紙の本
『プラグマティズム入門』
2016/03/08 05:20
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:シエル - この投稿者のレビュー一覧を見る
この「プラグマティズム」と言う言葉は現在、様々な意味で使われているらしい。
広い意味では実用的なものの見方とか実際的な生き方、「何でも結果さえ良ければOK」と言う発想や行動のスタイルを差す場合にも使われている、と書かれているがそうなのか分らない。
「プラグマティズム」という用語を「実用主義」とか「実際主義」と言う意味に理解して、ある種の行動指針のようなものに対するレッテルとすることは、今日の日常用語の使い方としては正しい用法として認められていると言って良いのだそうだ。
哲学思想における「プラグマティズム」はこの思想の誕生したアメリカ合衆国やそれを移入したヨーロッパに日本でも段々拡大解釈されてルースな仕方で使われているようだ。
現在では様々な思想の潮流の中で21世紀の現在でも世界の哲学流派の中心に一にするものでもあるらしい。
その為の入門書と言う位置づけの本であってその歴史を凡そ1世紀前から現代にまで代表する哲学者を紹介しながらその思想潮流を辿ろうとするものである。
少々と言うより、自分にはかなり難解な感じで哲学史に置いてカントやデカルトを踏まえていないとそこから立脚した思想・哲学や違いが歴然として来ない。
これをプラグマティズムの源流から歴史、代表される哲学者とその思想展開を紹介するものなんだが分ったような、分らんような。
頭を整理して改めて読んだ方が他所そうだ。
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16/02/19。
文章達者。読みやすい。
p20 実証主義特有の「事実と価値の峻別」を認めないプラグマティズム。
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読み直したさ:★★☆
Evernoteにノートを作成済。推論的意味論の発想は、私的自治と民法の発想に応用可能な気がする。
〈感想〉
次はジェイムズのプラグマティズムを読みたい。
分かりやすく、かつボリュームとしても満足。
主題の整理→詳論という書き方で進むので読みやすい。
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プラグマティズムの源流から,少し前のプラグマティズム=ネオ・プラグマティズム,そしてこれからのプラグマティズムを通観できます。
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ネオプラグマティズムあたりまでは、ざっと復習してるイメージ。ブランダムら名前は聞いたことあるけど...といった現代の部分もかなり解説していて面白い。ただ、数学の哲学から民主主義まで少し欲張りすぎなイメージも。一般読者にこれはキツイだろう。個人的にはパースをポパーの発想と絡めてその違いを解説して欲しかった。
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鶴見氏の著作にて知った『プラグマティズム』の入門書
その歴史とプラグマティスト達の思想とその変遷が
わかりやすく書かれてあります。
文書は平易で読みやすいのですが、いかんせん
思考力がついていかず内容的には、入門書といえども
難解な部分もあって、読み終わるのに時間がかかって
しまいました。
パースの反デカルト主義。ジェイムスの信念と意思と心理。
デューイ。
クワイン・ローティー・パトナム・プランダム・マクベス・
ティエルスラン・ハーク・ミッサク。
それに、ヴィドケンシュタインの言語論など割と個人的には
理解しやすい理論のような気がします。
例えば、昔々学校で習うことについての根本的な疑問。
誰にも聞けないような疑問や懐疑の答えがここにある
ような感じです。
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19世紀末にアメリカで誕生した独自の思想プラグマティズムについての入門書。高校の倫理で触れてから、何となく興味があったものの放置状態であり、なおかつアメリカという社会が形成される中でプラグマティズムが果たした役割は何なのか、というあたりを知りたくセレクト。
20世紀~21世紀のプラグマティズムの流れについて、
・源流のプラグマティズム(パース、ジェイムズ、デューイ)
・少し前のプラグマティズム(ロールズ、クワイン等)
・これからのプラグマティズム
という3世代の歴史変遷を追うことで、プラグマティズムという思想が実は一様ではなく、かなりの拡がりを持つ思想運動であるということを理解することができる。
プラグマティズムというと、「実用主義」という訳語のイメージや「ダイヤモンドは硬い」→「ダイヤモンドは何にでも傷をつけることができる」という信念の行為文への変換の例がわかりやすいだけに、一面的なイメージを持ってしまっていた。しかし、実際のプラグマティズムは、それまでの西洋哲学が様々な形で普遍的真理がどこかに実在しており、それを何らかの形で捕捉・表現し用としていることに対して、「そもそも普遍的な真理とは存在するのか?」という根源的な問いを投げかけ、その答えの1類型として実用性を重んじたに過ぎない、というように感じた。そうした点で著者も書いているように、プラグマティズムは極めて広範な思想運動であり、近年の政治学・倫理学等への応用など、まだまだ現在進行形で発展しつつあるものであるという点に興味を引かれた。とはいえ、この一冊で全てを理解したとは言い切れないので、引き続き数冊入門書をかじってみたいところ。
