紙の本
謎の密室蒐集家が時代を超えて密室事件を解明する連作短編集
2021/01/30 13:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:honto好き - この投稿者のレビュー一覧を見る
各作品、密室に様々なアプローチをし、論理と意外性を楽しめる。真相が意外であるとともに悲しい恋を描くことになる「少年と少女の密室」が最もおもしろかった。
紙の本
よく考えるなあ
2020/08/23 11:39
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
ストーリーにおもしろさというより、論理的な思考の比重が大きいです。
井上真偽さん似た空気がありますね。
楽しいと思うかどうかは人それぞれかな。
投稿元:
レビューを見る
解説も書いている千街さんのガイドブックで見てから、文庫化されたら読もうと待ち望んでいました。待望のって感じで早速読破。前に読んだ”奇談蒐集家”とちょっと似たような感触を感じながらも、こっちの方が断然本格ミステリ寄り。基本的にトリックがあまり分からない自分なんで、今回も密室トリックはさっぱりだったけど、発想力の多彩さにびっくり。確かに飛躍しすぎの部分とか、こじ付けとかはあるだろうけど、これだけ濃縮されていれば文句はないです。上述の”奇談~”では、最後に全体をまとめたオチがついていたけど、こっちはまだ続くからそんなのはなかったんでしょうか。となると、続編が待ち遠しいですね。
投稿元:
レビューを見る
密室の妖精・密室蒐集家が不可能犯罪をバッサバッサと解きほぐしていく様が良い。連作らしさや密室の使い方が好みだった「理由ありの密室」が一番好き。一方で意外な犯人が続いたせいで直感的に犯人にアタリをつけてしまい「佳也子〜」を純粋に楽しめなかったか
投稿元:
レビューを見る
論理と驚きにすべてを賭けた綱渡り。解説でも言われているが、偶然の多さとキャラ性の薄さを、「密室蒐集家」という設定でカバーしているのが巧い。
投稿元:
レビューを見る
昭和初期から2001年まで,さまざまな年代における密室事件を解決する密室蒐集家が探偵役として登場する短編集。5つの作品からなるが,それぞれの作品は,ゆるくつながっている。
著者の大山誠一郎の作風は,極めて論理的な謎解きが用意されている。解説にも書かれているが,論理性と意外性という本格としての純粋な骨格の魅力をダイレクトに伝えるために,キャラクターは書き込まれておらず,「人間が書けていない」作品ばかりである。小説というより,推理クイズ的な作風とも言えるが,本格ミステリ大賞を受賞しているように,そのミステリとしての完成度の高さは折り紙付き。ただ,意外性を演出するあまり,偶然に頼ったり,伏線が十分でなかったりする部分がある。繰り返し読めば評価が上がる可能性はあるが,現時点での評価は★3かな。
個々の作品の所感は以下のとおり
〇 柳の園
舞台は1937年。密室の音楽室で射殺された音楽教師。真犯人は,その学校の探偵と第一発見者の教師であり,校長の犯行シーンを女生徒が目撃していたが,校長の殺人は,自分が送った懐中時計を胸に入れていたために失敗しており,被害者自らがカギを掛け,密室を作ってしまったというもの。その後,校長をかばうために,第一発見者だった教師が,被害者を改めて射殺した。ミステリのトリックとしては古典的なもの。登場人物も少なく,無駄が極力排除されており,とても読みやすい。傑作とはいえないが,なかなかの秀作。
〇 少年と少女の密室
舞台は1953年。作中で主人公的な立ち位置の刑事が,「鬼頭真澄」が少年,「篠山薫」が少女と誤解したことから不可能犯罪が成立するという作品。叙述トリックも使われているのだが,作者が読者に仕掛ける罠ではなく,作中で実際に刑事が勘違いをするという点が新鮮。真犯人が,タクシーの運転手であり,タクシーの運転手が闇たばこの売人だったという真相もシンプルながら意外性が高い。この短編集の中ではベストの作品だろう。傑作といっていいデキ。
〇 死者はなぜ落ちる
舞台は1965年。ヒロイン的な立ち位置にいる伊部優子が真犯人という,かなりの意外性がある作品。伊部優子が殺人をし,死体の処置をどうするか迷っているところに,かつて付き合っていた男が現れ,更にマンションから転落死する人を目撃する。そのチャンスを利用し,自らが殺害した死体と,転落死した死体を入れ替えるというアクロバティックな作品。転落死が生じた理由など,いまいち腑に落ちない部分もあり,意外性の高さは間違いないが,やや完成度は低い作品。しかし,こういう意外性を追求した作品は嫌いではない。
〇 理由ありの密室
1作目のヒロインだった千鶴が「おばあちゃん」として登場し,その孫である涼子は刑事として登場する。密室トリックは,ワープロの印刷機能を利用した物理トリックであり,陳腐なものだが,「なぜ密室を作ったのか」というホワイダニットの作品になっている。その理由は,被害者がダイイングメッセージとしてカギを飲み込んでしまったので,ダイイングメッセージであることが分からなくなるように,カギを飲み込むこと���,密室であることを補強するためというミスディレクションのために,密室を作ったというもの。「密室の作成に伴う行為こそが,犯人の真の目的」という密室を作る理由の8つ目のパターンに当てはまる作品。トリックも,密室を作る理由も,ダイイングメッセージもチープで凡作と言わざるを得ない作品。
〇 佳也子の屋根に雪ふりつむ
2001年が舞台。足跡のない殺人もの。解説では歴史に残る逸品とされているが,個人的にはそこまでと思えない。1月2日を1月3日と勘違いさせるという時制のトリックはそこまで目新しいものではないうえ,伏線が十分に機能しておらず,香坂典子が遺産のために叔父を殺害したという部分と,三沢秋穂が笹野佳也子の彼氏を奪うために,佳也子を殺人者に仕立てようとした動機の部分が唐突に感じてしまう。秋穂が真犯人というのは意外性としてはものすごいのだが…。傑作とは言えないデキ
投稿元:
レビューを見る
時代は違うのに探偵は年をとらない同一人物、という神秘的な設定。
5編の短編だが、全て密室もの。時代背景それぞれの密室があって、古き良き時代から最近まで、密室の設定の移り変わりも読み解ける。
内容も面白く、ミステリーとして、引き込まれた。
投稿元:
レビューを見る
あなたの密室コレクションに仲間入り?
