紙の本
皆に読んで欲しい本
2015/10/30 01:51
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投稿者:シエル - この投稿者のレビュー一覧を見る
筆者は奈良県出身、社会思想家。京大の名誉教授でもある。
本書は月刊誌「新潮45」に「反・幸福論」と題し連載されているもの。
既に新潮新書だけで5冊目、他にも文庫で経済学を論じた本なんかを読んでいる。
構成上、一章が各20頁ほどだから非常に読み易い。
全10章は10か月分の連載をまとめたものである。
第二章の冒頭にあるようにその立ち位置としては「政治・経済を中心にした現代社会の思想的検討」と書いている。
また西欧に誕生した「保守主義」なる思想を手がかりにして、現代の様々な問題を私なりに考える、と書いている。
ここまで保守派の論客で政権後追い的な連中の一人と、思われ易いが決してそうではない。
簡単に章立ての内容を列記すれば
第一章 今こそ、脱原発の意味を問う
第二章 朝日新聞のなかの戦後日本
第三章 失われた故郷をもとめて
第四章 ニヒリズムへ落ち込む世界
第五章 「グローバル競争と成長追求」と言う虚実
第六章 福沢諭吉から考える「独立と文明」の思想
第七章 トマ・ピケティ「21世紀の資本」を読む
第八章 アメリカ経済学の傲慢
第九章 資本主義の行き着く先
第十章 「がまん」出来ない社会が人間を破壊する
と、イマドキの話題に沿った論が進む。
当然、安保問題のことなどにも触れているが政治討論で分れる保守派・革新派、或いは右派・左派と言う別け方は馴染まないと思う。
決して政権や自民党に阿る訳ではなく、寧ろ忽然と非を訴えるのはかなり説得力がある。
学者と言う立場上もあるのだろうが、どこかに与する必要もないのだろうしある意味原理主義者のように「解釈を間違えている」と一刀両断にすることが多い。
本書の帯には書名の下に「不幸の根源は経済成長と民主主義である。」とも書かれているがご自身の立場を弁えた上で「間違ってる」「解釈が違う」など、小気味よく現代を斬る。
日本と言う国の中にいると外国の様子が今ではネットから幾らでも入って来ると思いがちだがこの国の民主主義は歪んだものだし、それは政権にも反映されている。
韓国の大統領、中国の主席は戦時日本の過ちを未だに追求する手を緩めないのに、どうして日本の歴代首相はアメリカに原爆投下の責任や補償を求めないのかと、言われて初めてそう言えばと気付くだろう。
それが日本ではスタンダードで違和感なく国民に伝わっているのに妙な話だし、国民からそのような突き上げが1つも起きないのも不思議な現象だ。
寧ろ、戦後の日本はアメリカ式の民主主義を積極的に取り入れて、追随しご主人様の言うことを決して裏切らず、噛みつかない忠実な犬になり下がってしまった、と。
こう言う本を保守派も革新派も右派も左派もキチンと読んで日本式民主主義の矛盾に気が付くべきだろうと思う。
紙の本
現状を省みて
2016/03/02 17:44
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投稿者:あいん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この数年の政治及び経済状況をみて、何かがおかしいと悶々とした日々を送っていましたが、この一冊でその原因らしきものを再認識できたような気がします。人口問題や格差問題に目を伏せてばかりいては、何も解決しないのは明らかです。次なる一歩を見つけるためにも必読の一冊だと思います。この本を契機に、著者の最近の本をまとめて読んでみようかと。
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投稿者:kage - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分の主張を上から目線で決めつける、少数派のたわごとにしか理解できなかった。
途中から読むのが苦痛になる。
紙の本
何が言いたいのか?
2015/11/07 22:14
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投稿者:tyokoya - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みました。途中で読む気がなくなりました。
時間を損した気分しか残りませんでした。
文句を書いただけで、調査、考察、提案など何もなかったですね。
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経済学、哲学、社会学などの見地から今の日本、世界の情勢を切ります。
ピケティなど最新のワードも登場します。
結局、経済成長は、第二次世界大戦の復興、ということにしが過ぎず、その30年を除いて一貫して資本は増殖し続け、格差は広がっている、とします。
経済税調をもたらすような新しく斬新なイノベーションはもう望むべくもない。
グーグルやFacebookは新しい価値を提供したが雇用という意味ではほとんど貢献していない。
今、技術が向かっている先は「我慢しなくてもよい世界」。そこがいくら開拓されても付加価値はなかなかついてこない。それができたから、といってそのあとの世界が成長し続けられるような力強い革新ではない。
2020.8.18 再読
日本はいまだ成長神話にとらわれている。成長は必要か。
経済学はアメリカでは数学になってしまった。それは正しい姿だろうか。
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月刊「新潮45」連載の「反・幸福論」の5冊目の新書である。
第6章 福沢諭吉から考える「独立と文明」
第7章 トマ・ピケティ『21世紀の資本』を読む
第8章 アメリカ経済学の傲慢
第9章 資本主義の行き着く先
第10章 「がまん」できない社会が人間を破壊する
が印象的でした。
佐伯氏がよく言う、「パースペクティブ」でもって彼が終始一貫して主張してきた現象が経済社会で生じている。
そして、その指摘した現象をアメリカの学者が本を出している。ポール・ロバーツの『「衝動」に支配される世界』読んでみようと思います。
