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書籍の時代背景・執筆者の解説
日本残酷物語という1960年ごろに話題となった全7巻のシリーズについて解説している。全体で約230ページある書籍の冒頭1/3は執筆者や書籍ができた経緯,背景について解説しており,残りの2/3でシリーズを1巻ずつ解説している。日本残酷物語ができた経緯としては,宮本常一という著者の存在が大きく,前身となる「日本風土記」からの流れをくんでいるとのこと。
後半の2/3の部分では,担当した執筆者の紹介や関連書籍,時代背景についても触れられており,けっこう長ったらしい記述もあった。
全体としては,長ったるしくて読んでいておもしろくない部分がけっこうあった。時代背景の解説はもう少し減らして,日本残酷物語への著者の感想や考察をもう少しほしかった。批評家というか論文のレビューみたいで堅苦しくていまいちだった。
p. 53の「民衆の世界が世間に知られるのは不幸によってである」という一文が印象に残った。2016年に電通の若手女性社員が自殺したことが大きな話題になったが,まさにこれと一致していると思った。時が流れても,民衆の生活・立場というのは変わりないのだなと思った。