密室事件あるところに突然現れ、立ち所に解決する謎の探偵、通称・密室蒐集家。ひどく偶然に頼っている、いわゆるご都合主義な面が目立ちますが、数十年間における奇跡を選りすぐったものと解釈すればよい気がします。
白眉は「少年と少女の密室」。あまりにお粗末な刑事に対して、超人的な頭脳と運と力をもってあっさり解決する密室蒐集家、というコントラストが映えています。少年と少女の切ない物語と、ミステリとしての仕掛けを見事に絡めた作品。「理由ありの密室」は、密室をつくる8つの理由+1の講義が勉強になりますし、犯人を特定していく推理の道筋にも納得です。
投稿元:
レビューを見る
題名からわかる通り、密室に特化した短編集。話題になっていた発売時から読みたかった作品。登場人物が記号的であるとか、あまりに偶然が多すぎるとか、本格ミステリーに言われがちな欠点は覚悟して読んだ。文章がきれいなことと、短編集だということでそのへんはなんとか乗りきった。好きだったのは「理由ありの密室」で犯人が誰かを特定していくロジックの積み重ねだ。美しい。なによりいろいろな欠点も認めながらも本書の魅力を語る千街さんの解説が素敵だった。
投稿元:
レビューを見る
1937年から2001年までに起きる密室殺人を主人公である自称・密室蒐集家が解き明かしていく物語である。
密室事件が起きるとどこからともなく現れ、事件の謎を解き、そしていつの間にか消え去っていく。
まるで時間のない世界に住んでいるように、密室蒐集家は年齢も見た目も変わらずに時を越えて現れる。
その不思議な存在感と鮮やかに謎を解く手腕が、この物語の読みどころかもしれない。
「もしそれが他殺であるならば、破れない密室なんてこの世には存在しません」
密室をテーマにしたドラマの台詞だ。
人の手で作られた密室ならば、確かに破れない密室なんてないのかもしれない。
物理トリック、心理トリックをはじめとしたさまざまな密室が取り上げられている。
挑戦的な物語だとは思うけれど、短篇の中には「あれ?これは警察がおかしいと気づくでしょ」というものもあったことが残念と言えば残念だった。
密室ものを楽しむ入門書としては面白いと感じた。
投稿元:
レビューを見る
密室をテーマとした、密室ばかりを集めた短編集。
お気に入りは「少年と少女の密室」強烈なミスディレクションが光る快作。
「死者はなぜ落ちる」犯人の悪魔的な衝動に唖然とした。
密室収集家というキャラクターが、探偵ではなくただの説明にしかすぎない存在でしかないこと。偶然によるものでしか成り立っていないこと。後出しの多さについて。この辺りを許容できるかで評価が変わるかもしれない。
ミステリの良し悪しがはっきり出ている作品。私は好みであった。
解説で救われた部分は大いにあると思う。
2018年オススメマラソンその③
しろさんよりお借りしました。
投稿元:
レビューを見る
5編収録の連作短編集。1937年から2001年までの異なる時代ならが密室蒐集家なる「同一人物」が密室の謎を解くシリーズ。関係者から話を聞いた次の瞬間に真相が分かっているというコスパの高さが小気味良い。解説でも触れているように偶然が重なっている部分が気になるので物語としての評価は低いが、手掛かりからの推理という本格の質は極めて高い。タイトル通りに理由が鍵となる「理由ありの密室」は出色。さくっと高純度の本格ミステリを読みたい場合にはお薦めの一冊。
投稿元:
レビューを見る
密室ばかりを詰め込んだ短編集。キャラクター描写は薄めだがその分高純度の密室パズラー集といえる。密室物としてはどの話もかなりの高品質だと思う。特に驚いたのは「少年と少女の密室」かなぁ。トリックの肝はありきたりかもしれないけれどそれを気付かせない筆力が凄い。
投稿元:
レビューを見る
密室トリックを集めた短編集。タイトルである「密室蒐集家」とは、難解な密室殺人事件が起こるとどこからともなく現れて解決する警察内部では伝説と化している人物である。そんな彼の事件の解決は1937年~2001年に渡って5つの短編で描かれており、時代背景を踏まえたトリックやその時代であるが故に起きてしまった間違いもあり面白い。ただ短編によっては偶然に頼りすぎたトリックもあるが、ミスリードを利用した「少年と少女の密室」が一番のオススメである。
投稿元:
レビューを見る
2019/12/13
本格のやつ。
私があんまり欲してないやつ。
でもたまにはいいやん。と思って選ぶんだけどやっぱり魂揺さぶるやつが読みたいよなーって思っちゃう。
あ、こういうのに魂揺さぶられる人もいるんだろうな。
癖の違い。