紙の本
納得の内容
2016/03/30 10:30
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投稿者:読むはマイニチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
世の中が急速に右傾化しているのはなぜだろうと、この本を手にした。政治的な立ち位置を気にすることは全編を通してなかったといえます。
人はイデオロギー的に自分と異なる意見には、耳を貸さないというのは、自分も含めなんとなく感じていました。伊藤氏の冷静な分析を読み、腑に落ちました。
で、どうすればいいのか。…またあの時代に一直線、では本当にいやだ
紙の本
「伝える」と「伝わる」は違う
2021/11/18 17:25
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦争」と「平和」のどちらを望むかと問われたら、ほとんどの人は「平和」と答えるはず。なのにどうして世界に「平和」は広がらないのだろう。
そんな問いに、デザインコミュニケーションを手掛ける著者が、ていねいに向き合い、答えていく。購入したのは随分前だが、いつ読み直しても、響く。
私たちはどれだけ主体性を持って「平和」を考えているか。「伝える」つもりで「伝わる」ように発信できているのか。いろいろ考えさせられる。
市民活動、平和運動などに携わる人たちにもぜひシェアしてほしい。
紙の本
私が望んでいる平和とはきっとそういうことなんだ
2018/05/29 23:00
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投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
伊藤剛『なぜ戦争は伝わりやすく平和は伝わりにくいのか』は、サブタイトルに「ピース・コミュニケーションという試み」とあるように、コミュニケーションの専門家が書いた本です。
でも、平和教育のあり方を考えるためにも、大いに参考になる本でした。
そして、「そうだそうだ」と意を強くする部分もいくつもありました。
あとがきの結びの部分、このことばが心に残りました。
「昨日と同じ今日が来る。今日と似た明日が訪れる。
私が望んでいる平和とはきっとそういうことなんだ。」
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既存の戦争論・平和論とは一味違う切り口、すなわちコミュニケーションの立場から「戦争」と「平和」を論考しているところがユニーク。
右派左派の従来の硬直した思考に、別の角度からの論理的思考を加えることで、伝わりにくい平和をどう視覚化して伝えていくかが検証される。
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ゲッペルスの戦略は宣伝省の設立だけでなく、プロパガンダ部隊と呼ばれるあたらが軍事部隊を設立している。ここには記者、カメラマン、映画プロデューサー、作家もいて、第4の軍と位置付けて、多くの戦場に同行させている。
いつの時代も戦争プロパガンダは経済プロパガンダに装いを変えて、生活の奥深くに入り込んでいる。
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メディアに携わる人がその観点から戦争と平和について述べてて、結構面白い。
言葉、概念の理解がそれぞれ違うからミスコミュニケーションを生み出す。また、戦争と違って平和は具体的な絵としてイメージしにくい。
戦争プロパガンダについて。それがどのように発達するかというシナリオ。
メディアが面する数々の制約、物理的、視点的、映像的制約。
企業としてのメディアと大衆心理。
戦争についてばかり聞かれる中で、体験した人たちが忘れている日常について記録するwar eveという取り組みとか、「ヒバクシャ」というものを作り出しているとか。
正義を犠牲にして獲得する平和。
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世の中に答えの出ない問題が多いことを認識しているが,戦争と平和のような問題は特にそう感じる.アウシュビッツ・ミュージアムのガイドの中谷さんの語りかけは差別の問題を特化するもので印象に残った.戦争プロパガンダ10の法則は,体制側が熟知して活用してきた手法で,どの段階で歯止めがかけられるかを注視する必要がある.考えなければならない多くの課題を与えられた感じだ.
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内容が盛りだくさんで読み応えがあった。それくらいこの問題は深いのだと思う。
メディアの公平性と公共性の話にはなるほどと思わされた。
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様々なジャンルからデータ、概念を取り寄せ、平和について論究している。しかし、冒頭で言及されているとおり、戦争よりも平和の方がイメージが貧困なことが図らずも露呈した内容になってしまっている。骨太な説得力はないが、平和論に少し違う視点が欲しい人に最適。
・プレゼンは結論の内容とそこまでの道筋を重視。コミュニケーションは、出発点を見極める行為。私たちの社会でプレゼンし合っても、どちらも正しい可能性が在る以上、むしろ争いを助長する。
・戦時下では疑問を差し挟み、慎重に判断を使用とする人を敵側に利する人とみなす傾向にある。
・本来、公平性よりも公共性を大事にすべき。
・ボスニアでは平和のために戦争を学ばない。
・藤原帰一:異なる記憶の出し合いは新たな認識を生むよりは、偏見の補強しか招いていない。
・オシフィエンチムではるか昔の歴史を学んでいたはずが、現在の問題として提示されたときの拒否反応。
・君たちに戦争責任はない。でもそれを繰り返さない責任はある。
・戦争を知ったメディア。身近な人:36%。テレビ:32%。教科書:22%
・伊勢崎:戦争はビジネス。だからこそ平和が産業化できない限り、戦争自体はなくならない。
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「情緒的」な戦争と平和の違いについて「論理的」に考えた本。戦争を始めるのは権力者であるが、それを拡大していくのは大衆心理の影響が大きい。
戦争シナリオの作られ方、メディアのあり方など
決して過去の話でなく、今の政権下の日本について考えさせられた。
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前半はマスコミュニケーションやメディアの基本原則を語り、後半は平和を伝えるにはどうすればよいのか、ということを語っている。全体的にすごくまとまっていて、読みやすかった。
平和とは抽象的な存在で、定義そのものから過ごしてきた国や文化に大きく左右される言葉である。日本は特に平和=反戦という思想を殆どの人が持っているが、これは世界共通の認識ではない。正義と平和を決して混同してはいけない。
また、日本人は原爆の影響から被害者意識がとても強いが、加害者としての日本も勉強しなければと感じた。
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「相手の前提に立つ」という異なった視点の導入。なぜなら「伝えている」のに「伝わっていない」のとの代表格がまさに「平和」であり、その伝わらない理由を考え、理解するためにには、相手の視点から眺めてみるしかすべはないからだ。
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病気になるまで、健康のありがたさが分からないという話と類似の話。ただそれだけでは無く、世論のあり方や物事の捉え方の主観性・客観性の話も含まれている。
要点をもっとまとめて書けばいいのに、色々書きすぎで薄まってる気がする。
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「なぜ戦争はなくならないのか」という言説の本は右から左まで様々ありますが、それを「なぜ戦争は伝わりやすく平和は伝わりにくいのか」という、コミュニケーションの視点から戦争論を語る本は他になく、大変興味深い一冊でした。
題名の問いについてはあっさり序章で明らかにされてしまい、本章では主に戦争がおきる構造を「伝わる」「伝える」を軸に説明されていきます。これが本当に分かりやすい。
さらに個人的に面白かったのは第4章以降。
1-3章で大変分かりやすく戦争のカタチが「伝わった」上で、では平和はどう伝えていくのかという、平和教育についての筆者の違和感と考えが、様々な資料を行き来しながら展開されていきます。伝わりづらい平和を伝えるにはどうしたらよいか、戦争を伝えることは、平和を伝えることに繋がるのだろうか。
毎日の生活が忙し過ぎて、戦争と平和の問題なんて考える暇のない日々ですが、こうして世界の未来と教育に思いを馳せることができた、有難い一冊でした。