてはお隣さんだった)幼馴染みの母【真里子】である。一時落ちぶれた過去があって主人公に助けられた恩を感じている39歳未亡人の真里子は、現在の主人公の窮状を救うために一風変わった「契約」を主人公と結ぶ。これが物語の実質的な始まりとなるが、同時に真里子との関係の始まりにもなる。母性的な包容力に溢れながら仕事に際してはスーツをビシッと決め、ハイヒールで颯爽と振る舞う「できる女」も想起させる真里子の魅力が前半のほぼ全てを用いて描かれている。娘の友達だった主人公が次第に自分を心身ともに満たしてくれる掛け替えのない存在へと昇華していくのは神瀬作品ならでは。最後には主人公の足枷となっていた要因まで取り除く別の「契約」を結ぶこととなる。
真里子の娘にして主人公とは同年の幼馴染み【水希】は憧れの生徒会長にしてインターハイ出場の陸上選手という文武両道の優等生。最近では定番過ぎる設定で、官能小説や官能コミックに限らず一体何人のスーパー生徒会長女子がいるのか?などとツッコミたくもなるところだが、主人公には甲斐甲斐しく世話を焼く生娘な乙女でもあり、それでいて母(真里子)のことを慮って、主人公への想いはしっかり残しつつも共存の道を選ぶのは神瀬作品らしいサブヒロインと言えようか。
40歳の実母【恭子】の本格登場はあまり多くない。過去に息子(主人公)を捨てた女とのレッテルとその真相という物語上の彩りを添えながら、官能的には母としての実感が乏しいことからぽっかり空いた穴を埋めるような、それでいて1人の女としても求めていくような部分に特化している。ただし、有無を言わせぬほどの夜通しの責め続けはなかなかの淫猥さに満ちていた。
とりわけ「黒本」に見られる実質的な共同事実婚といった形で幕を引くことが多い中で、たとえ形式的でも法に則った「家族」となる手順を差し込んだのは新味のあるアイデアだったと思う。
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