紙の本
独裁者世界
2017/10/31 18:14
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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第2次世界大戦中のドイツの社会体制が理解できる。独裁者は一人で台頭するのではなく民衆がその思想を受け入れることが脅威に結び付く。反対者が戦後もなお迫害を受けることになっていたとは日本のものはもちろん西洋諸国でもわからなかったようだ。我々がどのように為政者と向き合うのか考えさせられる必読の書だ。
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勇気をもてるか?
2016/01/26 00:53
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投稿者:ちょりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ナチスの支配した時代というと、息もつまるような恐怖政治家と思ったが、実は迫害された人以外にとってはそうではないようだ。まぁ、外見上は選挙に勝ったのだし。だからこそ余計に、ヒトラーのナチスの思想は甦るという予言が怖い。
そして、そうなったときにここに登場する人達のように、自分は勇気を持てるか?と問わずにはいられない。
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勉強になりました
2022/03/14 13:20
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投稿者:iha - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本によると、ナチス体制はほとんどの市民によって支持されていたようです。そんな逆風の中、ヒトラー暗殺未遂など反体制運動に身をゆだねた人々、そしてその家族が辿った末路はまさに色々でした。戦中にナチスによって処刑された彼らが戦後名誉回復してゆく過程も一筋縄ではいかなかったことがこの本によって理解できて興味深かったです。
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人間の良心とは何か
2016/03/15 17:40
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投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
正義が踏みにじられていたナチス時代に、勇気を持って良心を実行しようとした人々が何人もいました。例えば、ユダヤ人を救おうとした人もそうでしょう。また、ヒトラーを暗殺しようとした人もそうです。しかし、ヒトラーは、結局暗殺されず、自らの手で死んだのだった。なぜ、ナチスは権力を握ったのか、なぜ抵抗する人々が成功しなかったのか、本書は、それらの疑問にある程度答えてくれる一冊です。
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意外と邦訳があるんですね。
2015/12/17 22:18
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投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の第二章で取り上げられているコンラート・ラッテを書いたシュナイダーの本は「せめて一時間だけでも」という邦題で慶應義塾大学出版会から出ているが、この本の著者は御存知なく、どうやらルート・アンドレーアス-フリードリヒの本しか邦訳がないと思っているらしい。もっとも「せめて一時間だけでも」の邦訳者もアンドレーアス-フリードリヒの本を原題直訳の「影の男」として訳しているし、ラッテの友人のアニカ・ラスカーの本も「チェロを弾く少女 アニカ」という邦題で出ている事は言及していないから、似たようなものだ。だからそんなに大きくはない範囲の世界なのに、邦訳が出ている本が何冊もあるので、意外とどういう関係か、よく分かる。
それに付随してアンドレーアス-フリードリヒが言及している「ドクター・ハーヴェマン」は「観光コースではないベルリン」を参照すると、どうやらDDR時代の著名人のローベルト・ハーヴェマンで、ラッテが軍法会議の証人として出廷させられた「脱走兵」の被告人が、やはりDDR時代の著名人のヴォルフガング・ハーリヒだ。DDR時代はともかく、この時点では二人は面識がないだろうが。
「せめて一時間だけでも」を参照すれば地下に潜行したユダヤ人が助かる為には沢山の人々の手を借りたような結論になるだろうが、グイド・クノップの「ホロコースト全証言」に出て来るハンス・ローゼンタールは「ある老婦人がベルリン=リヒテンベルクの隠れ家にかくまってくれたのだった」(358頁・他にもコーネリアス・ライアンの「ヒトラー最後の戦闘」にも言及あり)とあるから、必ずしもとは言えないのではないか。
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第2次大戦中のドイツ国内でナチに抵抗した人々についてまとめられた、有益な一冊。ユダヤ人を匿ったり逃した人々、反ナチ活動を行なった人々の様子が余すところなく網羅されている。それ故当時う人物や団体名も多く、できれば年表だけでなく各グループ名と判明している参加者ごとにまとめた図でもあるとありがたかったかも。第2次大戦後これらの活動が語られなかったのは、当事者があえて声高に言わなかったこともあるが、ナチ抵抗者たちが社会から裏切り者的な扱いを受けていたこと、戦後の占領国の政策の都合上多くのナチ関係者は国の中枢に戻り、抵抗活動の資料が破棄されてしまったことが大きいという事実に驚いた。ドイツ観が変わった。この2、3年ナチ追求者について映画化が続いていてこうした事情も描かれているが、より深く知ることができる一冊である。