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今は『プラグマティズム入門講義(仲正昌樹)』があるので、
初めてプラグマティズムに触れる方は、
そちらから手をつけたほうが良いと思いますが、
コンパクトにまとまった「新書」らしいこちらも捨て難い。
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プラグマティズムの過去と現在について簡潔に紹介している本です。
パース、ジェイムズ、デューイというプラグマティズムの創設にたずさわった哲学者たちの紹介から始まり、クワイン、ローティ、ブランダムらのネオ・プラグマティズムの思想についても概観し、さらに現代におけるパースの再評価の機運についても触れています。おそらく著者自身の関心と重なるのでしょうが、パースの思想の意義を取り上げなおすことによって、数学におけるプラトニズムの問題を克服する道を探ろうとする、ティエルスランやマクベス、ハーク、ミサックといった現代の哲学者たちの仕事についても解説がなされています。個人的には、内部実在論以降のパトナムの思想についてクリアな見通しを与えられたのが収穫でした。
マクダウェルやブランダムといったセラーズ派の思想については多少フォローはしていましたが、ベナセラフ以後の数学の哲学にはまったく不案内で、最後の章はやや難解に感じました。できることならば、新書形式ではなく単行本で、著者の書いた本格的なプラグマティズム入門が読んでみたかったところです。著者自身「あとがき」でプラグマティズムの哲学的な側面について紹介することに力点を置いていると書いていますが、従来の真理のデフレ理論との違いについて、もう少していねいに解説してほしかったように思います。
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恐ろしく緻密な本。新書でこのクオリティのものを出版してもよいのだろうか、と心配になる水準。伊勢田哲治氏のブログに、この本についての書評(というか著者に向けての手紙)が公開されている。プラグマティズムの入門書としては現在のところ最高だといえる。
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著者の独特の言い回しにより、入門レベルを超えた難解な内容になっている。また、論理展開が恣意的であり、時系列を無視した箇所が散見される。著者はプラグマティズム研究の第一人者のようであるが、このような各哲学者の思想構築過程を勝手に組み替えて解説するのは研究者として問題であると感じる。文献引用の明らかな間違いもある。取り扱い範囲として最新の哲学の動向まで言及しているのは他著にない特徴であると思う。
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「哲学思想としてのプラグマティズム」について、その全体的像をわかりやすく解説。プラグマティズムについて、「源流のプラグマティズム」(パース、ジェイムズ、デューイ)、「少し前のプラグマティズム」(クワイン、ローティ、パトナム)、「これからのプラグマティズム」(ブランダム、マクベス、ティエルスラン、ハーク、ミサック)という流れで概観している。
プラグマティズムと一口にいっても、それに属するとされる哲学者の考えにはとても多様性があるのだということがよくわかった。ただ、プラグマティズムの思想の根幹にある「真理の探究は可謬的なものであり、真理とはわれわれの行動にとって有用な道具である」という考え方には、非常に共感するものがあった。
全体的にわかりやすい記述だったが、「これからのプラグマティズム」の内容はちょっと難しく感じた。
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前提とするものが、まさにプラグマティックなプラグマティズム。現代を生きる私にとって、問題意識に応え、日常感覚に合う、示唆的な議論だった。
全体的に本質を突くような記述が続き、グイグイと引き込まれながら、最後まで読みきった。構成も素晴らしい。
数学への見方も新鮮。
読みながら、テクストでなくコンテクストが大事ということが何度も思い起こされた。
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超ハード。西洋哲学の主流に対抗する信念と懐疑の方法論について。全体の流れと13人のプラグマティストの差異を明らかにしてくれている。パースは読み直したい。
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ドナルド・トランプについて知りたかった。わかってきた事は、彼を支持する勢力の一つであるキリスト教福音派が、アメリカ政治をレーガン政権以降大きく動かしてきたという事実だ。しかし、彼の政治スタイルについて、もっと直截に、鋭くポイントをつく説明の仕方は無いだろうか?