また、ピケティを読まずとも、佐伯先生が、概略を説明してくれている。
助かります(笑)。
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タイトルひかれて手に取るが、タイトル勝ちな感じ。中身はイマイチぴんとこない。
その中でも心に残った点
やはりここでも、現代人は消費意欲が低いので、いくらアベノミクスで経済戦略を取っても、効果の程は疑わしいと。
成長しなければ幸せになれないと言う思い込みから、自分自身を解放させることだ
まだ読んだこと無かったので、ピケティの概論が読めたのは良かったかな。やはり資本からの利潤率を重んじるべきか。
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アメリカ発のグローバリゼーション、資本主義を鋭く切り込む内容は、論旨明確でわかりやすい。ただ、じゃあどうすればいい、と言う具体的提起が、聞きたかった。それは別著になるのかな。
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読了。
飽和の概念が無いという一点に於いて、資本主義の永続性にはずっと前から否定的なのだが、一方で、それに代わるシステムの提示を誰も出来ない、という点では本書も同じ轍を踏む。
唯、個人の自由や能力主義を最大限に発揮させようという今日の新自由主義的な政策が、かえって、社会を19世紀風の階級社会へ逆戻りさせようとしている、との論には同意。
グローバリズムの果てに、経済ブロック化があり、限られた資源を巡り大規模な戦争に至る、という不幸な過去を、繰り返さないだけの叡智を人類は得たと信じたい。
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各章が(ほぼ)独立しているので、別々に読んでも支障ない書籍。
個人的にはピケティのテーゼの解説、つまり、資本主義は成長していない、成長した時期は戦後30年程度でそれは戦後復興によるもの、まして況んや市場原理主義以降の成長率は年率1~2%程度の低成長が続いている、というのが目をひきました。
働けど働けど・・・と言った状況をデータで示してくれたと思います。
あとは、欲望の話。
忘れかけていた『欲望と資本主義』を思い出す内容で、かつそれを補足するようなことが書かれていてよかったです。
全体を通して、ポスト資本主義の人々の立脚点を、無宗教の日本で作ろうとしている力作だと思います。
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資本主義に、ついてフォーカスしている本かと思ったが多岐にわたっており、結論は最後の章まで全く書かれていなかったように、感じる。
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これまでのキーワードがグローバリズム,競争力,成長追求だったが,"資本は利益をあげているけれど,資本主義社会は決して成長していない"(p183)は,まさに現状を言い表している.価格破壊が雇用破壊になり,さらには人間破壊につながるという説はその通りだ.価値の転換が必要だと強調しているが,今の政治は未だに成長を模索している,できるはずはないのに...
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世界権力と目される国際金融資本家とか1%オリガーキとか言われる人達に対しては何も言わない辺りは東大卒京大名誉教授だなぁと。個々の話はそれなりにタメにはなるけれど、大本となる前提として見ているものが違うと、日本のあり方とか、経済のあり方とか、ちょっと違うなと思ってしまう。
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佐伯先生「渾身の」時事評論です。
反・不幸論から続いてます。4作目?くらいです。
時事のひとつひとつに深い解釈を充てていらっしゃいます。
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恒例の2018年GWの大掃除で部屋の隅から、読みかけの本を発掘しました。GW前に読み始めた本でしたが、途中で読みたい本を先に読んでしまったために、いつの間にか隅に追いやられていました。先ほど読み終えました。
スキャン読みですが、気になったポイントです。
・2014年12月の衆議院総選挙にて、そもそも野党が解散するな、というのは奇妙な話である。野党が解散を要求して国民の信を問えとどなり、与党が何かを口実を使って権力にしがみつく、のが普通の構図である(p95)
・90年代半ばから日本はデフレ経済下していくが、その原因として、1)日銀の金融緩和の不徹底、2)改革の遅れ、3)所得格差など、が指摘されてきたが、構造的な原因として、1)人工減少、高齢化社会の到来、2)グローバル化、3)このような状況下において構造改革をしたこと(p105)
・ピケティの主張のポイントは、経済格差を生み出すものが、所得というよりも資本の格差だと言っている。資産をたくさん持っているものは、それを投資して金持ちになり、その格差が拡大しつつある、資本からの収益率(r)が成長率(g)を上回る限りこれは続く、利潤は内部留保にまわされ、企業買収に使われ、金融市場に投資されるので、経済成長には結びつかない(p136、140、180、183)
・成長に基づいて、物的な富の蓄積をよしとする今日の価値観の転換が必要である、今の価値感は、1)物的な富や利便性の追求は無条件で望ましい、2)人間の活動の可能性を無限に広げる、つまり自由の拡大を無条件でよしとする「自由への欲求」、これにとらわれている限り、効率性・平等性のスパイラルから抜け出せない、この2つの欲望が資本主義をけん引してきた(p154、187)
・市場経済理論が科学であるとは、すべてを数字で表現することであった(p162)
・IT革命によってもたらされた情報技術、効率性本位の競争的市場、株価中心の企業経営、資産をすべて金融化してしまう金融中心経済、が瞬時にほしいものを手に入れられる世界を可能にしてしまった。そのため、現代社会を動かすものは、衝動的・短期的・自己中心的、となった(p209)
2018年5月5日作成