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政権初期には毅然としてユダヤ人への暴力行為を止めに入るドイツ人住民もいた。だが反ユダヤ主義の嵐の中で見て見ぬふりをする態度が一般化し、極貧の中で飢えと病に苦しむユダヤ人犠牲者を助ける人々の姿は表立って見られなくなった。密告が常態化していからである。密告社会においては国民的な反ナチ運動は生まれない。だが全ての人々が大勢に同調し続けるということではない。少数といえ、自分自身の価値観によって事態を見つめ問い考える人がいる。とくにポグロム行こう、普通の市民の反ナチ的地下活動が各地に自然発生的に生じるのも、このためである。不安や恐怖に打ち克つことは、もちろん容易ではないだろう。しかしそれを乗り越えた人々には、もはや他人にどうみられるかではなく、自分たが何をすべきかが問題であった。ナチ支配の不法な実態が都都逸社会に露わになったことが、決定的なきっかけである。
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●ドイツ人はなぜナチスを受け入れたのか
現代にも共通する社会政策があったのだな。失業問題、公共事業、格安ツアー旅行の推奨、オリンピック開催…
芸能人がすぐ炎上したり、他人をむやみに攻撃する今の日本も危ういと思っちゃう
●戦時中のドイツにいた反ナチの人々
戦後彼らの復権に時間がかかった理由は、ドイツ人全てを一括りにして悪と断定したい欧米と、ドイツ上層部に残ったナチ残党、それから戦時中ナチスの非人道的政策に無関心を装った大衆だった…
良い学びだった
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反ナチ運動を「クライザウ・サークル」を中心に紹介。
詳しく知らない分野だったので、なるほど…という感じだった。
ヒトラー支配下での活動に加え、戦後の状況、遺族はどうなっていったか、というところも書かれており、反ナチ運動が長く正当に評価されていなかったことも分かった。
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ナチスやヒトラーの犯罪性を見抜き、戦後構想の先見の明の高さ、行動する自己犠牲精神の気高さや高貴さに胸が打たれた。良書です。おすすめ
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最初から最後まで読み応えのある内容だった。
反ナチ市民を中心にした時系列の章立てのおかげで、市民側が望んでヒトラーを求めたこと、なぜ望んだのかという背景的な社会問題も明瞭に説明されている。
ヒトラー内閣成立後、より激しくなる暴力、略奪経済、消耗戦。
密告が常態化しているなか、個人レベルの消極的な反ナチ活動はあり、慎重に活動の輪を広げてネットワークを成してユダヤ人をかくまい逃がそうとしたり、理想の未来「もうひとつのドイツ」に着目して燃える市民がいたりする。
第五章での、レーマー裁判の裁判長バウワーの論告には、言葉の持つ「智」の力を感じた。
最後にまとめられていた年表は、関連情報がまとめられていてわかりやすかった。
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良心に基づき命を賭して反ナチ行動を取った市民たち。彼らは戦後一転評価を得たわけでなく,長らく同胞から裏切り者呼ばわりされ,報われることはなかった。よく考えるともっともな流れではあるけれど,この事実はかなりショッキングだ。反ナチという点で彼らと同じ立場であった占領軍も,占領政策の都合上,反ナチ抵抗運動については故意に黙殺した。力をもつものと力をもたないものの差,といってもいかにも酷な話だし,勝者が敗者である全ドイツ人にドイツの犯罪の責任をかぶせることで,逆に個々のナチ同調者の責任を稀薄化してしまう結果となっている。
この本で紹介されているように,有名な白バラ事件と7月20日事件のほかにも数々の無名の市民がユダヤ人救援や体制打倒を目指す反ナチ抵抗運動に身を投じ,多くの刑死者を出している。戦前から戦中にかけてドイツ国民の大半は,ナチ支配体制から現実の利益を得ており,ユダヤ人虐殺などの事実に目を向けようとはしなかった。奨励される密告も反ナチ運動拡散の妨げとなった。そのような絶望的な状況の中,いくつものグループが存続していたというのはそれだけでも凄いことだ。
結局ヒトラー打倒は実ることなく外からの暴力により第三帝国は崩潰。それは多くの反ナチ市民が,ジレンマを感じつつも望んだ,唯一の現実的な解決だった。そんな彼らの胸のうちを思うと何とも言えない気持ちがする。再評価の機運が高まっているというのは良いことなんだろうな。
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ヒトラーの圧制時代に、勇気を持って抵抗し続けた多くの人たちと、クライザゥサークルや白バラ運動、ローテ・カペレ、教会、等の考え方の異なる複数の団体があったことに初めて気付かされた。彼らの、祖国ドイツを愛して危険を顧みない気高い行動に心をうたれた。また一方では、ヒトラーのナチが小市民的なドイツ国民に圧倒的に支持されていたことも驚きだった。人間社会はいつでも、我欲に流される人々と、人としての尊厳を守り続ける人がいることを再認識させてくれた。人としてどう生きるかを考えさせる本だと思う。
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ヒトラー、ナッィスへの、抵抗運動者にはキリスト教信仰の厚い者が多数認められる。戦後の西ドイツ及び統一後のドイツでキリスト教民主同盟が大きな存在感を示しているのと関連性があるのかどうか?
司法界に第三帝国時代、ナッィス党員が多かっただけでなく、戦後のドイツでも元党員司法官が多数いた(1950年で西ドイツ全体で15,000なや判事と、検事の66-75%は元党員だった!p.233)とは驚き。
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"機会があったら、いつでも人には親切にしなさい。助けたり与えたりする必要のある人たちにそうすることが、人生でいちばん大事なことです" 他人にどう見られるかではなく、自分が何をすべきか