紙の本
書体デザイナー
2019/02/28 12:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
書体デザイナーに聞くということで、広告デザインの現場の人の声という感じがして良かったです。デザインに行き詰ったときにどうぞ。
投稿元:
レビューを見る
[図書館]
読了:2016/6/4
すごく勉強になった。書体デザイナーの目から見た良い書体の見分け方、「な」の最終画の止め方などのこだわり。
すべての本文、見出し、キャプションの使用書体が明記してあるのも良い。巻末の、祖父江慎氏装丁の対談集なんてページごとに書体が変わっていて、文章よりそっちを見てしまう。まさに藤田重信さんの言っている、「書体の美しさに目を奪われて内容は気もそぞろ」状態であった。
書体名があらゆるところに書いてあるおかげで、「昔よく見たあの書体ってこういう名前だったんだ」というのがたくさん見つかった。
・子供の頃読んだミステリ系アンソロジーの文庫(角川?)本文は【石井細明朝】
・高校の国語の教科書の「あ」や「な」が斜めに潰れたように感じてた書体は【イワタ中明朝オールド】
・大学の「技術者のための高等数学」の本文の真面目で少しインテリな学者のような書体は【本蘭明朝】
・ウテナのフィルムブックの少しノスタルジーを感じる本文は【石井中明朝】
・起筆やはね、とめの墨だまりのような太さが目のちらつきにつながりあまり好きじゃなかった電撃文庫の本文も【石井中明朝】
・りぼんのネーム(モノローグ部分)は【ナール】
・バブル期の女性誌の特集タイトル(ちょっと古臭さを感じる)は【ゴナ】
なぜ「石井○○」やナール、ゴナの見本が「写研書体見本帳」や1975年の写研発行の本からしか引用されていないのか(直接原稿に印刷するのではなくてすでに印刷されたものをコピーしているような感じ)、この時は分からなかった。この後「市川崑のタイポグラフィ」で写研のたどった道を知ってやっと分かることになる。
あれだけ美しい書体たちが、経営者の時代の趨勢誤認と頑固さのためにデジタル化から取り残され、雑誌からもテレビからも徐々に消えていき、人の目に触れない期間が長くなるにしたがって古臭さを纏うようになってしまい、忘れられていくなんて…。
投稿元:
レビューを見る
“ああ、もっと書体のことを知らなきゃいけないな”
読み終わってそんなことを思う。
私はあまりにも書体に無知で、だけど活字に憧れていて、だから安っぽいフォントには納得できなくて。
ちゃんとつくられている書体は、読みやすい。
最近はWindowsにも游明朝体、游ゴシック体が入っているけど、それ以前は、パソコンでつくった文書と、出版社がつくった本は全く別物だった。
そんな程度にも書体を見ていたら、とても興味が持てる本です。
活字から写植を経てフォントになっていった過程も、話の隅から伺えます。