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本書が発刊されて間もなく手に入れ、その後何年もなかなか読む時間が取れずにいたが、ようやく読了。
発達障害と冠されているが、精神疾患、精神障害に関わる全ての人に是が非でも読んでいただきたい名著。
一応専門職である私も、子どもの発達の視点から捉えた滝川一廣先生の『子どもの精神医学』と併せて、手元に常に携える私の2大バイブルにしたい名著だ。
日々当事者の方々と向き合う中で、何を胸に何を軸として自分の中に持ち、どこに価値基準を置いて関わっていくべきなのか、その支援の肝を的確に教示してくれている。
多数の症例も非常に興味深いが、第1章と第3章は、ここだけ取り外して持ち歩きたいくらい示唆に富む。
何より、青木先生の「発達障害臨床こそが精神科臨床の基本である」という提言は、私の少ない現場体験でも切実に日々感じていることで、僭越ながら、世の精神科医が皆この視点に立ってくれたらいいのにとひそかに願っていることだ。
過日読了した大塚先生の『精神病の正体』も同じ視点で発信されていて、この流れが少しずつ広がってきているのではないかと、期待してやまない。
星5つでは足りない。10個つけたい。