彼自身の演説の、ツイートのスタイルから、何か分からないか?それよりも、彼の発想法、考え方自体から迫った方がいいのではないか?いや、アメリカ人の考え方自体を再検討した方がいいのではないか?
そこで、本書である。アメリカ人の基本的な考え方の、源泉の一つであるプラグマティズム。本書を紐解き、アメリカ人の考え方について学んでみた。ビンゴ!
これぞ、ドナルド・トランプである。彼のスタイルだ。
プラグマティズムとは、およそ150年程度の歴史のある思想、哲学の方法論だ。アメリカでチャールズ・パースによって1870年前後に生み出され、盟友ウィリアム・ジェームズにより、1898年、「この思想の意義を世界に向けて広く発信」された。その考え方とは、「つまり、われわれにとっては、どうしても賭けなければならない場合には、証拠の不十分という条件を承知していても、何かを信じようとすることには意味があり、その限りでわれわれは「信じる権利」を持つはずである。これはパースとは違った意味での反デカルト主義の表明である。」(電子版、No.779)」。
これはパースの考えをジェームズが独自に発展させたバージョンのプラグマティズムだが、人間には、まず信じようとする意志と権利があり、次に、この信念の「真理性」を担保すればいい。この「真理」とは、「きわめて端的にいえば、ただわれわれの思考という方法において、有用である(expedient)ということである。」。こうした考えは、同時代の英国の分析哲学の始祖であるラッセルらに、粗雑なものと、侮蔑的に評価されたが、後にラッセルもその哲学的意義を再評価した。
これは、プラグマティズム以前のヨーロッパ中心の哲学とは、明確に異なる哲学だ。ヨーロッパでは、デカルト主義といい、内省を行う「方法的懐疑」によって見出された観念から出発し、哲学を組み立てていくという方法論(観念論)が常識とされてきたが、それを拒絶するものだ。
つまりは、観念論とは、物と主観の二元論だ。主観、心の中に物が反映した、現象というものを明晰に理解することで、世界についての理解とする考え方だ。しかし、プラグマティズムは、一元論だ。まず検討の対象を言語に限定する。世界は置いておく。なぜなら検討すべき世界とは、全てが、言語に反映し(反映しない世界は検討する必要がない)、また言語しか、真であるかどうかの分析の対象になるものは、存在しないから。
そしてその真、真理とは、民主主義的な討議において、開かれた形で、複数の主体により、絶え間なく検証を受けていくという事で、初めて真理となる。しかし、それはとりあえずの真理であって、「絶対的な基礎づけ」を経たものではないし、そもそも絶対的な基礎づけとは、あり得ない。これがプラグマティズムの基本的な考えである。
要は観念論、二元論であると、常に物と現象、心によって捉えられた像を検証して、その対応関係を考えて行くことになるが、分析哲学を経由したプラグマティズムでは、言語を検討する一元論になる。検討すべきは全て、言語の中にあり、(物との比較によって真理性が決定しない)、その真理性とは、複数の主体が参加して討議しあう開かれた連帯によって、不断に検証され続けるものであり、物との照合ではなく、人間の認識のシステム全体の中での、照合になる。
この理論の利点は、物との対応関係を無視できる、ある人から突きつけられた証拠が証拠にならないことになる。真理性とは、人間の認識のシステム総体の全体の中で流動的に判断すべきものであるから。
ドナルド・トランプに戻る。彼の言説は、プラグマティズムの伝統の中にある。有用なる信じるに足るものを信じる。しかし、その有用性が真骨頂であり、共同の討議の部分は軽視する。その部分を除けば、十分に民主的なプロセスを重んじた、大統領であり、異端ではない。「自文化中心主義」(ローティ)もまた、彼の言説を補強する。
アメリカ人の思考スタイルを知ること。正統なる思考とは何か。アメリカ政治理解に必須の書である。