紙の本
野球人やフロントの言動や新聞記者の日常がリアルに見えるようで楽しく読んだ。
2016/01/10 14:48
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投稿者:arima0831 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主軸になるのは「とりあえずニュース出せ」が口癖のデスクでベテラン記者(だからトリダシ)鳥飼。偏屈偏狭因業頑固。極端に癖のある昭和なオヤジ記者だ。彼を中心に、スポーツ紙の内外を取り巻く様々な人間が短編で切り取られていく仕掛け。
東大卒の女性記者の悩み。某大球団(明らかに巨人がモデル)の監督交代人事を素っ破抜けるか抜けないかの争い。社内抗争。競合他紙とのせめぎ合い。あるいは上にいる日刊紙との確執。大誤報を飛ばせば左遷降格人事が待っている。
全編夜討ち朝駆けでスクープを追うスポーツ紙記者たちの喜怒哀楽が、かなり泥臭く描かれている。前半はそうした泥臭いだけのオッサンくさい企業小説だったのだが、後半にかけて鳥飼の人間味みたいなものに焦点があってくる。題材になるプロ野球ネタは、かなり最近話題になったあの話この話を思わせる。
元スポーツ記者だけあって、野球人やフロントの言動や新聞記者の日常がリアルに見えるようで楽しく読んだ。以前一作だけ読んだ近未来野球小説は、やけに語り口がスマートだったので、こういう泥臭いオヤジ小説も書けるのね、とちょっと驚いた。
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野球担当のスポーツ新聞記者の話。野球中心だけども誰でも楽しめる作品だと思う。
特殊な世界なので登場人物には感情移入ができなかったり、同じ作者の『スカウト・デイズ』にも近いワンパターン(主役の凄さ・手腕など)もあったけれど、新聞記者の取材先に対する駆け引きなどが分かりやすく、全体的にスラスラ読めるので色んな人に読んでほしい作品だと思いました。
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元サンケイスポーツ紙記者の著者ならではのお話。デスクの鳥飼のふてぶてしい感じが良いし、脇役が章では主役に回って、その魅力もつたわるし、ドラマ向き。渋いからNHKかWOWOW。
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やっぱり本城さんといえば野球関係ですね。
それと、デビュー作からよんでいますが、作家としての力量が増していっていると感じさせてくれる出来になっていると思いますね。
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スポーツ記者の世界。タイトルの由来になっている鳥飼を、周辺の記者をメインに仕立てながら炙り出すような短編集。読みやすく、楽し。
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東西スポーツの名物デスク鳥飼を中心にスポーツ紙の記者たちのスクープを巡る攻防がリアルに描かれていて読みごたえ充分。
元新聞記者の著者の経験も反映されているのだと思われ、実際の取材現場の臨場感、緊張感が伝わってくるようだった。
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#読了。初読み作家。連作短編集。
東西スポーツ野球部のデスク鳥飼は、強烈な個性ゆえ敵も多いが、スクープも多い優秀な記者。口癖は「とりあえず、ニュースをだせ」で、”トリダシ”と呼ばれている。同僚、他社のスポーツ記者、球団などとの騙しあいの中、スクープ合戦の行方は。。。
元スポーツ新聞記者ということで、取材先や締め切り、スクープなどがリアルに描かれていて、臨場感が強く伝わってくる。すぐに思い当たる球団やスポーツ紙もあり、面白く読めた。トリダシの「トリ」を、スクープを「トリ」に行くかと思ってしまった。
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野球に全く関心がなかったらここまで面白く読めなかったかも。
プロ野球のカラクリであったり、スポーツ新聞、本誌の兼ね合いがとても興味深かった。
鳥飼さんを取り巻く人達の立場が違えばこうも景色がかわってくる。
短編集ではあったが微妙に関わり合っている内容もとても良かった。
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スポーツ新聞の編集局を舞台した連作短編集。
東西スポーツ野球部のデスク・鳥飼は、「とりあえず、ニュースをだせ」というところから「トリダシ」と言われている。
自らの記者体験をもとに描くスクープ合戦の舞台裏。
偏屈でやり手という、著者の共通の主人公像。
今回も面白かった。
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スポーツ新聞の特ダネにプライドを持つ主人公のキャラクター設定が魅力的。タバコの臭いが漂って来るような昭和が終わっていないスポーツ新聞社という舞台が魅力的。ひとりひとりの記者と主人公の取材を巡るストーリーのどんでん返しの繰り返しが魅力的。短編の連発がどんどん積み重なって最終章に至るまでの構成が魅力的。なによりプロ野球というビジネス、それを取材することでビジネスとするスポーツ新聞社という組織を巡る男の嫉妬の滑稽なくらいの根深さをこの小説の燃料とする着眼が魅力的。ということで、五つの魅力で星五つ!いや、数年前にあった球界を巡る事件を彷彿させ、なるほど!そういう裏があったのか?と思わせてくれて星六つ?ブラックコーヒーの苦さとタバコのヤニを感じさせる読書でした。
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面白かった。スポーツ紙ってこんな感じなんかなぁと思いながら読んだ。スクープが大事というのはよく分かるけど,私は大リーグ行きの話みたいなのが好きかな。
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野球と記者もので、本城氏の著作では、定番であり、鉄板。途中から、「トリダシ亅の魅力が溢れてきて、あっと言う間に読了。紀野とのやり取りの辺りが、とても面白かった。