紙の本
考えるとは、習慣と対立するものなり
2018/05/14 21:08
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投稿者:想井兼人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
哲学と聞くとややこしい学問分野という印象があったが、それはどうやら誤解のようだ。
本書はNHKのテレビ番組『哲子の部屋』の書籍化第1弾だ。
登場するのは哲学者の國分功一郎と女優の清水富美加、そして幅広く活躍するマキタスポーツ。
國分は、哲学のネガティブイメージの払しょくから着手する。
哲学は新しい考え方を作り出す学問であり、古い考え方を必死に覚えるものではないというのだ。
もちろん、学問である以上、学史を抑えることは必須。
過去の考え方についてきちんと理解し、把握できているからこそ、“新しい考え方”を生み出すことができる。
また、「人間が考えようとする意志を持っているすることが、哲学の誤りである」ともいう。
人間は物事を考えず、習慣化ということを導入する。
繰り返す行動を習慣化、つまり考えずにできるようにする傾向が人間にはあり、そのおかげで物事をスムーズにこなすことできるのだ。
「習慣とは、いろんなことを省いて、効率よくするためにある」もの。
では、人間はどんな時に考えるのか、というと、それは習慣が崩された時とのこと。
予測不能な事態が起きたことで、それへの対処として思考せざるを得なくなる。
これが思考が生まれる第一歩目だ。
本書の締めくくり、本日のロゴスは以下。
「習慣は、思考の母」
「人は“考えない”ように生きる。しかし、時に“考えさせる”何かと出会う」
日々のルーティンは考えるということなしに進んでいく。
何らかのトラブルが発生してはじめて立ち止まり、原因や対処法についてあれこれ考える。
そして、それが解決したら、また無思考で物事を進めていく。
毎日のように繰り返すこの活動。
この中身を考えることも哲学なのだと考えさせられた。
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NHK Eテレの哲学番組の書籍版を3巻同時刊行。人気哲学者が語る人生を楽しくする哲学。第1巻は、國分功一郎の「60分でわかるドゥルーズの“概念”」。「考える」とは何かに迫る!!
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「人間は考える葦」なんていう。
しかし、私たちは「習慣化」により切り取られた情報を無意識に受け入れながら漫然と生きているのであり、「考える」という行為をどのくらいしているといえるのだろう。
朝起きて、顔を洗い、パジャマを脱ぎ、服を着て、朝食を食べ、ニュースを見ながら化粧をして、、、といった習慣のプロセスで、例えばなぜ朝食べた卵の色が黄なのかや、化粧の意味とその効果などについて「考える」ことを始めたら、途端に予定の場所へ時間通りに着けはしない。
私たちは、「習慣」を通して、日々の繰り返しから”違い”を無視し、必要なこと以外の情報を遮断することでなるべく考えないように過ごしているのだ。
ただ、この「習慣」を土台とし、ある意味思考停止しておくことで、「不測の事態」がおこったとき初めて私たちは「考える」ことができる。というか、寧ろ「考えざるえない」のであり、強制されて思考の時限装置を働かす。
例えば、仮に卵の黄身が青ければなぜだろうと立ち止まって原因を推測するはずだ。あるいはコロッケとそばが組み合わさった「コロッケそばの衝撃」が考えるきっかけとなりうる。
東日本大震災も不測の事態であり、これによって皆が目に見えるもの/見えないもの、ありとあらゆるものについて考えた。
通常運転のときにはそもそも人間がものを考えることなどめったにない。これより、20世紀まで哲学は人間を考える生き物とし、思考という積極的意思があると想定してきたが、そもそも考える機会が少ないので、前提自体が誤りなのだとドゥルーズはずばり指摘した。
そして、「哲学とは新しい概念を作り出すこと」とする。
…などなどが書かれていました。
書籍のなかで引用されていた映画「恋はデジャ・ヴ」が観てみたいな。
参考:このサイトがよくまとまってました。
http://ami-go45.hatenablog.com/entry/2014/08/17/072345
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同僚のお勧めの一冊。
人は「考える」のではなく「考えさせられる」らしい。哲学っていうと確かに今まで偉い人がこう言った、この解釈は~というイメージで難しかったが、哲子の部屋ではもう少し身の回りのこととして、わかりやすく伝えてもらった。
テレビを基本的に見ないので本にしてもらえるとありがたいです。
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國分さんの人柄が好き。
この本は導入のため、30分で読める。図書館で借りてよかった。お金を出して買っていたら、ちょっと内容が物足りない。
続きも読んでみよう。
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《リード》哲学を学ぶってどういうこと?がわかる本。
《内容》NHKの同名番組の書籍化。1.「そもそも哲学って、考えるって何?」 2.傑作ラブコメ映画『恋はデジャ・ブ』で「習慣」を哲学 3.「人はどんな時に、考える?」
《コメント》哲学って聞いただけで、自分とは違う世界と避けてきたけど、この本を読んで哲学のイメージが変わりました。國分功一郎さん、清水富美加さん、マキタスポーツさんの3人の掛け合いも面白く自分も参加したくなりました。テレビ番組見たかったな。
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番組の対談を書き起こしているので、さくさく読めます。
習慣は思考の母、自動化したパターンをいきついればこそ考えるきっかけも受け取れるようになる、という結論が、同じような繰り返しの日々に光を射してくれた。
とりあえず映画『恋はデジャヴ』をみよう。
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哲学は、概念の体得にこそポイントがある。
プレゼンや視野を広げるための学問ととらえるとっつきやすいということかな。
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国分さんという人は、おそらく圧倒的に勉強をしているのだろう。もしかしたら、量ではなく(それでも常人よりは多いのだろうけど)、背景とか関係性とかの結び付けに類い稀なるセンスがあるのではないかなと。
この本の中でも言っているが、哲学は「概念」を新たに生み出すものだということだが、それをまた単なる知識とせずに、目を瞑っていても色々な背景によって違う言い回し、それもわからない人がわかるように説明できるように、自分の血肉にする必要がある。無論、それを義務とするかはその人の考え方や仕事の内容次第だろうけど、いつか何かを読んだ時に、それだけではなく他の本を読んだ経験を合わせて、哲学とは、「あるものの考え方」なんだなと思ったことがあるが、この本の中で、ドゥルーズは「モノの見方」なんだと言ったというのを聞いて、なるほど、まぁかく言う自分も、全く分かっていないわけではないのだなと少し嬉しかったが、国分さんの言うような血肉にしているのかと言われれば、まだまだ、いやむしろそうしようとしているのかお前は?と言われても仕方のない状況なのだと言うことを、この本を読んでて改めて知らされた…